タイトル写真:2021年8月17日20時(米国東部標準時間)、ブルックリンの会場でオンライン発表された後、ニューヨークのタイムズ・スクエアにゲリラ的に姿を現したNew Z。深夜のマンハッタンのど真ん中で、その姿は道往く人の熱い注目を集めた(Photo:ケニー中嶋)。
7代目のAll-New NISSAN Z、ニューヨークで発表
2020年9月16日にオンラインで公開された「Zプロト」からちょうど1年、満を持してZの米国仕様が8月17日20時(米国東部標準時間 日本では同18日9時)にニューヨークで発表された。本来は17日にオンラインで発表後、19日から開催が予定されていた「ニューヨーク国際オートショー」に出品されるはずだったが、折からのコロナ禍によりショーは中止。お披露目は17日に日産が独自に用意したブルックリンの特設会場でのオンライン発表となった。
登壇したアシュワニ・グプタCOOは、新型Zを「7代目のAll-New NISSAN Z」と呼び、冒頭に「アルファベット1文字で、説明できる希有なクルマ」と述べた。歴代Zには240Zや280Z、300ZX、350Z、370Zと(排気量を示す)数字が付けられていたが、今回は「Z」のみ。「NISSAN GT-R」とともに日産の双璧を成すヘリテージ・スポーツカーの新たな誕生を高らかに宣言した。
Zプロトと比較すると、その仕様は細かな部分で異なっているものの、95%以上はそのまま。外観やパワートレーンの仕様もほぼそのままとなっている。今回発表されたのは、2022年春発売予定の米国市場仕様。グレードは「Sport」「Performance」の2グレードで、これに240台限定の「Proto Spec」が用意される。
パワートレーンは1スペックで、3L V6ツインターボエンジンに6速MT。これに新開発の9速ATを加え、400hp(405ps)&350lb-ft(475Nm)の最高出力&最大トルクを発生する。基本的にスカイライン400Rと同じユニットのVR30DDTTであるが、6速MTや9速ATの採用に合わせて手が加えられた。また、リサーキュレーションバルブを採用し、アクセルOFF時のターボの動作に合わせて最適化が図られている。ちなみに、6速MTは大トルクのVR30DDTTに対応するため、クラッチディスクとギアトレーンを強化。新設計のシンクロナイザーシステムも採用されている。
そして注目の9速ATは、幅広いギアレンジにより、ダイレクトで素早いレスポンスを実現しており、通勤や高速道路でのロングドライブに最適なスタンダードモードと、ポテンシャルを最大限に引き出すスポーツモードを選択可能としている。このスポーツモードは、より速い加速制御に加え、ステアリングやVDC(横滑り防止装置)に専用制御を採用することで、ワインディングロードをキビキビと駆け抜けるのに最適な設定ということだ。
さらに注目したいのが、「アドバンスト ローンチ アシスト コントロールシステム」。これは日産のFR車として初めて、停止状態からの加速性能のポテンシャルを最大限発揮するためのデバイスで、AT全車、MT車は「Performance」グレードのみに搭載される。