水素エンジン カローラ スポーツとともに「内燃機関の可能性」を切り拓く
世界中の自動車メーカーはおそらく、すでに気づいている。いわゆる電動化だけで持続可能なモータリゼーションを実現するのは、なかなかハードルが高そうだ。だからこそ当面のマルチソリューション化は避けられない、という「選択肢」がさまざまなメーカーから提案されている。その重要な柱のひとつと言えそうなのが、カーボンニュートラルな燃料を使った内燃機関の延命措置だ。
マツダはかねてから、内燃機関の可能性に注目し続けてきた。2020年冬に発表された創立100周年記念の宣言「THE ROAD TO THE FUTURE ~未来へ向かうマツダの道筋」では、「現時点でCO2排出量を削減する最良の方法は、内燃機関の効率を大幅に改善することにある」と表明している。
具体的な成果のひとつが、リーン燃焼を採り入れたSKYACTIV-Xエンジンの実用化。さらに内燃機関の進化と同時並行で、マツダは使用する燃料自体のカーボンフリー化まで追求していく。先に挙げた「道筋」ではそれが、再生可能液体燃料として紹介されている。
2021年11月のスポット参戦に続いて、今回の次世代バイオディーゼル燃料で走るマシンによるスーパー耐久レースシリーズへの参戦は、そうした取り組みの新たなステップアップとなる。リアルでの実証実験であると同時に、カーボンニュートラル実現の選択肢のひとつとしての再生可能燃料の普及拡大を目指したものだ。
ゼッケンナンバー55をつけた「MAZDA SPIRIT RACING MAZDA2 Bio concept」が戦うクラスは、ST-Q。トヨタのマルチソリューション戦略の一角を担う水素エンジン搭載の「ORC Rookie Corolla H2 concept」や合成燃料搭載のGR86、同じく合成燃料で走るスバル BRZたちのライバルとなる。
カーボンニュートラルに向けた内燃機関の可能性を、3メーカーがともに広くアピールしていくわけだ。