氷上でのブレーキ性能が20%アップ
ブリヂストンのスタッドレスタイヤ「ブリザック」シリーズは、発泡ゴム技術を用いることで氷雪上のグリップ性能を飛躍的に高めた冬用タイヤとして、1988年に初代モデル「PM-10/20」が登場。以来、常に安心と安全なカーライフを支えるための進化を続けて、2021年9月からは11代目となる最新型モデル「VRX3」の販売が開始されている。
VRX3のもっとも大きな特徴はブリヂストンが「断トツの氷上性能」と謳う、凍結路面における優れたグリップ性能にある。先代モデルのVRX2でもその氷上性能の高さは際立っていたが、VRX3は氷上ブレーキ性能がさらに20%も向上された。
同時に、氷上性能と背反すると言われる雪上性能でも、VRX2が実現した高いレベルがしっかりと維持される。本誌2021年11月号では、アイススケートリンクに特設されたコースを走行して、VRX3の高い氷上性能をレポートしている。
さて、安心できる冬のドライブに向けた備えとして氷雪路に対応できるタイヤを考える非降雪エリアのユーザーは、「断トツの氷上性能」が大事なことは理解している。しかし同時に、走行機会の多いドライ路面での安心感や耐摩耗性、さらに氷上性能と背反するといわれる雪上性能も重視する。
ドライ路面や雪上性能を、北海道で実体験
今回、北海道の千歳にあるテストコースとその周辺の一般道において、VRX3装着車を試乗する機会を得た。なお、一般道の路面に雪はまったくなく、テストコースも人工雪によるシャーベット状路面というコンディション。つまり、VRX3最大のセールスポイントである高い氷上性能を試すことはできないが、それ以外のドライ性能や雪上性能を体感できる絶好のチャンスとなったのだ。
舗装路面の走行では、いい意味でスタッドレスタイヤらしさを感じなかった。直進安定性やコーナリング、さらに強めのブレーキングも試したが、どの試乗車でも挙動がしっかりと安定していたことには驚いた。またロードノイズは、さほど気になることもなかった。
シャーベット状に近い荒れた雪上路面の走行では、クルマの状態がとてもわかりやすく、グリップしている感覚とアクセルペダルを踏みすぎている状態の違いをすぐに実感できた。ブレーキを踏んだ際の減速感も明快で確実だ。
非降雪エリアのユーザにとってVRX3は、万能なオールシーズンタイヤ的な存在として考えることもできる製品だと実感できた。(文:Motor Magazine編集部 香高和仁/写真:井上雅行、ブリヂストン)