クルマから焦げ臭いニオイが?!焦げ臭いニオイはクルマからの緊急メッセージです。速やかに点検修理しなければ取り返しがつかない故障に繋がります。そこで、焦げ臭いニオイが出た時の対処方法を詳しく解説します。
クルマから焦げ臭いニオイが発生する理由は、クルマに大きな問題がある場合と、外部要因で燃えやすいものがクルマに付着している場合の2種類に大きく分けられます。
しかし多くの場合、焦げ臭いニオイはクルマからのSOSであることがほとんどであり、できるだけ早く点検修理しなければ、取り返しがつかない大きな故障に発展することがほとんどです。
ここでは、焦げ臭いニオイの原因を詳しく解説し、併せて対処方法もお伝えいたします。
→【当サイトおすすめNo.1】カーセンサーの一括査定で買取価格を今すぐ調べる!
クルマが焦げ臭い原因を4つのニオイ別に解説
クルマが焦げ臭いニオイを発する大きな理由は、発熱するエンジンを搭載しているからです。そのため、クルマから焦げ臭いニオイが発生すれば、取り返しがつかない恐ろしい事故に発展する危険性もあるでしょう。
ただし、焦げ臭いからとむやみに怖がる必要もありません。焦げ臭いニオイの中には、新品が焼ける焦げ臭いニオイもあるからで、そういった焦げ臭いニオイは時間の経過とともに消えてなくなります。
このように、焦げ臭いといっても種類によりクルマに及ぼす影響は異なりますが、主な原因は以下の4つに分けられます。
- A.ゴムが焼けるようなニオイの場合
- B.油分が燃えているような焦げたニオイの場合
- C.金属がこすれるような焦げたニオイの場合
- D.ハイブリッド車や電気自動車で焦げ臭い場合
A.ゴムが焼けるようなニオイの場合
クルマからゴムが焼けるようなニオイが発生した場合、クルマが火災に発展する危険性が隠れている場合が多いでしょう。
車内にゴムが焼けるニオイが入ってきたら、すぐにクルマを停車させてニオイの発生がどこからなのか調べる必要があります。そして、主にゴムが焼けるニオイの発生源には以下の5つが挙げられます。
- ①タイヤにトラブルがある
- ②ファンベルトが滑っている
- ③エンジンにゴム製品が接触している
- ④マフラーにビニールが巻き付いている
- ⑤配線が焦げている
①タイヤにトラブルがある
走行中にゴムが焼けるニオイが発生した場合、その原因の多くはタイヤにあるでしょう。タイヤはゴム製品であり、常に路面との大きな摩擦という過酷な条件下で使用されていますから、使用方法を間違えると焦げたニオイが車内に入り込みます。
例えば、タイヤに大きな負担がかかる急停車や急発進を繰り返すような走り方をすれば、タイヤは異常摩耗を起こし、ゴムの焦げたニオイが車内に入ってきます。しかし、特に人為的に急発進や急停車をしなくてもゴムが焼けるニオイが入ってくることもあります。
このような場合は、タイヤが正常に回転していない可能性があります。例えば、ブレーキの効きが1本のタイヤだけ強くかかる場合などはブレーキの片効きと呼ばれ、タイヤが引きずられてゴムの焦げるニオイがします。
この場合はクルマを停車させて、走行してきた路面を見た時にタイヤのスリップ痕が付いていないか確認します。また、タイヤに異常摩耗が発生していないかタイヤ全体をくまなく確認してみましょう。この時にタイヤが異常に発熱していないか、手で触れそうなら触れて確認するのも一つの方法です。(このとき、ヤケドに注意してください)
事故に繋がる前にタイヤを買い替えよう
タイヤを目視で点検し、異常に摩耗している場合や、手で触り熱いと感じるほど発熱しているようなら、そのタイヤは危険です。すぐにスペアタイヤに履き替えるか、タイヤショップで新しいタイヤに買い替えましょう。
タイヤは、車種によりサイズが異なるほか、タイヤメーカーによってもタイヤの値段は大きく異なります。
例えば、軽自動車用のタイヤで安いタイヤなら1本1万円程度で交換が可能です。もちろん、タイヤショップによって値段は異なりますが、タイヤが異常発熱している場合は緊急性を要しますから、値段を気にしているより速やかに交換することが重要です。
タイヤ代のほかに組み換え工賃が1本2000円程度かかるので、1本1万円程度のタイヤでも、実際に交換する場合は1万2000円前後かかることも覚えておきましょう。
②ファンベルトが滑っている
エンジンルームを覗くと、どんなエンジンにもファンベルトが取り付けられており、このベルトに何らかの問題が発生すると焦げ臭いニオイが発生することがあります。それは、エンジン回転を動力としてゴムのベルトが駆動しているからで、摩擦抵抗が大きくなりすぎた場合などにベルトが焦げ臭くなります。
