乗り心地はすこぶる快適。視界も良好
都心を出発してから100km、200kmと走行距離を重ねても、私はほとんど疲れを感じなかった。その理由は、ヴェゼル e:HEVのハイブリッドシステムがスムーズかつ滑らかにパワーを生み出してくれることに加えて、乗り心地がすこぶる快適なことにあった。
もう少し詳しく説明すると、高速道路の目地段差でもガツンというショックが伝わらないくらい足まわりはしなやかなのに、大きな路面のうねりを勢いよく通り過ぎてもボディがフラットな姿勢を保ってくれるのだ。もしもボディが前後左右に揺れると、人間は無意識のうちに姿勢を保とうとして背筋や腹筋に力が入り、これを繰り返すうちに疲労感が溜まっていく。ところが、姿勢がフラットなヴェゼルであれば腹筋や背筋を使う機会が少ない。だから疲れにくいのである。

水平基調で広々感を演出するとともに、Aピラーの位置を工夫することで良好な視界を実現。市街地での安全性向上はもちろん、高速道路での視線の移動量を減らして、疲労軽減にも貢献している。
さらにいえば、シートの掛け心地のよさも疲労軽減に利いているはず。ヴェゼルのシートは、表面のクッションがなんだか低反発枕のようにじんわりと沈み込んで身体を支えてくれるのだ。ヴェゼルでロングクルージングしても疲れにくい理由は、こんなところにも隠れているのだろう。
同じ室内の話題でいえば、運転席からの眺めが広々としているところもヴェゼルの長所のひとつ。それも単純に数字で表現できる視界の広さだけでなく、人間工学に基づいた「視界の作り込み」という点でもヴェゼルは優れている。
たとえば、運転席から見たヴェゼルのダッシュボード上面がフラットですっきりした形状に仕上げられているけれど、これはドライバーの目の前に複雑な形状のものを置いてストレスを募らせない工夫のひとつ。同じ考え方から、停止状態にあるワイパーがほとんど視界に入ってこないように配慮されている。
さらにいえば、横から前へ、前から横への視線移動が無理なく、そして連続的に行えるような工夫も施されている。これを実現するため、ドアミラーをAピラーの根本でなくドア側に固定することでドアミラーとAピラーの間にすき間を作り、たとえば交差点を右左折する際に死角に入りがちだった歩行者を発見しやすくしているのだ。

大谷レポーターに「低反発枕のよう」と言わしめた絶妙なホールドを実現しているフロントシート。

リアシートはボディサイズから想像できないほど広々。大人4人のロングツーリングも楽々こなす。

リアシートはチップアップ&ダイブダウン機構付6:4分割可倒式。フラットな荷室は使い勝手が良い。

燃費の良さも重要なポイント。東北道では、ECONモードでFFモデルは23.3km/L、AWDモデルは19.7km/Lを記録(100km巡行時)。ノーマルモードではそれぞれ21.4km/L、17.8km/L(同)を記録した。