マツダは、カーボンニュートラルな次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」を使ったマツダ2で、2022年スーパー耐久シリーズに参戦することを発表した。その戦いの先には、バイオ由来の再生可能燃料が切り拓く「もうひとつの持続可能な未来」が見えてくる。

持続可能性を秘めたバイオディーゼルの、地産地消モデルを構築

果たしてマツダは、いつ頃から次世代バイオディーゼル燃料に注目していたのだろうか。

画像: 2020年8月にマツダは、次世代バイオディーゼル燃料の地産地消を本拠である広島エリアで実現することを目指した「ひろしま Your Green Fuel プロジェクト」に参画。写真はその運用車両のイメージだ。

2020年8月にマツダは、次世代バイオディーゼル燃料の地産地消を本拠である広島エリアで実現することを目指した「ひろしま Your Green Fuel プロジェクト」に参画。写真はその運用車両のイメージだ。

次世代バイオディーゼル燃料開発への取り組みが初めて具体的に明らかにされたのは、2017年4月のことだった。国立大学法人広島大学との共同研究講座として、同大学院理学研究科内に「次世代自動車技術共同研究講座 藻類エネルギー創成研究室」を開設したところから始まっている。

そこで掲げられていたマツダのコメントは、実に明解だ。

「自動車などの内燃機関を搭載した移動体のエネルギー源については、将来においても液体燃料が、効率的か実用的な手段であると考えています」

2018年には「地元広島における自動車用次世代バイオ燃料の地産地消モデル構築」を旗印に、実証事業計画に参画。ユーグレナ社との協業を発表している。これが今回のスーパー耐久参戦につながる第一歩となった。

人や家畜の食糧と競合しない第二世代バイオ素材への期待値

ところで、そもそも「次世代」「バイオ」燃料というのはどんなものなのだろう。

画像: 次世代バイオディーゼル燃料の原料製造(微細藻類油脂および使用済み食用油から成る再生油脂)・供給から利用に至るまでのバリューチェーン。広島県内の事業者と協調して、構想の具体化を進めている。

次世代バイオディーゼル燃料の原料製造(微細藻類油脂および使用済み食用油から成る再生油脂)・供給から利用に至るまでのバリューチェーン。広島県内の事業者と協調して、構想の具体化を進めている。

「バイオ」とは主に、植物由来の素材を指す。生育時に二酸化炭素を吸収することから、燃料として利用される時に二酸化炭素を排出したとしても、大気全体のCO2総量が変わらない=カーボンニュートラルを実現=環境に優しいというわけだ。

それでは「次世代」とはなにかと言えば・・・原料となる素材の世代交代を意味する。

従来のバイオ燃料の素材は、トウモロコシやサトウキビなどの穀類だったが、食糧競合という大きな壁にぶつかっていた。それに代わって注目された第二世代のバイオ燃料が、食糧競合を起こさない「次世代」素材たちだ。

ひとくちに次世代と言っても、いくつかの種類がある。欧州を中心に研究開発、商業化が進んでいるのは、食品などの廃棄物由来の次世代バイオフューエルだ。樹木の廃材など木質系バイオマスを使ったセルロース由来のものは、日本においても技術的に早く実用化され得るという研究報告がある。

一方、微細藻類系は、中長期的に見て「有望株」と言われている。主に陸上で生育するセルロース系バイオマスに比べて成長速度が速く、生産性に優れているからだ。炭化水素や脂肪酸といった、燃料として有用な成分を多く含む点も、有望株とされるゆえんのひとつだ。

そんな中でも、食品添加物としても実用化されているユーグレナは、ある意味、非常に身近と言えるだろう。ちなみにユーグレナというのは、和名「ミドリムシ」のこと。健康サプリとしての知名度は、かなり高い。

ミドリムシは培養される過程で、油脂分(ワックスエステル)を体内に蓄積させる。それを乾燥させてワックスエステルを抽出、水素を添加して余分な酸素を除去する「水素化処理」を行うと、いわゆる「原油」である脂肪酸メチルエステル(FAME)が合成される。ユーグレナ社はこのFAMEを分解、精製することで燃料として利用することを可能にした。

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