トヨタにとってターマックで出走順が早いことも有利に
ベルギーではこれまでWRCが開催されたことはなく、イープル・ラリー・ベルギーが記念すべき初WRCとなるが、イープル・ラリー自体は1965年の初開催から長年高い人気を保ち続けてきた伝統あるラリー。本来は昨年WRCとして行われる予定だったが、新型コロナ感染拡大によるパンデミックの影響で大会が中止となり、今年満を持してWRCを迎える。
ベルギー西部の都市イープルを中心とするこのイベントは、ターマック(舗装路)ラリーであり、農場内の幅が狭い道を走るステージが中心となるのが特徴。直線とジャンクション(曲がり角)が連続するステージが多いことが特徴で、道の脇には排水溝や電柱があり、道幅も狭いため、小さなミスが大きなアクシデントに繋がりやすい難しいラリーとして知られている。
なお、2021年WRCシリーズは第7戦が終了した時点で、ドライバー選手権ではトヨタのオジェが2位のエバンスに37ポイント差をつけて首位をキープ。また、トヨタはマニュファクチャラー選手権で2位のヒュンダイに59ポイント差を築いている。
TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのヤリ-マティ・ラトバラ表は「WRCとしての開催は初めてのイープルですが、ラリー界では誰もが知っている伝説的なイベントで、幅が狭い道を走るハイスピードなターマックラリーとしてよく知われています。コーナーが少なく直線やきつい曲がり角が多いため、イン側をカットして走るコーナーが多く、大量のダートがステージ上にかき出されます。そのため路面の変化、グリップの変化が大きいのが特徴です。グラベルと違って、出走順が早いことはクリーンな状態の路面を走ることができることになり、それも自信に繋がるはずです」とコメント。
ドライバー選手権でトップを走るセバスチャン・オジェは 「イープルのステージは路面のグリップが頻繁に変化し、限界を見極めることが最大の難題になると思います。現在、チャンピオンシップを少しリードしており、いい状況にありますが、イープルのような難しいラリーがまだいくつか残っているので、集中力を切らさないようにしなければなりません」と語っている。
ラリーは13日の午後からスタートスタートし、夜にかけて4本のステージを各2回走行。2日目の14日は4本のステージを各2回走り、最終日の15日は約300km東側に離れた「スパ・フランコルシャン・サーキット」に移動。F1も開催される伝統的なサーキットを基点に、2本のステージを各2回走行し、そのうち、サーキットを走る最終のSS20「フランコルシャン」は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されている。ステージは全部で20本、計295.78km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は949.49kmが予定されている。
2021年 WRC ドライバーズランキング(第7戦終了時)
1位 S.オジェ(トヨタ) 148
2位 E.エバンス(トヨタ) 111
3位 T.ヌーヴィル(ヒュンダイ)96
4位 K.ロバンペラ(トヨタ) 82
5位 O.タナック(ヒュンダイ)74
6位 勝田貴元(トヨタ)66
2021年 WRC コンストラクターズランキング(第7戦終了時)
1位 トヨタ 315
2位 ヒュンダイ 256
3位 Mスポーツ フォード 125