2021年11月14日(日本時間15日)、F1第19戦ブラジルGPが開催され、3連勝を狙ったレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは2位に敗れた。優勝はパワーユニット交換で5グリッド降格の10番手からスタートしたメルセデスのルイス・ハミルトンだった。優勝を目前にしていたフェルスタッペンはなぜあっさりと敗れたのか。

ハミルトンの快進撃を抑えられず

ホンダファンにとってはちょっとショッキングな敗北だった。スタート1周目でフェルスタッペン-セルジオ・ペレスが1-2体制を形成したときは、レッドブル・ホンダの楽勝かとも思われた。

しかしパワーユニット交換によるグリッドペナルティで10番グリッドからのスタートとなったハミルトンの速さは凄まじく、5周目には早くもペレスの後ろ3番手につけると、19周目には抵抗するペレスをオーバーテイク。レース後、ペレスは「素晴らしいスタートを決めましたが、ルイスを抑えるのはとても難しく、全力を尽くしましたが、彼が速すぎてできませんでした。メルセデスの直線スピードは信じられないほどで、まるで彼らは違う星から来たかのようでした」と語っている。

その後、ペレスは3番手をキープするものの、バーチャルセーフティカーのタイミングでタイヤ交換を行ったボッタスの先行を許し、4番手に後退。それでも最終ラップでソフトタイヤに履き替えて、ハミルトンからファステストラップポイントを奪い取る健闘を見せた。

画像: ブラジルGPで4位となったレッドブル・ホンダのセルジオ・ペレス。不運にも、バーチャルセーフティカーのタイミングでタイヤ交換を行ったボッタスに3位の座を奪われた。

ブラジルGPで4位となったレッドブル・ホンダのセルジオ・ペレス。不運にも、バーチャルセーフティカーのタイミングでタイヤ交換を行ったボッタスに3位の座を奪われた。

一方、フェルスタッペンはハミルトンの足音を感じながら首位を走行。その位置を守るため、40周目、早めのタイミングで2度目のピットストップを敢行。再びハードタイヤを履き、メルセデス勢のアンダーカットを防御する。

フェルスタッペンはその後も激しくプレッシャーをかけるハミルトンに対して抵抗を図り、素晴らしいバトルを繰り広げるが、59周目についにパスを許し、2位でフィニッシュするしかなかった。

フェルスタッペンはレース後「今日は厳しい戦いになるのは分かっていましたが、少しだけ及びませんでしたね。激しくもいいレースでしたし、レースとはこうあるべきだと思います。トップスピードを見ると防御するのは厳しかったですし、彼らは新しいエンジンを投入していてパワーが向上するのは当然なので、今後のレースではそれが収まってくれればと思います。残り3戦もものすごく厳しい戦いになりますが、どうなるか見ていきましょう」とコメントしている。

たしかにニューエンジンに交換したハミルトンは驚異的に速かった。これにより、ドライバーズチャンピオンシップではフェルスタッペンのリードが14点となり、コンストラクターズチャンピオンシップではレッドブル・ホンダが11ポイント差の2位でメルセデスを追う形となった。

画像: 2位に敗れたマックス・フェルスタッペン。この日のハミルトンの速さを認めるしかなかった。

2位に敗れたマックス・フェルスタッペン。この日のハミルトンの速さを認めるしかなかった。

まだフェルスタッペン有利も、タイトル争いは混沌

タイヤを供給するピレリは「気温24度、路面温度は昨日よりも20度近く高い50度というコンディションでレースはスタートしました。スプリント予選が行われる際のレギュレーションにより、スタート時のタイヤ選択が自由な中、アルファタウリの角田裕毅を除くすべてのドライバーがミディアムタイヤでスタート。路面温度が高くなったことで、ハードタイヤがメインのレースタイヤとなりました。序盤の15周までにセーフティカー導入が発生し、前半に2回のバーチャルセーフティーカーが導入されたことから、1ストップ戦略が注目されましたが、ミディアム→ハード→ハードの2ストップ戦略をとった3台が上位を占めました。上位勢で戦術的な『アンダーカット』が繰り広げられたことも影響していますが、3名が1ストップを、2名が3ストップ戦略を実行し、7種類の異なるタイヤの組み合わせが見られました。この点は、戦略の多様性を示しています。そんな中、ルイス・ハミルトンは、スプリント予選の最後尾から決勝で優勝を果たす素晴らしい仕事をしました」とレースを振り返る。

シーズンは残り3戦。まだフェルスタッペン有利な状況に変わりはないが、今回の敗戦で残り3戦で少なくとも1勝は必要になってきた。となるとメルセデスのニューエンジンの速さは大きな脅威で、そのパワーがどこまで維持されるのかがポイントとなってきた。

画像: クリーンで素晴らしい戦いを見せたハミルトンとフェルスタッペン。残り3戦、チャンピオン争いの結末はまだわからない。

クリーンで素晴らしい戦いを見せたハミルトンとフェルスタッペン。残り3戦、チャンピオン争いの結末はまだわからない。

画像: ブラジルGPのタイヤ戦略。上位3台はいずれもミディアム-ハード-ハードの2ストップとなった。

ブラジルGPのタイヤ戦略。上位3台はいずれもミディアム-ハード-ハードの2ストップとなった。

F1サーカスは、ブラジルGPから休む間もなくすぐにカタールに移動。11月19日金曜日、カタールのロサイル・インターナショナル・サーキットでカタールGPが開幕する。

2021年F1第19戦ブラジルGP決勝 結果

1位 44 L.ハミルトン(メルセデス)71周
2位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)+10.496s
3位 77 V.ボッタス(メルセデス)+13.576s
4位 11 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)+39.940s
5位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+49.517s
6位 55 C.サインツ(フェラーリ)+51.820s
7位 10 P.ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)+1周
8位 31 E.オコン(アルピーヌ・ルノー)+1周
9位 14 F.アロンソ(アルピーヌ・ルノー)+1周
10位 4 L.ノリス(マクラーレン・メル セデス)+1周
・・・・・・・・・・・・・
15位 22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)+1周

2021年F1ドライバーズランキング(第19戦終了時)

1位 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)332.5
2位 L.ハミルトン(メルセデス)318.5
3位 V.ボッタス(メルセデス)203
4位 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)178
5位 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)151
6位 C.ルクレール(フェラーリ)148
7位 C.サインツ(フェラーリ)139.5
8位 D.リカルド(マクラーレン・メルセデス)105
9位 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)92
・・・・・・・・・
14位 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)20

2021年コンストラクターズランキング(第19戦終了時)

1位 メルセデス 521.5
2位 レッドブル・ホンダ 510.5
3位 フェラーリ 287.5
4位 マクラーレン・メルセデス 256
5位 アルピーヌ・ルノー 112
6位 アルファタウリ・ホンダ 112

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