大きく分かれたタイヤ戦略がどういう結果をもたらすか
息詰まるチャンピオン争いを繰り広げるフェルスタッペンとハミルトンの戦いは、予選から激しいものとなった。
まず、トップ10の決勝スタートタイヤが決まるQ2では、ソフトとミディアムで戦略が大きく分かれることになる。ミディアムタイヤでのアタックラップでフラットスポットを作ってしまったフェルスタッペンは、その後ソフトタイヤに交換してトップタイムをマーク。チームメイトのペレスもソフトタイヤを装着して2番手タイムを出してQ3に進む。
一方、メルセデスのふたりはミディアムタイヤで難なくQ2をクリア。決勝スタートでレッドブル・ホンダのふたりはソフトタイヤ、メルセデスのふたりはミディアムタイヤを装着することになった。
結果的にフェルスタッペンはミディアムタイヤでもQ2をクリアできるタイムを出しており、大事をとってのソフトタイヤ装着だったのか、それとも意図的な戦略変更だったのかはわからない。
ポールポジションを決める運命のQ3では、フェルスタッペンが最初のラップで驚異的な走りを見せ、トップタイムを叩き出す。チーム戦略により、ペレスが2本のバックストレートでフェルスタッペンにトゥを与えた後に順位を入れ替えて、フェルスタッペンのタイムアタックをフォロー。フェルスタッペンはトップタイムをマークした後、そのまま走り続けて、今度はペレスにトゥを与え返してペレスのアタックを支援した。
この作戦はずばりと当たり、その後、ハミルトンはタイムを更新することができず、フェルスタッペンが今シーズン10回目のポールポジションを獲得。抜きにくいサーキットで、タイトル獲得に向けて大きく前進した。
決勝スタートでソフトタイヤを履くフェルスタッペンがそのグリップの良さでどんなダッシュを見せるのか、予選2番手のハミルトンが状況に柔軟に対応できるミディアムタイヤスタートでどんな戦略に出るのか、注目が集まる。
チームメイトは、ペレスが4番手、ボッタスが6番手スタートとなっているが、このふたりの動きもキーポイントになりそうだ。
マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
「今日のようなパフォーマンスができるのはいいことですが、明日もそれが続くとは限りません。明日のレースはとても激しい戦いになると思います。決勝はミディアムタイヤでスタートを予定していましたが、タイヤにフラットスポットを作ってしまったために、ソフトで行かざるを得ませんでした。ただ、ロングランでのソフトタイヤの感触は悪くなかったので、明日のレースでもうまく作用してくれることを願っています。これまで、マシンからはいい手応えを感じていますし、フリー走行を通して改善をすることもできました。すべてがうまくいっていると思いますし、特にペレスからトゥをもらえたことが一番助けになりました。彼はすばらしいチームメートであり、彼と一緒に戦えていることに感謝をしています。明日はいいスタートを切って、最高のレースをしたいですね」
ルイス・ハミルトン(メルセデス)
「今日はマックスは素晴らしい走りをしました。最後のラップはいいフィーリングでしたが、あれ以上タイムを縮めることはできませんでした。それでもフロントロウからいい位置でのスタートですし、タイヤの違いがあり、マックスがどこにいるかを見ることができますし、良いレースができることを願っています」
なお、アルファタウリ・ホンダの角田裕毅はすばらしい走りを見せ、ミディアムタイヤでQ2を突破すると、Q3でも8番手タイムをマーク。初めて予選でチームメイトのピエール・ガスリーを上回った。角田裕毅とメルセデス勢だけがミディアムタイヤで決勝スタートすることとなる。
F1最終戦アブダビGP決勝は日本時間12月12日22時(現地17時)に開始される。
2021年F1第22戦最終戦アブダビGP予選 結果
1位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)1:22.109
2位 44 L.ハミルトン(メルセデス)1:22.480
3位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)1:22.931
4位 11 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)1:22.947
5位 55 C.サインツ(フェラーリ)1:22.992
6位 77 V.ボッタス(メルセデス)1:23.036
7位 16 C.ルクレール(フェラーリ)1:23.122
8位 22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)1:23.220
9位 31 E.オコン(アルピーヌ・ルノー)1:23.389
10位 3 D.リカルド(マクラーレン・メルセデス)1:23.409
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12位 10 P.ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)