エンジンと足まわりのマッチングが絶妙だった
もちろん、走りの部分にも手が入れられている。エンジン系ではスロットルバルブの大口径化とコンピュータの再セッティング、エキゾーストも変更されている。聞けば、トランスミッション(CVT)の耐久性も考えて、パワーアップは25ps程度におさえているというが、果たしてそのフィーリングはどのように変化しているのだろうか。
走り始めると、2000〜3000rpmあたりの中間域のトルクがより豊かになっている感覚が強く、ピックアップに鋭さが増した印象だ。また、アイドリング時は比較的静かだが、いざスロットルを開けると爽快な排気音が広がっていくところが心地良い。
足まわりについても好印象だった。19インチのタイヤ&ホイールでは乗り心地が気になるところだが、うねりや突起を乗り越えるときのいなし方が実にうまく、入力をスッと一発で収めてくれた。走りと乗り心地を両立するためにセットアップしたこと、そしてタイヤ銘柄をBSのポテンザS001としたことが功を奏しているのだろう。さすがに荒れた路面でバネ下の動きが大きくなると、ややタイヤ&ホイールがバタつく印象があるが、それはほんの一部のことだ。
それよりも目を見張るのは、コーナリング時における見事な安定感。背の高いSUVとは思えないほどに路面に吸い付く感覚が得られている。ジュークはノーマルでもこの手のクルマにしては走りが楽しめるクルマだが、インパル ジュークはその上を行く。ボディ形状が違うからホットハッチとは呼べないけれど、ホットSUVと呼んでもおかしくないほどの性能が宿っている。
SUVだからと手を抜くことはなく、ルックスから走りまでを徹底的に磨きこんだインパル ジューク。このクルマはジュークに新たな可能性があることを分かりやすく見事に示してくれたように思える。これぞ日産車の魅力をフルに引き出す、ホシノインパルならではの仕事ぶりといえるだろう。
■日産 ジューク 16GT FOUR(ベース車両) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4135×1765×1570mm
●ホイールベース:2530mm
●車両重量:1380kg
●エンジン種類:直4 DOHCターボ
●排気量:1618cc
●最高出力:140kW<190ps>/5600rpm
●最大トルク:240Nm<24.5kgm>/2000〜5200rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:フロント横置き4WD
●JC08モード燃費:12.6km/L
●タイヤサイズ:215/55R17
●当時の車両価格(税込):245万1750円