2021年9月12日に行われたF1第14戦イタリアGPで、7月のイギリスに続いて、またしてもマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)はルイス・ハミルトン(メルセデス)が接触、今度は両者ともにリタイアとなった。接触はなぜ起きたのか、振り返ってみよう。

フェルスタッペンに次戦3グリッド降格のペナルティ

フェルスタッペンはポールポジションからのスタート、一方ハミルトンは4番グリッドからのスタートとなったが、フェルスタッペンはやや遅れてダニエル・リカルド(マクラレーン・メルセデス)に抜かれて2番手にドロップしてしまう。そのため、1周目からフェルスタッペンとハミルトンのバトルが見られる接近戦となった。

もうひとつのポイントは1回目のピットストップ。フェルスタッペンは23周目にピットに入るが、ここで珍しくレッドブルがタイヤ交換に手間取り大きくタイムロス。この後、26周目にタイヤ交換を終えてピットアウトしたハミルトンと1コーナー手前で並ぶことになった。ここで事件は起きる。

ポジションを争うなかで、ハミルトンがアウト側に寄せる形となり、ふたりはターン2で接触。フェルスタッペンのマシンがハミルトンのマシンに乗り上げてグラベルでストップした。

この一件に関して、さまざまな検証が行われた結果、フェルスタッペンに多くの責任があると判断され、次戦ロシアGPでの3グリッド降格が課された。

映像を見ると、長いストレートを駆け抜けてきたフェルスタッペンは十分にスピードに乗っており、またハミルトンはピットアウト後のホワイトラインを過ぎたあたりからアウト側にマシンを寄せており、ターン1に向けて十分なスペースが残されているとは言えなかった。ただ、ターン1進入時点でフェルスタッペンのマシンのほうがやや後ろで、ターン1でオーバーテイクするにはやや無理もあったように見える。フェルスタッペンにとって、「ここでハミルトンに先行を許すと、抜き返すのは難しい」という判断もあっただろう。

両者リタイアとなって、選手権として有利になったのはフェルスタッペンという見方もある。また、レース後半のタイヤはフェルスタッペンがハード、ハミルトンがミディアムと違っていた。

タイヤを供給するピレリは「レースは気温30度、路面温度は40度を超える中で行われ、ハードタイヤがレースの重要な要素になりました。最後尾スタートのボッタスが序盤ハードタイヤで一気に順位をあげたこと、優勝したリカルドはハードタイヤで最終周にファステストラップを記録していることからも、今日のコンディションでハードタイヤがうまく機能しました」と分析している。

画像: 26周目の狭いターン1で、アウト側からパスしかけるフェルスタッペンとピットアウトしたばかりのハミルトンが接触してコースアウト。フェルスタッペンのマシンがハミルトンに乗り上げる形で両車がコース外のグラベルにストップした。

26周目の狭いターン1で、アウト側からパスしかけるフェルスタッペンとピットアウトしたばかりのハミルトンが接触してコースアウト。フェルスタッペンのマシンがハミルトンに乗り上げる形で両車がコース外のグラベルにストップした。

レース後、フェルスタッペンは「今日はポジションを巡って(ルイス・ハミルトンと)激しいバトルを展開していましたが、そういった状況では、コーナーで2人が息を合わせて走る必要があります。ただ、今日はルイスが僕を押しやる形でスペースを残さず、2台がクラッシュしてしまいました。彼がピットを出たときに、すでに僕にスペースを与えない動きを取り始め、そのまま1コーナーに進入してきたため、トラック上の緑色の部分を走行せざるを得ませんでした。非常にタイトでしたが、外側に回る余裕はありましたが、その後、オレンジ色の縁石の上に押しこまれ、乗り上げる形になりました。激しいながらもフェアにレースをしたかったので、非常に残念です。(次戦の3グリッド降格の)ペナルティには全く同意できませんし、これはレーシングインシデントだと思っています。今日起こったことは残念ですが、2人ともプロのドライバーですし、ここからも前を向いていくのみです」とコメントしている。

一方、ハミルトンは「レースをあのような形で終わらせることになったのは残念でした。 チームは素晴らしい仕事をしてくれ、26周目に衝突するまでは良い位置にいました。私がピットから出た時、マックスが来るのが見えました。そして 彼のために外側にスペースを残し、ターン1に入り、ターン2に向かっていたのですが、突然、彼のマシンが私の上にいました。 全体として、私にとって週末の素晴らしい終わりではありませんでしたが、バルテリが彼の驚くべき回復ドライブでチームを運んだのを見るのは良かったです。 このようなコースで後ろから表彰台に上がるのは簡単ではありません。 チームは素晴らしい仕事をし、レッドブルよりも多くのポイントを獲得することは間違いなくポジティブです」と語っている。

この一件が次戦以降にどんな影響を与えるのか。次戦は9月24日に行われる第15戦ロシアGP。2021年のF1シーズンも残り8戦。ホンダのラストイヤーもいよいよクライマックスへと向かっていく。

2021年F1第14戦イタリアGP決勝 結果

1位 3 D.リカルド(マクラーレン・メルセデス)53周
2位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)+1.747s
3位 77 V.ボッタス(メルセデス)+4.921
4位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+7.309s
5位 11 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)+8.723s
6位 55 C.サインツ(フェラーリ)+10.535s
7位 18 L.ストロール(アストンマーティン・メルセデス) +15.804s
8位 14 F.アロンソ(アルピーヌ・ルノー)+17.201s
9位 63 G.ラッセル(ウイリアムズ・メルセデス)+19.742s
10位 31 E.オコン (アルピーヌ・ルノー) +20.868s
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リタイア 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
リタイア 10 P.ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)
リタイア 22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

2021年F1ドライバーズランキング(第14戦終了時)

1位 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ) 226.5
2位 L.ハミルトン(メルセデス)221.5
3位 V.ボッタス(メルセデス) 141
4位 L.ノリス(マクラーレン・メル セデス) 132
5位 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)118
6位 C.ルクレール(フェラーリ) 104
7位 C.サインツ(フェラーリ) 97.5
8位 D.リカルド(マクラーレン・メルセデス)83
9位 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)66
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14位 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)18

2021年コンストラクターズランキング(第14戦終了時)

1位 メルセデス 362.5
2位 レッドブル・ホンダ 344.5
3位 マクラーレン・メルセデス 215
4位 フェラーリ 201.5
5位 アルピーヌ・ルノー 95
6位 アルファタウリ・ホンダ 84

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