「2CV、乗ってみる?」と学生時代からの友人Tに誘われて、彼の所有する1990年式 シトロエン 2CVに短時間だが試乗できた。「電気」や「自動」が満載する現代のクルマから乗り換えると目からウロコの部分は多いのだが、クルマを操る楽しさに変わりはないことを再認識した。

ファン to ドライブは、速さだけじゃない!

画像: 細身のステアリングホイール、プッシュ/プル式のシフトレバー、ステッキ式のパーキングブレーキなど、独特のインテリア。

細身のステアリングホイール、プッシュ/プル式のシフトレバー、ステッキ式のパーキングブレーキなど、独特のインテリア。

筆者が2CVに乗るのは、たぶん30年ぶりくらい。ドイツのボディメーカー「ホフマン」がカスタマイズしたカブリオレなんてのも乗ったことがある。

エンジンが暖まっていたので、イグニッションをひねると始動はスムーズ。たいして重くないクラッチペダルを踏み、独特のプッシュ/プル式のシフトレバーを左にひねりながら手前に引いてローに入れ、ステッキ式のパーキングブレーキレバーを戻してスタートする。タコメーターはないから、エンジンの音や振動と加速でタイミングを計ってシフトアップする。セカンドはひねらずに押す、そこから引けばサードに、右へひねって押せばトップ。リバースは左へひねって押す。

空冷の水平対向2気筒 602ccエンジンはOHVで最高出力は29馬力、最大トルクは4.0kgmと現代の軽自動車よりずっと非力だが、車重は600kgもないし、思った以上に元気に走る。もちろん、音や振動はそれなりだが、街中を走っている限りは助手席のパッセンジャーと普通に会話できる。

数値から想像されるよりトルクはしっかりあり、こまめにシフトダウンしなくても、上のギアで粘って走ってもくれる。前述の条件を満たして作られただけのことはあり、乗り心地は悪くない。コーナーではそれなりにロールはするけれど、思ったほど大きくはなく、怖いと感じるものではない。

当然ながら?ステアリングはノンパワーだが、タイヤが細いので据え切り以外は重くない。サイドウインドーはヒンジ式で少し上がるだけだし、ウインカーレバーは自分で戻さないと点滅は止まらない。絶対的な加速力はないけれど、街中でクルマの流れをリードするような走りだってできる。それに、なんといっても「自分がクルマを操っている」という楽しさを、この2CVは与えてくれる。

もちろん、現代の「電気」や「自動」による安全&快適装備を満載したクルマに乗る楽しみも、悪いことじゃない。でも、たまにはこうしたクルマの原点的なモデルに乗ることで、クルマを操る楽しさを再認識することは、この仕事を続けて行くには必要ではないだろうかと感じられた。そう、ファン to ドライブっていうのは、速さだけじゃないのだから。(文と写真:Webモーターマガジン編集部 篠原政明)

画像: ボディカラーは、ブルーセレステと呼ばれる淡い青色。もちろん純正色で、2CVの雰囲気によく似合っている。

ボディカラーは、ブルーセレステと呼ばれる淡い青色。もちろん純正色で、2CVの雰囲気によく似合っている。

■シトロエン 2CV6スペシャル 主要諸元

●全長×全幅×全高:3830×1480×1600mm
●ホイールベース:2400mm
●車両重量:585kg
●エンジン:空冷 水平対向2 OHV
●総排気量:602cc
●最高出力:29hp/5750rpm
●最大トルク:4.0kgm/3500rpm
●トランスミッション:4速MT
●駆動方式:縦置きFF
●燃料・タンク容量:プレミアム・25L
●タイヤサイズ:125R15

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