オペルは現在ステランティスの傘下にあり、正確に言うとドイツメーカーではないが、ドイツでは今でも「オペラーナー(オペルをひいきする人たち)」が多く存在する。本国で発売間近の新型アストラは、そんな通な人たちにも納得してもらえそうだ。(Motor Magazine 2021年9月号より)

スポーティで斬新さを感じる新型アストラのフォルム

アストラは1993年からヤナセによって日本国内での量販に成功したオペルのコンパクトモデル。その後は販売権がGMに移り、2006年には日本市場から惜しまれつつ撤退してしまった。しかし、ドイツではタイプH(2004年)、タイプJ(2009年)、タイプK(2015年)へと3世代を経て、今回フルモデルチェンジを受けてタイプLへと進化してきている。

オペルにとってこの間のもっとも大きな変化は、2021年初めからステランティスグループに属したことで、プラットフォームはステランティスのコンパクトセグメント、プジョー 308やシトロエン C4などに使用しているEMP2(エフィシエントモジュラープラットフォームII)を採用していることだ。

6世代目となる新型アストラのエクステリアデザインはスポーティで斬新だ。細くワイドなグリルの両端を84個のLED(幻惑防止機能を持ったマトリックスピクセルライト)が縁取りされており、彫刻のような深いエッジの利いたボディサイドとリアは、ゴルフ8が古く見えるほどである。さらに2トーンカラーはいまやオペルのアイコンともなって、オリジナリティを強調している。

全長は4.37mと変わらないが、1.86mへとワイドになった全幅によって広々としたダッシュボードに、2枚の10インチデジタルワイドスクリーンが並ぶ。ドライバー正面はドライブ情報、そしてその横はインフォテインメント用でタッチ機能が用意されている。またインテリアトリムは高品質で仕上げも緻密ゆえ、プレミアムブランドに引けを取ることはない。

画像: 視認性に優れる2枚の10インチデジタルワイドスクリーンを装備。インテリアはシンプルながら高い質感がある。

視認性に優れる2枚の10インチデジタルワイドスクリーンを装備。インテリアはシンプルながら高い質感がある。

搭載されるエンジンは、1.2L 直列3気筒のガソリン(110psと130ps)、1.5L 直列4気筒のディーゼルターボ(130ps)、そして1.6L 直列4気筒(180ps)のガソリンターボに電気モーター(110ps)と12kWhの電池を組み合わせたシステム出力224psのプラグインハイブリッドがある。組み合わされるトランスミッションは6速MTと8速ATとなる(PHEVは8速ATのみ)。

もちろんADAS(アドバンスドドライバーズアシストシステム)も充実しており、5基のカメラと同数のレーダーがアストラの周囲360度を監視している。

この新型アストラは生産拠点がこれまでの英国あるいはポーランドから故郷であるドイツのリュッセルスハイムに戻る。まさにメイドインジャーマニーへの復活となり、発売はヨーロッパを中心に2021年9月から始まる。日本へ輸出されるかは現時点ではまだ決まっていない。

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