ペレスのプレッシャーに、ハミルトンは思い切った戦略をとれず
予選で3番手に終わったフェルスタッペンが、決勝では完璧なスタートを見せて一気に首位を奪うと、その後は圧倒的なペースで2番手ルイス・ハミルトン(メルセデス)、3番手セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)との差を広げていった。
ここでのポイントはポールポジションのバルテリ・ボッタス(メルセデス)がスタートの混乱に巻き込まれて最後尾まで後退したこと。ハミルトンはフェルスタッペンを追いかけながら、すぐ後方のペレスをケアしなければならない状態となった。
トップ3の中でもっとも早くタイヤ交換に入ったハミルトンは、29周目にミディアムからハードタイヤに交換。しかし、これはフェルスタッペンにプレッシャーをかけるというより、ペレスの動きを牽制してのものだった。
フェルスタッペンはハミルトンのピットインから4周後の33周目、ミディアムからハードタイヤへのタイヤ交換を予定どおりにこなし、差を保ったまま危なげなくフィニッシュへと向かう。
一方、ペレスはタイヤ交換のタイミングを遅らせて40周目にピットイン。ハードタイヤに交換してハミルトンの約9秒後方の3番手でレースに戻ると、ここからハイペースで追い上げ、終盤にはハミルトンより10周分フレッシュなタイヤですぐ後ろに迫る。しかし、アウトドローモ・エルマノス・ロドリゲス・サーキットではオーバーテイクするまでには至らなかった。それでもペレスは母国GPで初めての表彰台、そして自身初の3戦連続の表彰台獲得となった。
コース上での順位の変動は見られなかったが、目の離すことのできないレース展開だったと言えるだろう。
後方では、ポイント獲得を諦めたボッタスがファステストラップの1ポイントをフェルスタッペンからもぎ取るべく残り5周でソフトタイヤへ交換、2度の交換までして最終ラップでようやくファステストラップをマークした。この1ポイントがドライバーズタイトル争いにどう影響するか興味深いが、メルセデスのタイトルへの執念を感じさせる戦略だった。
この結果、フェルスタッペンはドライバーズチャンピオンシップのリードを19ポイントに拡大。コンストラクターズチャンピオンシップでも、レッドブル・ホンダがメルセデスに1ポイント差に迫った。
フェルスタッペンはレース後、「今日はチームとファンにとって素晴らしい1日になりました。ペレスが母国での表彰台を獲得しましたし、これ以上ない結果だったと思います。スタートが大事だと分かっていましたが、3台が横に並ぶ状況で、僕が一番いい位置にいたので、ブレーキングを遅らせてリードをとることができました。そこからは自分の走りに集中し、いいペースで2位との差を広げられました。ピットインもスムーズで、レースを通してマシンの調子が良かったことがとても大きかったと思います。ペレスはここ数戦調子が良いですし、今日はルイスに最後までプレッシャーをかけ続けていました。チャンピオンシップのことはまだ考えていません。またブラジルでプッシュしていけるよう、チャレンジを続けていきます」とコメントしている。
また、タイヤを供給するピレリは「スタート時の路面温度は今シーズン最高の48度まで上昇し、ミディアムとハードタイヤが素晴らしい結果をもたらしました。フェルスタッペンがミディアムからハードに繋ぐ1ストップ戦略で優勝しましたが、多くのドライバーが同様の戦略を採って、比較的シンプルな1ストップのレースとなりました。ミディアムタイヤはスタート直後4周のセーフティカー導入もあり長いオープニングスティントに対応、ハードタイヤは低いデグラデーションで良好なレースペースを発揮してレースでの主役となりました。ソフトタイヤはボッタスがレース終盤にファステストラップを狙って使用しましたが、この高い路面温度では使用は限定的でした」とレースを振り返る。
シーズンも残り4戦、チーム戦略の重要性がさらに高まってくる。次戦第19戦ブラジルGPは11月12日から、ブラジル、サン・パウロ郊外のインテルラゴス・サーキットで開催される。
2021年F1第18戦メキシコGP決勝 結果
1位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)71周
2位 44 L.ハミルトン(メルセデス)+16.555s
3位 11 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)+17.752s
4位 10 P.ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)+63.845s
5位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+81.037s
6位 55 C.サインツ(フェラーリ)+1周
7位 5 S.ヴェッテル(アストンマーティン・メルセデス)+1周
8位 7 K.ライコネン(アルファロメオ・フェラーリ)+1周
9位 14 F.アロンソ(アルピーヌ・ルノー)+1周
10位 4 L.ノリス(マクラーレン・メル セデス)+1周
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リタイア 22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1ドライバーズランキング(第18戦終了時)
1位 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)312.5
2位 L.ハミルトン(メルセデス)293.5
3位 V.ボッタス(メルセデス)185
4位 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)165
5位 L.ノリス(マクラーレン・メル セデス)150
6位 C.ルクレール(フェラーリ)138
7位 C.サインツ(フェラーリ)130.5
8位 D.リカルド(マクラーレン・メルセデス)105
9位 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)86
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14位 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)20
2021年コンストラクターズランキング(第18戦終了時)
1位 メルセデス 478.5
2位 レッドブル・ホンダ 477.5
3位 フェラーリ 268.5
4位 マクラーレン・メルセデス 255
5位 アルピーヌ・ルノー 106
6位 アルファタウリ・ホンダ 106