マツダ ロードスター「伝説の開発主査」こと貴島孝雄氏が、現役時代に出会った記憶に残る人物を紹介する連載企画。最終回となる第8回の今回は、山口東京理科大学の同僚「永田寅臣教授」を紹介する。
3代目NCロードスターの主査は、若手に後進を譲る予定だったのだが
ロードスターの初代開発メンバーに始まり、2代目NBと3代目NCでは開発主査を務めた貴島さん。じつはNC開発においては後進に主査を任せるつもりでいたとか!
「NC開発時には、そろそろ若手に道を譲るという話が出ていました。私もその方がいいだろうと思い、その後は広報関係に移動願いを出そうかなどを考えていました。そのため、上層部には後進を推すような書類を提出。その際、後進メンバーのほかに、客観視された自分の評価も出すことになっているんですね。
当時はフォードが介入していた時代でしたので、その評価表を見て「どうして貴島にやらせないんだ?」となりまして(笑)。もしNCの主査を続けていなかったら、また違った現在になっていたかもしれないですね」
フォード流がマツダ内に強く影響していたタイミングでNCを開発しなければならなかった貴島さん。文化の違いはあるもののビジネス面では学ぶべき点が多かったと語る。
「日本と違う外資メーカーのやり方、考え方は大いに参考になりました。RX-8のプラットフォームを使うという大前提、ここから始まった軽量化のノウハウは、現在やっている学生フォーミュラに生かされているかもしませんね(笑)。残念ながら昨年に引き続き、今年も中止となってしまいましたが・・・」
マツダでのさまざまな経験が評価され、山口県の山口東京理科大学の教授として第二の人生を送ることになった貴島さん。定年を迎えた今でも、大学に残って学生フォーミュラの指揮を取れるのも、大学で築いた確固たるポジションがあるからだ。