自動運転実用化に向けての実証実験
この実証実験は、日産の自動運転車両を用いた交通サービス「Easy Ride(イージーライド)」と、自動運転車両の配車に対応したドコモのオンデマンド交通システム「AI運行バス」を組み合わせて行う。将来の完全自動運転による交通サービスをイメージさせる最新技術やサービスを、実際に一般モニターが体験し、実用性を検証することを目的としている。
オンライン説明会には日産の常務執行役員の土井三浩氏が出席。このプロジェクトについて土井氏は「これから先の日常を考えたとき、環境にやさしく、維持していくこともやさしいみんなの移動手段が必要だと思う」と説明した。この実証実験は「社会を前進させるモビリティ」をテーマにした日産の「電動化技術×自動運転技術」による挑戦だという。
日産はこれまでも過去2回、横浜みなとみらいと中華街エリアで自動運転車両の実証運転を行ってきた。2018年2月には無人運転サービス提供に向けた課題出し、2019年2月には事故リスクを最小化する乗降プロセスなど重要課題に対する初期解決策の検証を実施。
そして今回の実証実験は過去2回の結果に基づき、ユーザー体験や自動運転の技術をさらに進化させた。オペレーターや伴走車を排除するなど、商品化に向けたより本格的なものだ。運行期間は2021年9月21日〜10月30日の約6週間。車両は4台、乗降地は23カ所用意し、一般モニター200人が参加する。一般交通と混走するなど複雑性も高く、大規模な実証運転となる。
使用される車両はe-NV200をベースにしたもので、複数のカメラ、レーダー、センサーが埋め込まれ、自動運転SAEレベル2相当。実験エリアにおいて信号、交差点、車線変更などさまざまな市街地の場面に対応しながら走行することを可能にした。現状では運転席にセーフティードライバーを同乗させての運行となるが、将来的には自動運転レベル4、レベル5に上げて完全無人運転を目指す。
参加する一般モニターには乗車体験についての評価をはじめ、周辺店舗と連動したサービスの利用状況、実用化した場合の想定利用価格などについてアンケートを実施。そのデータは、実証実験を通じて得られた走行データや配車状況データなどとあわせ、さらなるサービス開発や今後の実証実験に活用される予定だ。
今回は横浜で行われるが、土井氏は「今後の課題は地方」と話す。「日本の文化を地方が作っていると言っても過言ではありません。日本の人口の半分は都市圏ですが、残りの半分は地方にあります。今後、高齢化が進むとクルマを運転されない方も増えていくでしょう。日本の文化を守るためにも未来の移動手段を考えていきたい」とコメントしている。