主に、ファンベルトが焦げ臭いニオイを発生させる場合は、滑りを発生させているので「キュルキュル」と音がしていることが多いでしょう。そして、この「キュルキュル」と異音を発生させている時は、かなりベルトが滑っており、ベルトをかけてあるプーリー(円柱形の金属部品)との摩擦熱が大きく発生し、ひどい場合は焦げ臭くなります。
ファンベルトの滑りを放置するとクルマが動かなくなる
ファンベルトから「キュルキュル」と異音が発生し、しかも焦げ臭いニオイを発生させている状況を放置すると、ベルトが切れてベルト駆動しているパーツが動かなくなり最悪クルマは走らなくなるでしょう。
ファンベルトで駆動されている補器類(エンジンの周りに付いているパーツ)は、エアコンコンプレッサー、オルタネーター、パワステポンプなどがあります。そして、オルタネーターベルトが切れれば、発電されずにバッテリーに蓄電されている容量が底をつくと、エンジンは止まってしまうでしょう。
そして、パワステベルトが切れれば、ハンドルが重くなり運転に大きな障害となることでしょう。
エンジンを止めてファンベルトの張具合を点検
ファンベルトの調子を見るには、エンジンを止めてベルトの張具合で確認することが可能です。この張具合とは、ベルトを指で押した時にどの程度の張りがあるのかを見ることですが、整備士でもかなり熟練を重ねなければ難しい作業であることから、DIYで簡単に点検できるしろものではありません。
しかし、最近は非常に便利なアプリが存在します。それは「スマートフォン用簡易ベルト張力測定アプリ」です。これを使えば、手軽に的確にファンベルトの張力を確認することが可能です。しかもベルトメーカーの「MITUBOSHI」が制作しているので、信頼性が高いと言えます。
ファンベルト交換費用:8000円~1万5000円程度
ファンベルトの金額は、車種やベルトの種類により様々ですが、高くても1万円程度でベルトは購入できます。
ベルトを交換する場合は、整備工場により工賃も変わりますが、おおよそ5000円で交換が可能なので、高くても1万5000円もあればファンベルト交換は完了します。
ファンベルトの交換は、ちょっとした道具が揃っていれば自分でも可能なことから、DIYで交換にチャレンジする人も多く見られます。自分で交換すれば工賃5000円程度を浮かせられるメリットがありますが、ベルトの張調整が必要な場合は経験が必要なため、初めてDIYで交換を考えるなら、ベルト交換をしたことがある人と一緒に行ったほうが無難です。
③エンジンにゴム製品が接触している
エンジンルーム内には多くのパーツが装着されていますが、かなりのパーツが樹脂製やゴム製のパーツを使用しています。そのため、発熱するエンジンパーツに樹脂やゴム製のパーツが接触すると、焦げ臭いニオイを発生させます。
一般的に、高温を発生させる部分は、エンジンからの排出ガスが最初に出てくるエキゾーストマニホールドと呼ばれる部分です。高温になることから遮熱板が取り付けられており、不意な部品脱落によって直接高温部分に燃えやすい部品が接触しない工夫がされています。
しかし、長年使用していれば想定外の部品脱落が発生する恐れもあり、高温部分に樹脂製部品などが接触して焦げ臭いニオイを発生させます。そのまま放置すれば、樹脂製部品は発火して車両火災へと発展する恐れがあり危険です。
エンジンルーム内のゴムパーツが外れていないか確認
エンジンルームから焦げ臭いニオイが発生していたら、ゴムや樹脂のパーツが外れてエキゾーストパイプに干渉していないか確認します。また、樹脂は高温になると溶けるので、エキゾーストパイプなどに接触していると溶けて黒く付着しています。そのため、原因を目視で確認できやすいと言えるでしょう。
樹脂やゴムなどのパーツが外れていたら、なぜ外れたのかを確認します。ほとんどの場合は、樹脂やゴムパーツを取り付けているブラケット部分に何らかの劣化が見られるので、外れた樹脂パーツなどと一緒に、ブラケット類の交換をお勧めします。
また、樹脂製のパーツが完全に外れておらず、走行中の振動により樹脂パーツなどが高温を発生させる部分に当たり焦げ臭いニオイを発生させる場合もあります。しかし、必ず高温部分に樹脂の溶けた跡が残っているので、上からだけでなく下からも覗き込み、くまなく確認しましょう。
ゴムパーツ交換費用:1000円~数万円
樹脂やゴムパーツは、部品代はそれほど高額ではなく数百円程度から部品は購入できます。しかし、ゴムや樹脂製のパーツが溶けて他のパーツを焼失させると、高額な修理費用に発展する恐れがあります。
