オペルは現在ステランティスの傘下にあり、正確に言うとドイツメーカーではないが、ドイツでは今でも「オペラーナー(オペルをひいきする人たち)」が多く存在する。本国で発売間近の新型アストラは、そんな通な人たちにも納得してもらえそうだ。(Motor Magazine 2021年9月号より)
開発中のプロトタイプに試乗。クルマとの一体感があり好印象
オペルは正式発表に先立ってプロトタイプに試乗するチャンスを与えてくれた。オペルのイエローカラーをベースにカモフラージュをまとった試乗車は開発の80%まで進んだ段階で、シャシ関連のソフトウェアなどはまだ改善の余地が残っていると説明された。
また2013年に導入されたEMP2アーキテクチャーは年々改良が行われ、現在では3世代目でゴルフ8やフォードフォーカスなどのライバルに照準を合わせてアップデートされている。走り出して感じたのは安定したクルマとの一体感で、開発者はシャシのスポーティなセッティングと着座位置を12mm低めたことによる相乗効果だと説明した。
パワートレーンは3気筒も含めすべてスムーズな回転と十分なトルクが好印象で、6速MT車ではスポーティな運転が楽しめた。一方で8速AT車はどのエンジンでも非常にマッチングが良かった。ただシステム出力224psのPHEVは重さを感じたうえに、とくに電動パワーステアリングの感触がまだ不自然なところもあったが、これは同行のエンジニアも改善の余地があることを承知していた。
新型アストラはプロトタイプの状態でもEMP2を使用したプジョーやシトロエンよりはさまざまな面で明らかに進化したことが感じられた。量産車での試乗会ではそれが一層明らかになるだろう(文:木村好宏/写真:キムラ・オフィス)