日本のモータリゼーションとともに月刊モーターマガジンは発行を重ね、今号で800号を迎えた。その間、約67年。自動車業界は今、100年に1度という大変革期を迎えている。そこで、この特集では日本を代表するメーカーやインポーターのキーマンにインタビューし、近未来の展望やカーボンニュートラルへの取り組みなどを訊くことにした。訊き手:Motor Magazine編集長 千葉知充(Motor Magazine2022年3月号より)

初期性能が長く続くことでロングライフが実現し、その結果廃棄タイヤも減る。独自戦略で環境負荷を減らすミシュランタイヤのこれからを、そして2022年に描く将来への展望を日本ミシュランタイヤ代表取締役社長の須藤 元 社長に伺った。

画像: 【Profile】須藤 元 :1993年 日本ミシュランタイヤに入社、 2002年~2008年/2016年~2020年に中国ミシュランタイヤに赴任。2020年に帰国後、 B2C事業部の専務執行役員を経て2021年4月に日本ミシュランタイヤ代表取締役社長に就任。

【Profile】須藤 元 :1993年 日本ミシュランタイヤに入社、 2002年~2008年/2016年~2020年に中国ミシュランタイヤに赴任。2020年に帰国後、 B2C事業部の専務執行役員を経て2021年4月に日本ミシュランタイヤ代表取締役社長に就任。

サスティナブル素材の使用率を高めつつ性能には妥協しません

本誌 千葉知充(以下、MM) 2021年4月に発表された2030年までのミシュランの戦略を拝見しました。その中で、2050年までにカーボンニュートラルを達成すると言及し、タイヤの原材料を100%持続可能にすると宣言されていますね。

須藤 元氏(以下、須藤) はい。100%サスティナブル、つまりリサイクル素材、そして再生可能なリニューアル素材だけでタイヤを生産します。ミシュラングループとして使用する天然ゴムに関しても、森林破壊や児童労働、非合法農薬が使われていないかなど、トレーサビリティの確保されたものを使うように努めています。生産工程においてもカーボンニュートラルを達成するのが目標です。
具体的に言えば、2020年時点でミシュランがタイヤ生産に使うサスティナブル素材の割合は28%でした。それをまず2030年までに40%に、2050年には100%にするというのがロードマップです。

画像: 2021年4月、ミシュランのメネゴーCEOは2030年までの指標を発表した。

2021年4月、ミシュランのメネゴーCEOは2030年までの指標を発表した。

MM サスティナブル素材活用の研究は、他社に先行している印象ですね。

須藤 2021年6月には持続可能な原材料の割合を46%に高めたレーシングタイヤを発表しています。また、生産したタイヤをいかに長持ちさせるかという視点も、サスティナブルの面で重要です。
実はそうしたロングライフ性能は、ミシュランが昔から得意とする部分でもあるのです。欧州では摩耗したタイヤのゴムの粉塵も問題になっています。そうした問題にも、ミシュランのラインナップに共通する、耐摩耗性能の高さが貢献しています。

MM 現在の、SDGsへの取り組みについて教えてください。

須藤 業界の枠を超えて、地域社会と共有することで経済成長とイノベーションを醸成したいと考えています。具体的には、タイヤ製造で培った3Dメタルプリンタ技術(金属積層造形)を産官学で活用するためのプラットフォームを立ち上げました。
また、「障害を抱えてもオートバイに乗りたい」という人をサポートする「サイドスタンドプロジェクト」への協力も日本ミシュランタイヤとしてのSDGs活動のひとつです。

MM カーボンニュートラルの世界を実現するにはクルマの電動化は避けられません。どのような対応をお考えですか。

須藤 私は2020年まで中国法人の直需部セールスダイレクターを務め、BEV用の新車装着タイヤの仕事をたくさんしてきました。その経験から言えば、タイヤに求められる仕事は、内燃機関でもBEVでも基本的に変わりはありません。
ただし、走行ノイズに加えてBEV用バッテリーの搭載で重くなったクルマの荷重の増大に対するチューニングは必要になると思います。また、転がり抵抗は電費を左右することになるので、BEVにおいても重要な性能であり今後も改善が必要な課題です。

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