精緻なバランスの上に成り立つ絶妙なデザイン
FFモデルとAWDモデル、2台のホンダ ヴェゼルe:HEV Zを引き連れてやってきたのは、都内からおよそ300km離れた磐梯吾妻スカイラインのとある駐車場。ここで新型ヴェゼルのデザインを改めて観察してみることにする。
まず思ったのは、隅々に至るまでバランスを計算し尽くされたスタイリングであること。ボディサイドのキャラクターラインを間に挟んで、その上側と下側のボリューム感がなんとも心地良く、また収まりがいい。同じくボディサイドにおけるタイヤのボリューム感は比較的大きめで、こちらは力強く大地を踏みしめている印象を与える。そして長いホイールベースと短い前後のオーバーハングのバランスは、走りの安定感と敏捷さの両方を表現しているように思う。
クルマの前後を見渡すと、ヴェゼルのデザインが高い精度で作り込まれていることがわかる。とりわけ印象的なのがリア・コンビネーションライト周りの精度感で、テールゲートのプレスラインはしばし見とれてしまうほど緻密で美しい仕上がり。ヴェゼルのデザインがシンプルでありながら印象深いのは、前述したバランスの良さと優れた精度感によるものだと私は捉えている。

ヴェゼル e:HEV ZのAWDモデル。外観ではFFモデルとの違いはほとんどない。

よく見ると、リアの下回りにデフキャリアが見える。外観ではこれが唯一の識別点だ。

全長4330mm、ホイールベースは2610mmで、こちらもFFモデルとAWDモデルは共通。

全幅は1790mmで日本の道路事情に最適なサイズ感。最小回転半径はFFもAWDも5.5m。

FFの最低地上高は195mm、AWDはリアホイールのデフキャリアのぶんだけ低くなり180mmとなる。

リアゲートは複雑なプレスラインで構成されていて実に美しい。