例えば、クルマには多くのセンサーやコンピュータ、そして多くの配線がエンジンルーム内に張り巡らされています。これらのパーツはどれも高額な部品で、熱害にならないよう工夫されています。
しかし、ゴムパーツなどが外れて高温部に接触して燃えてしまった場合、その燃えた熱が本来伝わるはずのない部品に伝播して大きな故障になることがあります。そうなれば、数百円で修理が済むはずだったのに、数万円の修理費用が発生する可能性も否定できません。そうなる前に、焦げ臭いと感じたらできるだけ早くニオイの元を突き止めることが重要です。
④マフラーにビニールが巻き付いている
風が強い日やその翌日などでは、道路上に様々なモノが落ちていることがあります。その中には燃えやすいビニール袋などもあり、それらのゴミがクルマの下に巻き付くと焦げ臭いニオイを発生させることがあります。
クルマの下側には、排気ガスを排出させるマフラーがあります。マフラーには遮熱板が取り付けられていますが、ビニール袋などの薄いものが巻き付けば、簡単に溶かすほどの高温になっている部分もあります。
クルマの下側は、なかなか見る機会がありませが、クルマの下から焦げ臭いニオイを感じたら、ゴミが巻き付いている可能性があります。ビニール袋などは石油製品なので、もしそのまま放置すれば車両火災に繋がる恐れもあるため、車両の下側から焦げ臭いニオイを感じたら何か巻き付いていないか早急に確認が必要です。
クルマの下回りを覗いてビニールが巻き付いていないか確認
クルマの下側を覗き込み、ビニール袋などが巻き付いていたら、速やかに取り除くことが重要です。もし、自分で取り除けないような車高が低いクルマの場合は、クルマをリフトアップできるカーショップにクルマを持ち込み、ゴミを取り除いてもらいましょう。
特に危険なのは、クルマの後ろ側のマフラーに巻き付いたビニールなどのゴミではなく、エンジンに近い部分に巻き付いた燃えやすいゴミです。
エンジンに近いほど高温になっているので、燃えやすいゴミはその熱によりすぐに着火してしまう恐れもあります。そこで、下回りを見てゴミに気が付かない場合も、フロント部分で巻き付いている可能性があるので、できるだけ早くリフトアップして確認しましょう。
⑤配線が焦げている
車両火災で非常に多いのが配線の異常発熱によるものです。配線からビニールの焦げるニオイが発生したら、早急にエンジンを止めて電気を遮断する必要があります。
配線からの発熱による火災は、純正であればほとんど発生することはありません。しかし、クルマに何らかのカスタムを施してある場合、それがヘッドライトバルブだけであっても純正配線に負荷がかかり発熱の原因になっていることがあります。
焦げ臭い近くの配線を手で触り熱くないか確認
ニオイの発生源を嗅ぎ分け、配線から焦げ臭いニオイが発生していることが分かったら、配線を手で触り熱くなっていないか確認します。また、配線の周辺が溶けていないか入念に確認しましょう。
特に、カスタムなどで後付けの配線を張り巡らしている場合、カスタムパーツの配線だけでなく、割り込ませた純正配線も熱くなっていないか確認します。
通常は、配線に負荷がかかるとヒューズが切れて火災を防いでいますが、ヒューズに配線を通していない場合や、駆動する電装品と配線のバランスが悪い場合などは要注意です。
配線修理費用:5000円~30万円以上
配線の交換にそれほど費用がかからないと思う人もいるでしょう。しかし、クルマのメインハーネスが仮に焼失すると、30万円を超える部品代が必要になるケースもあります。
一般に売られている配線の値段はそれほど高額ではありませんが、クルマに使用されている配線は非常に長く何本もひとまとめにされています。そのため、ハーネスが焼失すると高額になります。
もちろん短い配線もあるので、そういったパーツであれば数千円で交換できます。しかし配線は、まるで花火の導線のように簡単に燃え広がりますから、数千円のパーツが数万円、数十万円の損害に発展することが少なくないことを覚えておきましょう。
B.油分が燃えているような焦げたニオイの場合
クルマには多くの油脂が使用されていますが、その中で多くの人が良く知っている油脂にエンジンオイルがあります。このエンジンオイルは長く使用したクルマほど漏れやすくなり、エンジンの高温を発生する場所に垂れて焦げ臭いニオイを発生させます。
エンジンオイルといったオイル類が高温部分であるエキゾーストマニホールドに付着すると、独特の機械油が焼けるニオイが発生します。そして、そのオイルが付着する理由には以下の2つが挙げられます。
- ①エンジンオイルを交換した直後
- ②エンジンからのオイル漏れ
①エンジンオイルを交換した直後
