ミッドシップPHEVスーパーカー「ヴァルハラ」など、電動化が加速しているアストンマーティン。目指すのは「新時代のウルトララグジュアリーブランド」だ。ここではアストンマーティンジャパン オペレーションズディレクターの寺嶋正一 氏に、2022年に描く将来への展望を訊いた。
超ラグジュアリーブランドとしてスーパーカーの電動化を進めます
本誌 千葉知充(以下、MM) 2020年に、英国本社アストンマーティン・ラゴンダの新CEOとして、トビアス・ムアース氏が就任されました。その後、2021年6月に発表された「プロジェクト・ホライズン」について、まず教えていただけますか。
寺嶋正一 氏(以下、寺嶋) プロジェクト・ホライズンは、アストンマーティンが今後、ブランドの価値を高めるために取り組んでいくべき変革に向けた、いくつかの指針を示したプランです。もちろんそこには、ESG(Enviroment,Social,Governance)も含まれます。
具体的には、ハイブリッド車やBEVといった電動化の推進もそのひとつですね。将来的に、アストンマーティンブランドのすべての新型車を電動化することが目標で、そこではラインナップを完全にBEVへと移行することも計画されています。具体的なカーボンニュートラル化については、プロジェクト・ホライズンの中の柱のひとつとして、取り組みを進めることになります。
MM 車種展開のプランについて、もう少し具体的に教えていただけますか。
寺嶋 ハイブリッドシステムに関してはすでに、グローバルで発表しているミッドシップスポーツ、ヴァルハラで採用しています。こうしたハイブリッドモデルは、段階的にこれからも投入していくつもりです。またそれと同時に、スペシャルなモデルと言えるヴァルキリーも含めて、ミッドエンジンスポーツというジャンルにはこれからも力を入れていくことになるでしょう。
プロジェクト・ホライズンは、アストンマーティンの「プロダクト・ポートフォリオ」という考え方が核になっています。日本語で表すなら「企業戦略における経営資源の最適な分配」といった意味でしょうか。FRスポーツカー、SUVのDBX、それからミッドエンジンスポーツ。この3つが、今後のプロダクトの中核になっていくと思います。
MM 内燃機関に関してはこれまで、ムアースCEOが在籍していたAMGとの関係性が深まっていたように思えます。プロジェクト・ホライズンに沿って考えるなら、今後のAMGとの関係はより濃密なものになっていきそうでしょうか。
寺嶋 関係性は、さらに強化されていくと思います。ハイブリッド化、BEV化ともに、協調関係については検討が進んでいるかもしれませんね。
MM 今後のプロダクトについてお聞きしたいのですが、V12ヴァンテージも、そろそろ正式発表されそうですね。
寺嶋 すでに公式に予告されていますが、V12ヴァンテージは正式には、2022年最初のスペシャルエディションとして登場します。プロジェクト・ホライズンの中にも『これからはカスタマージャーニーを大切にしたい』という内容が含まれていますが、いかに楽しくて、実り豊かな購入体験ができるか、ということが非常に重要なポイントになっていくでしょう。
そのために、先進的なコンフィギュレーターも開発しました。なにしろ「お客さまだけの1台を作る」ということはアストンマーティンの真骨頂です。そこはあらためて、強化していくべきなのです。