新型フェアレディZの国内仕様のお披露目がいよいよ年明けに迫ってきた。脱炭素化に向けて各メーカーが新たなモビリティ戦略を提示する中、果たして日産はこの50年を超える名門ブランドのスポーツカーをどう繋げていくのか? この点を日産の内田誠社長兼CEOに訊いた。かつて、Z32フェアレディZを愛車とし、2020年9月のZプロト公開でも自らZの魅力を語った内田氏が、発売前の新型Zに寄せて、今後の日産とZへの想いを語る。ひとりの経営者として、そしてCar Guyとして、すべてのZ&日産ファンヘのメッセージを全2回にわたってお届けしよう(インタビュアーはFANBOOK編集部 森田浩一郎/「フェアレディZ Story&History Volume.2」より)

日産は日本市場をどう見ているのか?

──ちょっとZからズレますが、日産は日本市場をどう見ていますか? 市場規模を見ても日本市場はもうあまり重要視していないのではないのか? という声もありますが・・・。

内田氏:日産は日本で誕生しているし、ホームマーケットです。イノベーティブなことを進めるには、まず日本でできないと、海外にも展開することはできないと思っています。実際にプロパイロットやe-POWERなど、最新の技術は日本市場から投入していますし。また、セレナもデイズもルークスもキックス e-POWERもノートも日本専用モデルです。アリアも発売は日本からです。

もう少し言うと、我々は「ブランドというものを、日本のお客様にどう表現するのか。会社の企業価値をどうお客様にご提供できるのか?」ということをデザインするところだと思います。日本で企業価値を伸ばす、革新的な技術をどんどん進めて、海外にもそのノウハウを渡していくということだと思います。

──まさしくここが日産のGHQ、グローバルヘッドクォーターだと。

内田氏:そうです。そうです。

画像: 日産は日本市場をどう見ているのか?

──Zは当然、栃木工場で作って海外に出していく? もちろん、Zだけではないですが「国内市場を疎かにするつもりは全然ない」ということですか?

内田氏:ありません。

──(このインタビューの6日ほど前)スカイラインの開発中止という報道が一部でありましたが?

内田氏:我々からは何も申し上げていません。たぶん事業を見たときに、マーケットサイズで見ると、どうしても日本はまだ厳しいところはある。ただ、それはあくまでも「台数」という視点でしか見られていないと思う。僕が言いたいのは、会社としての「価値」を提供することをどう踏まえるか、です。

これからの日本の現状を見たときに、「日本の工場ってどうなるんですか?」という質問が生産現場からも挙がってきています。従業員の方々も心配されている。

みんな「台数」のことを真剣に考えてくれますが、工場はクルマを作るだけじゃなくて、革新的な「技術」も含めて日産の「価値」を作るところなのです、と。お客様に対して「これが日産だ!」と言えるものを作る、これを極めて欲しい。ちょっと美しく言っているようにも聞こえますけど、そこと事業のバランスをどうとっていくか。

じゃあ、日本をホームマーケットとして今まで力を入れていたのかというと、過去を振り返れば弱かったのかな。これから力を入れます! ということです。事業規模でいうと、たしかに中国やアメリカとかの方が大きいですが。

──まぁ、それは桁が違いますよね。

内田氏:例えばバッテリーですが、電気自動車でもリチウムイオンバッテリーって、技術的に日本は強かったですよね? でも、事業という側面で見ると厳しい。中国は非常に事業を上手くやった。もちろんスケールメリットはあります。ただ、そこだけではなく、これからのカーボンニュートラルの時代を見据えると、どんどんその構造を変えていかないといけない。本当に日本は技術があるので、事業化していくことが課題だと思っています。

経済原則で見てしまうと、多分、過去ウチがそういう風に見えていたことはあったのかもしれない。でも、それじゃあダメだよね。じゃあジャパンって何? 日本の匠とか技術とか言うのであれば、それって何?と。それが我々の「価値」に会社として繋げるのであれば、日本でどうやっていくのかというのを、明確にしていかないとダメだと思うのです。日本で生まれた日産ですし。

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