「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、メルセデス・ベンツ E63 AMGだ。
メルセデス・ベンツ E63 AMG(車種追加:2011年)
主力のV8エンジンを6.3Lの自然吸気から5.5Lツインターボへと「ダウンサイジング」しているメルセデスAMG。中核モデルのEクラスにも、この新エンジンを搭載した「E63」が登場。日本導入を前に、スペインで国際試乗会が開催された。
マイナーチェンジを施されたメルセデス・ベンツ Eクラス。だが、その内容はフルチェンジに近いマイナーチェンジと呼べるものだった。そして、そんなリファインが施されたのはシリーズ最強のモデルである「E63 AMG」に限られた。それはいったい、どういう意味なのかというと、同じV8エンジンではあるものの、新しいE63 AMGに搭載されるのは従来のものとはまったく異なるエンジンであるということ。
つまり、これまでの6.2L 自然吸気ユニットに替えて搭載されたのは、新開発された5.5Lのツインターボ付きユニット。EクラスのAMGモデルとしては、先代のE55 AMGから一世代をスキップして、再び過給器付きエンジンが搭載されたことになる。
「AMGがすべてを設計した初のエンジン」という謳い文句で2006年にデビューしたのち、まださほどの時間が経過していなかった6.2Lユニットだが、それを捨てて、0.75Lも小さな「ダウンサイズユニット」の搭載へと方針転換された理由は、ズバリすべてが「CO2排出量削減のため」と考えられる。