クルマの中で重要なパーツは多くあるが、路面との唯一の接点という意味で、タイヤは最も重要といえるだろう。黒くて硬いゴムでできていて、装着されていて当たり前のように思われているタイヤだが、いろいろな工夫が詰め込まれている。ここでは、ざっくりとタイヤの構造や種類について解説する。

タイヤは外側だけではなく中身の構造も大事

タイヤはゴムでできていると単純に思われがちかもしれない。だが、内部にはいろいろな工夫が凝らされている。強度、耐久性向上のためには、カーカス、スチールベルト(ラジアルタイヤの場合)があり、ホイールに噛み合う部分としてビードがある。タイヤの外部の名称は、トレッド、ショルダー、サイドウオールと呼ばれ、その中でもタイヤが路面と接地する部分がトレッドだ。

画像1: 「きちんと知りたい!自動車メンテとチューニングの実用知識(飯嶋洋治 著/日刊工業新聞社)」より転載

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大きく分けて、タイヤにはバイアスタイヤとラジアルタイヤがある。現在の乗用車用のタイヤは基本はラジアルタイヤだ。この「ラジアル」という言葉は「放射状の」という意味で、カーカスを構成するコードが、トレッドの中心線に対して直角に配置されていて、タイヤを横から見るとコードが放射状になっていることから名付けられた。

画像2: 「きちんと知りたい!自動車メンテとチューニングの実用知識(飯嶋洋治 著/日刊工業新聞社)」より転載

「きちんと知りたい!自動車メンテとチューニングの実用知識(飯嶋洋治 著/日刊工業新聞社)」より転載

一方、バイアスタイヤはクロスプライタイヤとも呼ばれる。コードの層をプライと呼ぶが、製造工程でプライを斜め(バイアス)に切ることからこの名称となった。ラジアルタイヤが普及するまでは一般的なタイヤだった。トレッドにベルトば巻かれたラジアルタイヤに比べて乗り心地は良い方向になるが、耐摩耗性に劣るなどのデメリットがある。

画像: 1970年代くらいまではバイアスタイヤが乗用車でも用いられた。旧車用として今でも販売されているものもある。

1970年代くらいまではバイアスタイヤが乗用車でも用いられた。旧車用として今でも販売されているものもある。

いずれにしてもタイヤは、トレッドのゴムの性質や、トレッドパターンで性能が大きく変わってっくる。ざっくりと説明すれば、トレッドのゴムのコンパウンドがドライ路面でのグリップ性能を、トレッドパターンがウエット路面での排水性・雨天走行時の性能を決める。

サイドウオールは、乗り心地と操縦性に関わる部分だ。ここが柔らかいと、上下にたわむことで衝撃を吸収しやすく乗り心地も良くなり、逆に適度な硬さを持っていればいわゆる「しっかり感」が出てくる。そして、ここの変形具合がタイヤのコーナリング性能に大きく関わってくる。

画像3: 「きちんと知りたい!自動車メンテとチューニングの実用知識(飯嶋洋治 著/日刊工業新聞社)」より転載

「きちんと知りたい!自動車メンテとチューニングの実用知識(飯嶋洋治 著/日刊工業新聞社)」より転載

サイズは、195/65R15 94Sのように表記される。それぞれの意味については上図を参照してもらった方が早いだろう。偏平率に関しては、現在は50や45などタイヤがロープロファイルでインチ数が大きいもが採用される傾向にある。(文:Webモーターマガジン編集部 飯嶋洋治)

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