「カッコよさ」の定義はさまざま。だからこそ悩ましい、ふたつの選択肢
新型ノア/ヴォクシーの進化は、まさに全方位にわたる。とくに、エクステリアのハイグレード感はクラス随一と言っていい。大型グリルを配した分厚いフロントマスクや、マッシブなフェンダーワーク、重厚感を増したリアまわりの処理など、およそファミリーミニバンの領域を超えた迫力の持ち主だ。
純正カスタムスタイルとしては王道的なまとまり感が魅力のノア エアロモデルと、先鋭性、独創性に満ちた新型ヴォクシーのインパクトは、似て非なる魅力を感じさせる。専用のボディカラーとしては、ノア エアロモデルに新色のグリッターブラックガラスフレークが専用色として設定されている。ヴォクシーに新色は、全グレードに設定されたマッシブグレーだ。
どちらもグレード名の頭に「S-」が付き、基本仕様にG、上級仕様にZがそれぞれつながる。ノアには機能装備やオプション対応を簡素化したXというベーシックグレードがあるが、こちらにはエアロモデルは設定されていない。
実は基本的なデザインは「S-Z」も「S-G」も大きく違いはない。ノアの場合は、価格差は28万円、ヴォクシーでは30万円つけられている。しかし一見した時の外装の違いは実は少な目だ。たとえばノアの場合、フロントドアのグリーンガラスがS-ZはスーパーUVカットなのにS-GはただのUVカットだったり、U字型のリアテールランプがブレーキング時に、S-Zでは全面で点灯するのにS-Gではバックドア側が点灯しないとか、差別化の内容はかなり細かい。
ヴォクシーの場合は全グレードがスーパーUVカット機能付きフロントドアグリーンガラスだが、フロントウインドウシールドはS-Zのみが高遮音性グリーンガラスが装備されている。
一方で内装系や機能装備に関してはかなり違いが大きいので、後ほど詳述しようと思う。
メカニズムとしての注目はやはりハイブリッド×E-Four。しかしひとつ問題が
もうひとつ、新型ノア/ヴォクシーを選ぶにあたって「朗報」と言えるのが、第5世代へと進化した「シリーズパラレルハイブリッドシステム」の採用だ。1.8L 直4 DOHCと組み合わされた電動モジュールは、モーター、バッテリーともに高出力化、高効率化が図られた。ノア、ヴォクシーともに全グレードで選ぶことができる。
2L 直4の純ガソリンユニット「ダイナミックフォース」とDirect Shift-CVTの組み合わせももちろん、力強さと優れた燃費性能を両立しているようだ。とはいえ、WLTCモード燃費でハイブリッド:23.4km/Lと純ガソリン:15.1km/Lの差は大きい(X 2WDで比較)。
加えてハイブリッドでは、リアモーターの出力を向上させた新型E-Fourに、大いに期待していい。このシステムは加速時のアシスト性能が高められているだけでなく、コーナリング時の前後輪トルク配分の最適制御によって、高い操縦安定性まで実現しているという。
これはもうとりあえずE-Fourで決めたい。ところなのだけれど、実はここでひとつ問題がある。
ノア/ヴォクシー史上初となる205/55R17タイヤが、E-Fourモデルではオプションとしても選べないのだ。大迫力の大径17インチホイールが装備されるのはS-Zの2WDのみで、E-Fourは205/60R16となる(デザインはエアロモデル専用)。アフター製品でインチアップする手ももちろんありだが、純正の17インチの仕上がりがなかなか秀逸だけに、ちょっと惜しい感じがする。