「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、メルセデス・ベンツ E63 AMGだ。

エコなのにエコを感じさせない豪快なV8エンジン

画像: E63 AMGに搭載される5.5LV8ツインターボエンジンは標準で524ps/700Nmを発生、写真のパフォーマンスパッケージ付きは557ps/800Nmにパワーアップされている。

E63 AMGに搭載される5.5LV8ツインターボエンジンは標準で524ps/700Nmを発生、写真のパフォーマンスパッケージ付きは557ps/800Nmにパワーアップされている。

したがって、そんな新しいユニットは単にターボ付きの小排気量エンジンというだけでなく、CO2 削減のためにさまざまな最新テクノロジーが投入されている。レスポンス良く精密な燃料噴射を行うピエゾインジェクターを用いたスプレーガイド式の直噴システムや、吸排気側双方に設けられた可変バルブタイミング機構、ディマンドコントロール式のエンジンオイルポンプや標準採用されたアイドリングストップ機構などが、そうした最新テクノロジーの数々だ。

しかしそこは、ハイパフォーマンスを誇るAMGモデル。実際にドライブしてみれば、そんなエコなエンジンを搭載していることなど微塵も感じさせない。V8サウンドを響かせながら豪快に加速する様子は、6.2L時代に勝るとも劣らない迫力だ。

実際、トルクコンバータの代わりに湿式クラッチを採用した7速AMTを介しての0→100km/h加速タイムはセダンで4.3秒、それよりも100kgほど車両重量がかさむステーションワゴンでも4.4秒だから、これはまさに超一流のスポーツカーレベルそのものだ。

サーキットのハードなドライビングでは、さすがに時としてそのハンドリングに重量感を覚えることはあったものの、それでもこのE63 AMGが世界屈指のスーパースポーツセダン&ワゴンであることは間違いない。AMGに新時代が訪れたのだ。

画像: 7速AMTを介しての0→100km/h加速タイムはセダンで4.3秒、100kgほど重いワゴンでも4.4秒と瞬足だ。

7速AMTを介しての0→100km/h加速タイムはセダンで4.3秒、100kgほど重いワゴンでも4.4秒と瞬足だ。

■メルセデス・ベンツ E63 AMG(日本仕様) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4895×1870×1440mm
●ホイールベース:2875mm
●車両重量:1910kg
●エンジン種類:V8 DOHCツインターボ
●排気量:5461cc
●最高出力:386kW<524ps>/5250-5750rpm
●最大トルク:700Nm<71.4kgm>/1750-5000rpm
●トランスミッション:7速AMT
●駆動方式:FR
●JC08モード燃費:8.4km/L
●タイヤ:前255/35ZR19、後285/30ZR19
●当時の車両価格(税込):1495万円

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