エンジンオイルが漏れて焦げ臭いニオイが出る理由には、オイル交換直後に発生することがあります。それは、古いオイルを排出する時や、新しいオイルを補充する時にこぼしてしまうからです。
こぼしたオイルが焦げ臭くなることは、DIYで交換する場合に多く見られますが、大手量販店やガソリンスタンドといった場所でも見られることがあります。というのも、オイル交換は比較的簡単な整備であることから、アルバイトでも作業に従事することがあり、細かい部分まできちんと作業できていないからです。
こぼれたオイルをキレイにふき取る
オイルを排出する場合より、補充する時にこぼすミスが多く見られます。特にオイルを補充する場所はエンジンの上部に位置するので、こぼしたオイルが下に垂れてそこにある高温のエキゾーストマニホールドに付着して焦げ臭さを発生させます。
こぼしてしまったら、すぐにふき取りすれば焦げ臭さは発生しません。しかし、少量だからと放置すると、オイルは徐々に下に垂れて高温部分で焦げ臭さを発生させます。
また、こぼれたオイルは拭き取らなければ自然に蒸発して無くなることはありませんから、こぼれたオイルはいつまでもその場所に付着し続けます。そして、高温部分に付着したまま放置し続けると、最悪火災の原因に繋がるので、こぼしたことに気が付いたらすぐにふき取るようにしましょう。
②エンジンからのオイル漏れ
エンジンは、内部の気密性を確保するためにガスケットを使用して密封されています。しかし、長く使用すると密封効果は次第に薄れてオイルがにじみ出てくることが多くあるでしょう。それが少量であればそれほど問題ありませんが、1日駐車してクルマを移動したあとに路面にオイルの落ちた跡が残っていたらかなり要注意です。
エンジンオイル漏れは、普段使用しているとほとんど気が付きません。路面にオイルのシミができた事に気が付けばまだ良いですが、焦げ臭いことからオイル漏れを発見するような場合、かなり重症であることが多いでしょう。
オイル漏れは、クルマを長く使用していれば避けられない現象です。どうしてもガスケットが気密性を保てなくなりますからオイル漏れが発生します。多くの場合、エンジンの周りを見れば、オイルが漏れている場所には黒いシミができています。またオイルは粘度があるのでホコリも付着しており、オイル漏れの場所を特定するのは容易いでしょう。
エンジンからのオイル漏れを放置すると車検も通らない
オイル漏れは、走行に支障がなければそのまま放置している人も少なくありません。しかし、オイル漏れは程度にもよりますが車検に合格できない故障の一つです。
車検では、クルマの下側に検査官が入り、クルマの状況をチェックします。その時にオイルが滴り落ちるほど漏れていると、車検に不合格と判定されます。
というのも、オイルは可燃性物質なので、オイル漏れにより火災発生のリスクが高まるからです。今まで放置して何の問題も起きていないのは、ただ単に運が良かっただけかもしれません。
オイル漏れは、放置すれば火災に発展する危険があるだけでなく、エンジン内部に大きな損傷を与えてしまうので、エンジンからオイルが漏れていないか確認することはかなり重要です。
オイル漏れを起こしていないか確認
エンジンからオイル漏れを起こしていないか確認する方法は、エンジンの周りを確認して黒いシミができていないか、また黒い粘り気のある液体がエンジン部品に付着していないか確認します。
オイル漏れの確認には、特に道具の使用はありません。ただエンジンの周りをくまなく確認するだけで、おおよそ見当がつきます。また、普段から駐車するスペースに黒いシミが大量に付いていないか確認するだけでもオイル漏れがあるか判断できます。
オイル漏れ修理:2万円~100万円
エンジンオイル漏れの修理費用は、オイルパン(エンジンオイルを溜めるパーツ)の不具合や、エンジンのオイルシールなどの劣化で2万円程度かかります。また、各部のボルトを増し締めすることでオイル漏れが直る場合は、数千円程度の工賃で済むことも多いでしょう。
しかし、全てのオイル漏れが安い修理費用で済むわけではなく、エンジンを分解して組み直しが必要となる場合は数十万円の費用が発生し、エンジンの種類によっては100万円を超えることもあります。
オイル漏れは、少量であっても実際には深刻なダメージとなっていることも多いので、自己判断せずに、早めに整備工場で点検することをオススメします。
エンジンオイル漏れで高額な修理費用となったら、愛車は中古車買取に相談しましょう。特に一括査定なら一度に多くの業者に査定依頼できるので、短時間で条件の良い買取価格を知ることができますから今すぐチェックしましょう。
→ネットで簡単、最大30社の一括査定!【無料】愛車の買取価格を今すぐ調べる!
