2009年、W212 メルセデス・ベンツ Eクラス セダンのワールドプレミアから時間をおかず、そのハイパフォーマンスモデル「E63 AMG」が世界市場に向けて投入された。日本市場では7月に発表となるが、その前にMotor Magazine誌はドイツ本国で試乗テストを行っている。ここではその時の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年9月号より)

徹底した俊敏性へのこだわりはこれまでのイメージを変えた

一方で評価が難しいのがフットワークだ。まず引っ掛かるのがメルセデス特有の放っておいても地の果てまで真っ直ぐ走ってくれそうな直進性がややスポイルされていること。これはベース車自体の特性でもあるが、これまで支持してきた人は困惑しそうだ。また乗り心地も、速度を上げてもなかなか落ち着いてくれない。この辺り、やはりエアサスペンションではない影響だろうか。

画像: 新デザインとなったデュアルツインクロームエグゾーストエンド。リアスカートまわりもブラックディフューザーでAMGモデルらしい力強さを醸し出している。

新デザインとなったデュアルツインクロームエグゾーストエンド。リアスカートまわりもブラックディフューザーでAMGモデルらしい力強さを醸し出している。

その代わり、旋回性能は別物と言えるくらい高まっている。コーナーに向けてブレーキング。ステアリングを操舵していくと、それに対して間髪入れずにヨーが立ち上がる。そして正確なレスポンスでクルマ全体で向きを変えていくまでの一連の挙動は、これまでのEクラスのAMGに対するイメージを修正しなければならないほどの俊敏さだ。

ちなみにオプションで用意される19インチのタイヤ&ホイールや、よりハードなサスペンション、機械式LSD等々を備えた「パフォーマンスパッケージ」は、その方向をさらに推し進めるもの。サーキットにでも行くならいざ知らず、基本的にはお勧めはしない。しかし、こうしたアイテムまで用意するほどAMGは本気だという解釈はできるだろう。

冒頭に書いたような「変わらなければならない」という思いが背景にあったのだろう。M5などのライバルを意識した部分もあるはずだし、何よりC63 AMGの成功は強く後押ししたに違いない。いずれにせよ新型E63 AMGは、これまでにないほど敏捷性にこだわったモデルへと変貌を遂げた。しかし、これはCでもSLでもなくEであるだけに難しい面も顔を覗かせているのは事実。個人的には、少なくとも直進時のステアリングの据わり感はもっと欲しいし、速度を上げるほど路面に吸い付くあの乗り心地もまだ捨てられない。

そうは言いつつも、このAMGの大胆なまでの変化には胸躍る部分もあるのは事実である。今後の展開、あるいはE63 AMG自体の熟成に大いに期待しつつ、それでもやっぱり出たらすぐに手に入れたいという方には、とりあえずパフォーマンスパッケージなしのオーダーをお勧めしておくこととしたい。(文:島下泰久)

メルセデス・ベンツ E63 AMG 主要諸元

●全長×全幅×全高:4891×1872×1442mm
●ホイールベース:2874mm
●車両重量:1840kg
●エンジン:V8DOHC
●排気量:6208cc
●最高出力:386kW(525ps)/6800rpm
●最大トルク:630Nm/5200rpm
●トランスミッション:7速AT
●駆動方式:FR
●EU総合燃費:7.9km/L
●タイヤサイズ:前255/40R18、後285/35R18
●0→100km/h加速:4.5秒
●最高速:250km/h(リミッター)
※EU準拠

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