エコなのにエコを感じさせない豪快なV8エンジン
したがって、そんな新しいユニットは単にターボ付きの小排気量エンジンというだけでなく、CO2 削減のためにさまざまな最新テクノロジーが投入されている。レスポンス良く精密な燃料噴射を行うピエゾインジェクターを用いたスプレーガイド式の直噴システムや、吸排気側双方に設けられた可変バルブタイミング機構、ディマンドコントロール式のエンジンオイルポンプや標準採用されたアイドリングストップ機構などが、そうした最新テクノロジーの数々だ。
しかしそこは、ハイパフォーマンスを誇るAMGモデル。実際にドライブしてみれば、そんなエコなエンジンを搭載していることなど微塵も感じさせない。V8サウンドを響かせながら豪快に加速する様子は、6.2L時代に勝るとも劣らない迫力だ。
実際、トルクコンバータの代わりに湿式クラッチを採用した7速AMTを介しての0→100km/h加速タイムはセダンで4.3秒、それよりも100kgほど車両重量がかさむステーションワゴンでも4.4秒だから、これはまさに超一流のスポーツカーレベルそのものだ。
サーキットのハードなドライビングでは、さすがに時としてそのハンドリングに重量感を覚えることはあったものの、それでもこのE63 AMGが世界屈指のスーパースポーツセダン&ワゴンであることは間違いない。AMGに新時代が訪れたのだ。
■メルセデス・ベンツ E63 AMG(日本仕様) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4895×1870×1440mm
●ホイールベース:2875mm
●車両重量:1910kg
●エンジン種類:V8 DOHCツインターボ
●排気量:5461cc
●最高出力:386kW<524ps>/5250-5750rpm
●最大トルク:700Nm<71.4kgm>/1750-5000rpm
●トランスミッション:7速AMT
●駆動方式:FR
●JC08モード燃費:8.4km/L
●タイヤ:前255/35ZR19、後285/30ZR19
●当時の車両価格(税込):1495万円