雪上性能に加え、耐摩耗性の向上も追及
大雪による都市部の交通事故が社会問題化し、ハイヤー/タクシー会社への冬用タイヤの装着ルールが、近年厳格化の一途をたどっている。
そのルール厳守は行われているものの、事業者にとってスタッドレスタイヤの購入や、シーズンごとのタイヤ交換、使用しないタイヤの保管などに関わる手間やコストの増加が課題となっていることも事実だ。
結果、ドライ/ウエット路面から冬の降雪による雪道まで1年を通じて使用できるオールシーズンタイヤに注目が集まった。横浜ゴムが、東京のハイヤー/タクシー会社である国際自動車とともに約2年をかけ、トヨタ「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」用オールシーズンタイヤ「TAXI TOURING A/S(タクシー・ツーリング・エーエス)」を共同開発してきたのも、その理由からだ。
TAXI TOURING A/Sは、オールシーズンタイヤとしての雪上性能をはじめ、ウエット性能、ドライ性能を確保しながら、タクシー用タイヤに求められる耐摩耗性能の向上も追求されているところが大きな特長となる。
トレッドパターンには、十字グルーブやオールシーズン3Dサイプなどの、横浜ゴムの高度なグルーブ/サイプ技術が投入され、イン側はウエット性能、センター部は雪上性能、アウト側はドライ性能を発揮する専用に開発された左右非対称パターンが採用される。
そして、タイヤの周方向に配された長さの異なる「5ピッチ・バリエーション」は、優れた静粛性の実現を担い、マイクロシリカおよび末端変性ポリマーと複数のポリマーの最適配合によるコンパウンドは、雪上性能とウエット性能を高次元で両立させながら燃費性能に貢献。正方化されたプロファイルは、接地面積を最大化することで、乗員数や荷物の量で荷重が変化しても均一な接地圧を保持し、偏摩耗を抑制するためのものだ。
サイドウォールに打刻された「M+S(マッド&スノー)」規格のマークは、サマータイヤよりも積雪路を走行できる証だ。国際基準で定められたシビアスノータイヤ条件にも適合しており、欧州で冬用タイヤとして認証されたことを示す「スノーフレークマーク」も打刻され、高速道路の冬用タイヤ規制時にも対応する。
ハイヤー/タクシー会社にとって多くのメリットを感じさせてくれるTAXI TOURING A/Sだが、これまでは共同開発を行った国際自動車への販売だけだった。それが、2021年11月1日より全国での本格販売が開始されることとなったのだ。サイズは185/65R15 88Hのみで、価格はオープン設定となる。