C.金属がこすれるような焦げたニオイの場合
金属が焦げるようなニオイが発生した場合、その原因には回転する足回り部品の不具合が考えられます。
足回りには、ブレーキから動力伝達装置まで数多くあります。その中で特に金属が焦げるニオイとして現れるのが、以下の2つです。
- ①ブレーキの過熱
- ②マニュアル車ならクラッチの摩耗による滑り
①ブレーキの過熱
ブレーキから金属が焦げるニオイが発生する場合の多くは、サイドブレーキの下ろし忘れが多く見られます。
サイドブレーキは、クルマが停車中にクルマが動かないように止めているブレーキですが、そのブレーキ解除を忘れて走行する事例はかなり多く発生します。
もし走行中にブレーキ付近から金属の焼けるニオイがしたら、サイドブレーキが解除されているか確認しましょう。
また、ブレーキ機構に不具合が出ても、ブレーキがかかりっ放しになる故障があります。すると常にブレーキを引きずりながら走行するので、ブレーキが過熱して焦げ臭いニオイを発生させます。
ブレーキの過熱を放置するとブレーキの効きが悪くなる
ブレーキが常にかかりっ放しになった場合、ブレーキパッドは異常な高温にさらされて最悪炭化してブレーキ性能を著しく悪化させます。
このような状況まで放置すれば、ブレーキは効かなくなり重大事故に発展する恐れがあるでしょう。
ブレーキからの焦げ臭さは、かなり独特のニオイで車内にも多く入り込んできます。もし、普段嗅いだことがないニオイが車内に充満したら早急に整備工場に相談しましょう。
ホイールが手で触れないほど熱くなっていないか確認
ブレーキの過熱で焦げ臭いニオイが発生していると、タイヤホイールもかなりの発熱をしています。そのため、クルマを停車させてタイヤ付近から焦げ臭いニオイが発生しているなら、ホイールが手で触れないほどの熱さになっていることがほとんどです。
もちろん、手で触れないほど熱くなっている時には、すでに煙も上がっていますから手で触る必要もなく、ブレーキが何らかのトラブルを抱えていることが予想できます。しかし、焦げ臭いニオイだけであれば、軽くホイールにタッチしてみます。もし、手で触りかなりの高温であることが確認できれば、その後の走行はしないようにして、すぐにレッカーで整備工場に入庫させましょう。
ブレーキ修理:1万円~5万円
ブレーキが固着して常にブレーキがかかったままになると、ブレーキのオーバーホールが必要です。この費用は、ブレーキの種類とオーバーホールの内容で変わりますが、片側おおむね2万円から3万円程度で済むでしょう。
現在、オーバーホールで対応してもらえる整備工場もありますが、ブレーキをユニットごとAssy(アッシー)交換してしまう業者も多く見られます。ブレーキは、高額なクルマほど部品代金も高くなるのでAssy交換になると10万円以上する場合も多くみられます。そこで、修理する際はオーバーホールでできないか確認すると良いでしょう。
そして、ブレーキ固着の原因はサビがほとんどですが、これは長期間放置した場合や、2年に1回の車検でブレーキフルード交換やブレーキキャリパーの分解整備を怠ると発生します。ブレーキに不具合を起こさないためにも、定期的にメンテンナスすることを怠らないようにしましょう。
②マニュアル車ならクラッチの摩耗による滑り
変速機、いわゆるトランスミッションの種類には昔からマニュアルトランスミッション(MT)があります。クラッチペダルを踏んでギアを切り替えるのがMTですが、そのクラッチに摩耗が発生すると金属の焦げるニオイがします。
教習所でマニュアル免許の取得をしたことがある人ならわかりますが、半クラッチという方法でMTは操作することが多くあります。特に発進の際にはこの半クラッチが重要になりますが、あまり多用するとクラッチから焦げ臭いニオイが発生します。
MT車でクラッチから焦げるようなニオイが発生している状況を放置すると、最終的にクルマは走行不可に陥ります。クラッチ操作で焦げ臭いニオイが発生していたら、できるだけ早く整備工場で点検しましょう。
ハイギアでエンジン回転と速度が噛み合わないならクラッチ摩耗
