2021年11月26日、愛知県豊田市はWRC(世界ラリー選手権)の日本イベント「ラリージャパン」を2023年〜2025年に開催するための補正予算案を市議会に提出する意向を発表した。

2022年のWRC、ラリージャパンは11月に開催予定

2021年のWRCで、マニュファクチャラーズタイトルをトヨタが、ドライバーズタイトルをセバスチャン・オジェ(トヨタ)が獲得、トヨタ勢圧勝の結果を残して11月22日に閉幕した。トヨタにとって最高の結果となったことは間違いないが、残念なことは11月に開催予定だったラリージャパンが中止となってしまったことだ。当時の新型コロナウイルス感染状況を鑑みての判断であり、同じ理由で中止となった2020年も合わせると2年連続で涙を呑むこととなった。

そして2022年、大きなトラブルさえなければ11月10日〜13日の日程でラリージャパンが開催される。このスケジュールはすでに公式に発表されたもので、楽しみにしている人も多いことだろう。

では2023年以降のラリージャパンはどうなっているのか、実はまだ決まっていない。

そこで愛知県豊田市は、2023年〜2025年の3年間に世界ラリー選手権を開催する準備を進めるため、12月の市議会定例会に補正予算案を提出するという。市議会での予算案の審議を経て、2022年1月に日本自動車連盟(JAF)にWRC開催の申請を行うなど、手続きを行う予定としている。

画像: 豊田市の太田稔彦市長、記者会見の様子。

豊田市の太田稔彦市長、記者会見の様子。

こうしたWRCを含め、一般的にモータースポーツを開催するにあたって、地方自治体が主催者になるケースはこれまでになかったと豊田市の太田稔彦市長は言う。確かに2004年〜2010年に北海道で開催されたラリージャパン(2009年は開催なし)の主催者は地方自治体ではなかった。

そうした中、WRCの開催候補地プロモーターから豊田市宛に「主催者にならないか」という打診があったという。2020年〜2022年WRCの開催地に選ばれていた豊田市、加えて2019年のラグビーワールドカップの開催経験をもつ豊田市に白羽の矢が立ったようだ。

太田市長は「このWRCについては、本市としては単なる興行イベントとは捉えていません。山間地の振興、交通安全の推進、自動車産業の振興といった極めて公益性の高いスポーツイベントと捉えています。豊田市が主催する意義はそういったところにあると考えています」とコメントしている。

以下、愛知県豊田市発表の内容

■補正予算(債務負担行為)について

・事項 :世界ラリー選手権開催負担事業
・限度額:12億8700万円に為替変動に伴う増減額を加算した額
・期間 :令和4~7年度
※ユーロでの分割支払。12億8700万円は令和3年11月1日現在のレートで算出。支払時点のレートとの差額が出るため、為替変動に伴う増減額が加わる。

■補正理由

本市はラリーをまちづくりにいかすために世界ラリー選手権の継続的な開催が必要と考えており、開催を継続するには、本市が運営主体となり、経費の一部の支払いを約束する必要があるため債務負担行為として補正予算案を提出する。

■世界ラリー選手権の開催により期待される効果

・大会を通じて山村の価値を発信し、世界から共感を得ることで、市民が愛着と誇りを持ってその価値を守るなど、「豊田市山村地域の持続的発展及び都市と山村の共生に関する条例(案)」の理念と目的の実現に寄与する。
・国内外から多くの観客が訪れることによる、大きな経済効果を期待できる。
・地域に利益を還元するとともに、開催のノウハウ等を蓄積することにより、地域資源をいかした地域内の経済循環を高める。

■補正予算案議決後のスケジュール

令和4年
1月:JAFに令和5年大会の開催申請を提出
4月:庁内に開催準備のための組織を立ち上げ
4月:JAFの審査後、国際自動車連盟(FIA)に開催申請を提出
11月頃:FIAが令和5年大会の開催地及び時期を決定し公表

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