トヨタ自動車系サブスクリプションサービスを展開している株式会社KINTOが、「電気自動車(BEV)への関心度調査」の結果を、2021年11月16日に発表した。調査対象は「SDGsの意味を他人に説明できる」意識高い系のユーザー550名。なんとそのうちの約4割が、次の買い替え対象にBEVを検討しているという。そこから見えてきたのは、BEV普及にまつわるさまざまな課題だった。

7割がガソリン車を所有。ただし4割はなんらかの電動車に乗っている

画像: トヨタが2022年年央のグローバルリリースを計画しているBEV「bZ4X」。SUBARUのAWD技術、X-MODEをトヨタ車としては初めて採用。BEVらしからぬ高い走破性を実現しているという。

トヨタが2022年年央のグローバルリリースを計画しているBEV「bZ4X」。SUBARUのAWD技術、X-MODEをトヨタ車としては初めて採用。BEVらしからぬ高い走破性を実現しているという。

テレビCMなどでもすっかりおなじみの「KINTO」。トヨタ自動車が展開しているサブスクリプションサービスだが、それを運営している株式会社KINTOが、電気自動車(Battery Electric Vehicle)に対する意識調査を実施した。

画像: 7割がガソリン車を所有。ただし4割はなんらかの電動車に乗っている

調査概要:電気自動車(BEV)への関心

  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査期間:2021年11月1日〜11月4日
  • 有効回答:現在クルマを保有しており、かつSDGsを他人に説明できると回答した方550名

調査対象は比較的「環境保全に対する意識が高い」人々と考えられるが、実際に現在、保有しているクルマの種類は(複数回答可)純粋な「ガソリン車」が約7割と最多、続いて「ハイブリッド車」が約3割、「ディーゼル車」が約7%となっている。

さらに続いて「プラグインハイブリッド車」と「BEV」は、それぞれ4.7%と4.5%で拮抗。「燃料電池車」も3.1%が所有・・・実に4割以上がなんらかの電動車に乗っているのは、さすがだろう。

画像: PHEVやFCEVに対する関心も、一般的な割合より高めと言えそう。さすがに環境問題に対する意識は高い。

PHEVやFCEVに対する関心も、一般的な割合より高めと言えそう。さすがに環境問題に対する意識は高い。

一方で「あなたがクルマを買い換えるとしたら、次は何を選びたいですか。」(複数回答)という質問に対しては、「ハイブリッド自動車(HEV)」が56.4%でトップ。驚いたことに、次点は「電気自動車(BEV)」の37.8%、「純ガソリン車」は僅差で3位の37.1%という回答だった。

EVを選ぶ理由×選ばない理由。それでも関心度は高い

画像: bZ4Xのインテリア。BEVならではの運転の楽しさ、可能性を期待させるワクワク感の提供もまた開発テーマのひとつだ。画像の超先進的なステアリングホイールは、一部車種に設定される予定のバイワイヤシステムを採用した仕様。

bZ4Xのインテリア。BEVならではの運転の楽しさ、可能性を期待させるワクワク感の提供もまた開発テーマのひとつだ。画像の超先進的なステアリングホイールは、一部車種に設定される予定のバイワイヤシステムを採用した仕様。

「買い替え後のクルマとして、電気自動車を選んだ理由」という質問(複数回答)には、環境だけでなくお財布にも優しい、というBEVについての好イメージが表れている。「排気ガスがなく環境に優しいから」が59.6%でトップ、「カーボンニュートラルに配慮しているから」が45.7%で3位に入った。2位はと言えば「走行コストが安いから」(49.0%)。

さらに、クルマそのものとしての魅力に対する期待値も高い。「走行中の騒音や振動が少ないから」(36.1%)/「加速性能が高い(鋭い)から」(27.9%)/「先進的でかっこいいから」(16.3%)といった電気自動車ならではのパフォーマンスの高さもまた、好感を抱かれているようだ。

画像: どうしても「充電」に関する問題はネックとならざるを得ない。インフラの整備がやはり急務か。

どうしても「充電」に関する問題はネックとならざるを得ない。インフラの整備がやはり急務か。

一方で、「電気自動車を選ばなかった方にその理由」を訪ねる質問では、まずは「車両価格が高額」(53.8%)、さらに「外出先で充電できる場所が少ない」が50.0%、「フル充電で走れる距離(航続距離)が短いから」が47.7%という回答となった。少数意見も含めて見てみれば、BEVに対する認知度はまだまだけっして高くはないのかもしれない。

それでも「買い替え後のクルマとして、「電気自動車」以外を回答した方に、電気自動車に試乗できる機会があれば、乗ってみたいと思いますか。」と質問を重ねてみると、「非常に思う」と「やや思う」を合わせるとおよそ7割近くがポジティブに回答。けっして関心がないわけではないのだ。

普及を進めるためには、不安や疑念をわかりやすく払拭することが重要だ

画像: TOYOTA bZシリーズは、「beyond Zero(ゼロを超えた価値)」を目指したBEV。「e-TNGA」の考えに基づいた専用プラットフォームを採用する。駆動系にはモーター、トランスアクスル、インバーターを一体化したe-Axleが採用される。

TOYOTA bZシリーズは、「beyond Zero(ゼロを超えた価値)」を目指したBEV。「e-TNGA」の考えに基づいた専用プラットフォームを採用する。駆動系にはモーター、トランスアクスル、インバーターを一体化したe-Axleが採用される。

最後に、全員に対して「電気自動車に期待したいことを教えてください」と言う質問が投げかけられた。「車体価格を下げてほしい」が71.8%というのは、当然と言えばあまりにも当然の結果か。

「外出先でも充電できる環境を増やしてほしい」(60.9%)、「フル充電で走れる距離(航続距離)を伸ばしてほしい」(60.9%)と、やはりドライブレンジに対する不安感を抱く人も多いようだ。ほかに、災害時やキャンプなどでの給電機能を重視する声もかなりある(それぞれ48.2%、23.3%)。

これまではハイブリッドにこだわり続けてきたトヨタも、「bZ4X」を皮切りにグローバルで本格的なBEVラインナップ戦略を進めていこうとしている。2025年までにbZシリーズ7車種を含む計15タイプがリリースされる予定だ。

単なる移動手段としてだけではないBEVならではの魅力をわかりやすく訴求することができれば、より幅広いユーザーの関心を刺激することができるはず。あとはなにより、その愉しさと便利さをガソリン車と同じように「普通に」満喫することができるインフラと環境の、本気の整備が急がれる。(Webモーターマガジン編集部 神原 久)

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