メインターゲットはデジタルネイティブの30代から40代
C40リチャージはボルボにとって日本市場初のBEVであり、車両前後にモーターを搭載して485kmの航続可能距離(WLTCモード)を実現するクーペフォルムSUVである。その発表で注目されたのはモデルの特徴だけでなく、オンラインのみだという販売方法についてだ。
最初の100台をサブスクリプション(以下、サブスク)による提供として、もう間もなく、2022年1月から専用に用意するWebサイトで販売されることになる。しかも、この販売方法はC40リチャージだけでなく、続いて登場するボルボのBEVすべてに適用されて少しずつオンライン販売のラインナップも拡大する。とは言ってもユーザーと販売店の接点がなくなるわけではなく、サブスクであってもナンバー取得のための法定手続きや納車、メンテナンスなどでディーラースタッフとの関係性は途切れない。
では、自動車のオンライン販売がまだまだ根付いていない日本市場で、なぜこの手法を取り入れたのだろうか。その理由のひとつは、30代から40代の比較的若い世代をC40リチャージのメインターゲットユーザーとして見込んでいるためだ。
デジタルネイティブと言われるこの世代より若い人たちは、なにかを購入するとき店員との対面による説明よりも、インターネットを介して自分で製品特徴を調べ、他社製品と比較して、他の人が使ったレビューを読み、それが自分に合っているかを検証して決める傾向にあるという。そのため、実際に店舗へ足を運ぶときはすでに購入する車両を心の中で決めていることも多い。ならばオンライン販売との相性も良いはず、ということだ。
さらに、プレミアムカーの購入を検討するこの世代のひとは、地球環境の悪化に強い倫理観を持つことも多い。BEVであり、レザーフリーで、そしてリサイクル原材料を使用したC40リチャージは間違いなく検討の選択肢に入るはず。各種税金や点検費用だけでなく、任意保険の保険料を月額料金の11万円に含まれていることも若者にとってメリットだ。
実際、このボルボの戦略は成功。限定100台に対してサブスクでの申し込み件数は575件に達し、2022年春ころの納車に向けて進行中である。またこの好評を受けて、第2弾の新しいサブスク導入を2022年内で検討中だという。新型車か、それとも新プランの登場だろうか。(文:Motor Magazine編集部 蔭山洋平/写真:蔭山洋平、ボルボ・カー・ジャパン)