スノー路面の挙動はスムーズ。4WDシステムとの相性の良さを実感できた
続いて、人工雪で作られたテストコースでスノー路面を体験した。残念ながらスタッドレステストとしてはなかなか難しい「雪質」での試乗となったが、条件的には、リアルにありがちなコンディションと言えるかもしれない。
「普段は雪が降らないエリアで想定外の大雪が降った翌々日の昼間、気温が上がってシャーベット状に変わった雪がわだち状に残っている、住宅街のやや狭い道路」といったシーンを思わせるコース設定だった。
このステージで用意されていた試乗車もすべて4WDだが、軽自動車からスポーティなワゴン、上級インポートカーまで、なかなかバラエティに富んでいた。限られた条件下だったが、加速時のトラクションやブレーキング性能に関しては、雪上であることを考えればどのモデルでも不満を感じることはない。
タイトなコーナーを曲がる時には、4WDとの相性の良さが実感される。ハンドルを切った状態でアクセルペダルを踏んでいった時のトラクションのかかり方が非常に素直なのだ。フロントタイヤだけでなく、リアタイヤの駆動もしっかり生かすことができるドライブ感覚は安心できるし、なかなかに楽しい。
ひとつ気になったのは、やはり軽量なモデルの乗り心地の硬さだった。もともとのサスペンションのポテンシャルももちろんあるのだろうけれど、デイズではやや落ち着きに欠ける印象があった。
総じてブロック剛性の高さは、優れた安定性、安心感につながるものだ。それを考えれば、やや硬めの乗り心地も許容範囲と言えるだろう。ちなみにそれはおそらく、「効き」と「持ち」やライフ性能の向上にもつながっている。氷上性能はもちろんのこと、スタッドレスタイヤにとって大切なさまざまな才能を、VRX3はしっかり磨きぬいているのだ。
さすがに今回の試乗だけではその魅力のすべてを体験することはかなわなかった。けれど、実際にさまざまなシチュエーションで時間をかけて付き合っていけば「2世代、8年間分の進化」のありがたみを、きっと実感できるハズだ。(文:Webモーターマガジン編集部 神原 久/写真:井上雅行、ブリヂストン)