ホンダは開設から20年を迎えた細江船外機工場(静岡県浜松市)と、中国にあるホンダパワーオブプロダクツにて船外機を生産しているが、その生産台数が2021年8月に世界累計200万台を達成している。さらにホンダにかかわるすべての製品と企業活動を通じたカーボンニュートラルの実現にむけ、電動推進機のコンセプトモデルを発表している。
画像: ホンダの細江船外機工場。ここでは8馬力から250馬力までの20種類の船外機を生産している。

ホンダの細江船外機工場。ここでは8馬力から250馬力までの20種類の船外機を生産している。

「水上を走るもの、水を汚すべからず」という信念

ホンダが船外機を初めて世に送り出したのは1964年7月のこと。当時の船外機市場は、2ストロークエンジンしかなかったが、創業者の本田宗一郎氏の「水上を走るもの、水を汚すべからず」、つまり水を絶対に汚さないという信念のもと、4ストローク船外機「GB30」で市場に参入した。そこにあるのは、技術で人に貢献するというものである。これがホンダのマリンビジネスの原点であり、現在もそれは貫かれている。

ところでホンダのマリン事業と船外機ビジネスを少し振り返ってみたい。前述したホンダ初の船外機「GB30」が浜松製作所で生産・販売開始されたのは1964年7月のことである。その後、1997年には船外機の生産累計台数50万台を達成している。そして2001年10月に浜松製作所における船外機生産を終了、船外機の専用工場となる細江工場が開設された。また同年11月には、VTEC・可変吸気システム・PGM-F1採用の「BF200」、「BF225」の販売も開始された。

そして2004年に生産累計100万台を、2011年には生産累計150万台を達成し、順調に船外機ビジネスを成長させている。2015年には、中国本部福建ミンドン本田発電機有限公司(FMH)にて2〜6馬力までの小型船外機生産を開始、2021月に生産累計台数200万台を達成したのである。ちなみに細江船外機工場では現在、8馬力から250馬力まで20機種の船外機を生産している。

画像: ホンダ初の船外機「GB30」。1964年に生産・販売が開始されている。

ホンダ初の船外機「GB30」。1964年に生産・販売が開始されている。

画像: ホンダの船外機世界累計生産200万台達成記念に制作された「BF200」。

ホンダの船外機世界累計生産200万台達成記念に制作された「BF200」。

2050年のカーボンニュートラル実現に向けて電動推進機を発表

ホンダは2050年にすべての製品と企業活動を通じてカーボンニュートラルを目指している。それは二輪、四輪だけではなく、船外機も同様である。すでに他の製品で電動化が進んでいるホンダだが、唯一残されていたのは船外機なのである。そこで、この船外機の世界累計販売200万台、細江船外機工場20周年という記念すべきイベントに、創業者の想いをあらためて具現化する次世代のクリーンな船外機の提案として、現在開発中の小型電動船外機のコンセプトモデルを発表した。

画像: 写真左から、平田達也細江船外機工場工場長、マリン事業部佐藤部長、ライフクリエーション事業本部 板井常務取締役、ライフクリエーション事業本部長 加藤事業本部長。

写真左から、平田達也細江船外機工場工場長、マリン事業部佐藤部長、ライフクリエーション事業本部 板井常務取締役、ライフクリエーション事業本部長 加藤事業本部長。

この小型電動船外機は、ゼロエミッションであるだけでなく、低騒音、低振動、発進時からの高トルクなど電動化モデルらしいメリットを持ち、電力源にはホンダの脱着式可搬バッテリー「Honda Mobile Power Pack(モバイルパワーパック)」を採用している。

今回発表された小型電動船外機コンセプトモデルは、5〜6馬力相当の出力を持ち、モバイルパワーパック1個で約40分の稼働が可能だという。電動化は小型船舶のほうが親和性も高く、モバイルパワーパックの使用を前提にした商品化もこのサイズのものになるようである。

画像: 小型電動推進機のコンセプトモデル(船体は別)。手前に見えるのがHonda Mobile Power Pack。

小型電動推進機のコンセプトモデル(船体は別)。手前に見えるのがHonda Mobile Power Pack。

「水上を走るもの、水を汚すべからず」という、創業者本田宗一郎氏の信念で始まったホンダのマリン事業は、電動化という新たなステージに入った。陸上でも水上でもホンダは技術開発によってカーボンニュートラルへ挑戦している。(文と写真:千葉知充/写真:Honda)

This article is a sponsored article by
''.