日本市場におけるステーションワゴンのジャンルで、ひとり勝ちと言っていいほどの人気を博しているスバル レヴォーグ。そのラインナップの中でももっとも多く販売されている人気のグレードは、ZF製の電子制御式ダンパーや5つのドライブモードなどを備えたハイエンドの「STIスポーツ」だという。しかし、ここではあえて標準の足まわりとアイサイトXを採用する「GT-H EX」を選択し、約1カ月の間に取材&撮影の同伴車両として、また普段の足としても使用。すると、意外な特性が見えてきた。(Motor Magazine2022年1月号より)
しなやかなサスペンションストロークが心地よい
レヴォーグがレガシィツーリングワゴンの正統後継モデルであることは、初代の発売時にスバルが公言していたこともあり、多くの人が同じような認識でいるのではないだろうか。
スポーティで走行安定性に優れ、それでいて積載性能の高い使い勝手などは現行の2代目にももちろん引き継がれている。しかし今回、およそ1カ月に渡って、4000km近くを走行していると、従来からの「スポーティなステーションワゴン」とは少し違う一面を感じることになった。
というのも、過去のレガシィや初代レヴォーグなど、スバルのデビュー1年モデルの足まわりは比較的硬めのセッティングで、年次改良とともにしなやかになっていく印象を持っていた。ところが、デビュー1年目のレヴォーグは、予想外にコンフォートだった。
試乗開始の時点で、走行距離は1万kmを超えて慣らし運転も完了していたことも要因かもしれないが、サスペンションストロークはしなやかで道路の継ぎ目をはじめとする小さな段差を吸収して快適な走行を楽しませてくれる。
だからと言ってスポーツ性を損なうことはない。むしろフルインナーフレーム構造を取り入れたSGPプラットフォームによってボディ剛性は高く、ロール感も少ないので山岳路で軽やかに回頭してくれるのだ。ハイエンドグレードの「STIスポーツ」に採用される、ダンパーの減衰力を連続可変して快適性とスポーツ性をサポートしてくれる最新技術も魅力的だが、標準仕様でクルマの素の性能を味わえるGT-H EXもまた別の魅力を持っている。