2022年1月20日、FIA世界ラリー選手権(WRC)第1戦ラリー・モンテカルロが開幕する。ラリーは雪と氷を含むフランスアルプスの山岳地帯のターマック(舗装路)を舞台に行われ、23日にモナコ・モンテカルロでフィニッシュする。WRCは今季2022年からハイブリッドユニットを搭載する「ラリー1(Rally1)」が最上級カテゴリー車両となり、トヨタ、ヒョンデ(Hyundai)、Mスポーツ フォードがそれぞれニューマシンを投入、チャンピオンの座をかけて戦う。

ハイブリッドを搭載するRally1の新しい戦いが始まる

2021年シーズンの最終戦ラリー・モンツァ(イタリア)でトヨタがマニュファクチャラー選手権、ドライバー選手権、コ・ドライバー選手権を制してからわずか8週間後、2022年シーズン全13戦の開幕戦ラリー・モンテカルロが始まろうとしている。

注目はなんといっても、1997年から2021年まで25年間WRCのトップカテゴリーを支えてきたWRカーに替わり、2022年からはハイブリッドユニットを搭載する「ラリー1」がトップカテゴリー車両となること。ラリーの新しい時代が始まるというわけだ。

3.9kWhのバッテリーとモータージェネレーターユニット(MGU)からなるハイブリッドユニットは、加速時に最大で100kW(134ps)のエレクトロパワーを発生。1.6L 4気筒直噴ターボとあわせてシステム全体では500ps以上の最高出力を発生する。また、世界選手権として初めて、100%サスティナブルな燃料を使用することも大きな特徴となる。

シャシは専用開発のスペースフレームで安全性を高めるとともに新規参戦しやすくしたのが特徴。あわせて、エアロパーツの簡素化、メカニカルギアシフトの採用、アクティブセンターデフの廃止などによって、開発コストを抑えるとともに、これまで以上にドライバーテクニックの差が出やすいクルマとなっている。

ラリーではハイブリッドブーストをいかに上手く使うかが重要な要素となり、ドライバーだけでなく、チームにとっても大きなチャレンジとなる。

トップカテゴリーには、トヨタがGRヤリス ラリー1、ヒョンデがi20 ラリー1、Mスポーツ フォードがプーマ ラリー1で参戦。ドライバーチャンピオン候補としては、トヨタのエルフィン・エバンス、カッレ・ロバンペラ、ヒョンデのオイット・タナック、ティエリー・ヌーヴィルらの名前を挙げられるが、伏兵の台頭も十分にありそうだ。

なお、2021年のサファリ・ラリーで総合2位を獲得した勝田貴元は、新たに創設されたトヨタ GAZOO レーシング WRT ネクストジェネレーションからトップカテゴリー車両のGRヤリス ラリー1でシーズン全13戦に出場する。

画像: トヨタGAZOOレーシング ワールドラリーチーム。マシンはGRヤリス ラリー1。ドライバーは、エルフィン・エバンス、カッレ・ロバンペラ、セバスチャン・オジェ、エサペッカ・ラッピがエントリー。

トヨタGAZOOレーシング ワールドラリーチーム。マシンはGRヤリス ラリー1。ドライバーは、エルフィン・エバンス、カッレ・ロバンペラ、セバスチャン・オジェ、エサペッカ・ラッピがエントリー。

画像: ヒョンデ シェル モビス ワールドラリーチーム。マシンはi20 ラリー1。ドライバーは、オイット・タナック、ティエリー・ヌーヴィル、ダニ・ソルド、オリバー・ソルベルグがエントリー。

ヒョンデ シェル モビス ワールドラリーチーム。マシンはi20 ラリー1。ドライバーは、オイット・タナック、ティエリー・ヌーヴィル、ダニ・ソルド、オリバー・ソルベルグがエントリー。

画像: Mスポーツ フォード ワールドラリーチーム。マシンはプーマ ラリー1。ドライバーは、クレイグ・ブリーン、ガス・グリーンスミス、エイドリアン・フルモー、セバスチャン・ローヴがエントリー。

Mスポーツ フォード ワールドラリーチーム。マシンはプーマ ラリー1。ドライバーは、クレイグ・ブリーン、ガス・グリーンスミス、エイドリアン・フルモー、セバスチャン・ローヴがエントリー。

ラリーのベース拠点はモンテカルロに設置

開幕戦ラリー・モンテカルロは、フレンチアルプスを舞台とするターマック(舗装路)ラリーだが、山間部のステージには降雪路面や凍結路面もあり、天気に大きく左右される非常に難しいイベントとして知られている。とくに2022年は新設計のクルマということもあって、例年以上に予測の難しいラリーとなりそうだ。

また、2022年はラリーの中心がフランス南部のギャップからモンテカルロへと移り、約85%が新しいステージとなるのもポイント。

ラリーは1月20日の夕方、モナコ中心部カジノ広場でのセレモニアルスタートで開幕。その後、夜8時過ぎからチュリニ峠を走る2本のステージを走行。本格的に競技が始まる2日目以降はフランスの山岳地帯を舞台にラリーが行われるが、ベースがモナコに置かれるため日中のサービスがなく、いかにクルマに大きなダメージを与えずステージをクリアするかが大きな課題となる。

最終日の23日、最終ステージのSS17はトップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されている。

ステージは全部で17本、合計296.03km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1511.47km。

画像: 2022年ラリー・モンテカルロのコースマップ。約85%が昨年とは異なる新しいステージとなる。

2022年ラリー・モンテカルロのコースマップ。約85%が昨年とは異なる新しいステージとなる。

ちなみに昨年2021年のラリー・モンテカルロで、トヨタのセバスチャン・オジェが圧巻の走りで優勝。チームメイトのエルフィン・エバンスが2位、カッレ・ロバンペラが4位に入るなど、ヤリスWRCが快進撃を見せた。ヒョンデはティエリー・ヌーヴィルが3位に入り、なんとかトヨタの表彰台独占を阻止した。

オジェは昨シーズン限りで「フル参戦」から引退したが、このラリー・モンテカルロにトヨタGRヤリス ラリー1で出場。得意とするイベントで、ラリー1で記念すべき最初のウイナーの座を狙っている。

【参考】2021WRC開幕戦ラリー・モンテカルロ 結果

1位:S.オジェ(トヨタ ヤリス WRC)/2h56m33.7s
2位:E.エバンス(トヨタ ヤリス WRC)/+32.6s
3位:T.ヌーヴィル(ヒョンデ i20クーペ WRC)/+1m13.5s
4位:K.ロバンペラ(トヨタ ヤリス WRC)/+2m33.6s
5位:D.ソルド(ヒョンデ i20クーペ WRC)/+3m14.2s
6位:勝田貴元(トヨタ ヤリス WRC)/+7m01.3s
7位:A.ミケルセン(シュコダ・ファビア Rally2 エボ)/+7m23.6s
8位:G.グリーンスミス(フォード フィエスタ WRC) /+8m21.1s
9位:A.フルモー(フォード フィエスタ ラリー2)/+9m15.8s
10位:E.カミリ(シトロエン C3 ラリー2)/+10m41.0s

ラリー・モンテカルロは現地時間2022年1月20日20時、ステージ1をスタートする。

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