クラッチが摩耗してくると、クラッチの滑りという症状が発生します。これは1速や2速といった低いギアではなく、4速や5速といった高いギアで走行中にアクセルペダルを踏んでも、エンジン回転だけ上昇しスピードが出ないといった症状として現れます。
このような状況が発生した場合、クラッチが摩耗しておりエンジンからの動力をタイヤに伝えられなくなっています。
そして、この状況をクラッチの滑りと言いますが、ひどくなるとかなりの焦げ臭さが車内に充満します。そのニオイも、独特に金属が焦げるニオイであり、一般に嗅いだことがないニオイですから、普段と異なるニオイと走行速度とエンジン回転が噛み合わなければ早急に整備しましょう。
クラッチ修理費用:5万円~20万円
クラッチ交換は、昔のクルマでは当たり前のように行われていました。金額は5万円前後でしたが、最近のクルマではエンジンパワーが上がったことや先進技術が取り入れられたことにより、10万円以上することも珍しくありません。
特に、エンジンとトランスミッション(エンジンの動力を伝達する変速機)を分離しなければクラッチを交換できませんが、この時に取り外す部品が多いほど工賃が高くなります。工賃は、国産車で5万円から10万円程度が多く見られますが、車種によっては20万円以上の工賃がかかる場合も見られます。
D.ハイブリッド車や電気自動車で焦げ臭い場合
最近増えているハイブリッド車(HEV)や電気自動車(BEV)ですが、このような電気をエネルギーとして走行するクルマも焦げ臭いニオイを発生させます。
特にHEVやBEVでは、焦げ臭いニオイがパワーユニットの不具合であった場合、かなり危険な状況に陥る可能性があるので早急に対処が必要です。その異常には、以下の2種類が挙げられます。
- ①走行中ならモーターやバッテリーに異常がある
- ②充電中ならコネクターや制御系統に異常がある
①走行中ならモーターやバッテリーに異常がある
HEVやBEVが走行中に焦げ臭いニオイを発生させた場合、モーターやバッテリーに異常が発生している可能性が高いでしょう。
HEVやBEVは、システムに異常が発生すると、インパネ内に異常を知らせるサインが点灯したり音でドライバーに知らせます。しかし、システムは全て完璧に作動する保証はなく、これから大きなトラブルに発展する手前まで故障したようなグレーゾーンの故障の場合、システム異常のサインを発する前に、焦げ臭いニオイとしてドライバーに注意を促すことがあります。
HEVやBEVの整備機器を備える整備工場で点検
HEVやBEVは、いままでの整備工場では点検整備できない場合がほとんどです。そこで、HEVやBEV車を整備できる特殊な整備機器を備える経験豊富な整備工場での点検が重要です。
もちろん、メーカー系ディーラーで点検依頼すれば問題ありません。ただし、どうしてもディーラーでは整備費用が高額になることが多いのも事実です。
そこで、臨機応変に整備を提案してくれる一般整備工場であれば、金額も抑えることが可能でしょう。
モーターやバッテリーの修理費用:20万円~
HEVやBEVのパワートレインにはモーターやバッテリーが使用されていますが、これらに異常が発生すると20万円以上の修理費用が発生します。
特にHEVではエンジンとモーターの制御が複雑であり、その制御を行うHEVシステムに不具合が発生する故障が見られます。このような故障は、通常焦げ臭いニオイが発生する前にインジケーターで異常を知らせますが、放置し続ければ焦げ臭いニオイとなり車内に入ってくるでしょう。
②充電中ならコネクターや制御系統に異常がある
HEVやBEVの不具合として知られているのが、充電中の不具合です。通常は安全装置が働いて、焦げ臭いニオイが発生する前にシステムがストップします。しかし、制御は100%完璧に作動する保証はないので、焦げ臭いニオイが発生していたらすぐに充電を中止しましょう。
HEVやBEVに多く使われているリチウムイオンバッテリーは、有機溶媒を使用しているので高温で発火する恐れがあります。そこで、充電中に高温にならないよう冷却システムが作動して冷やしていますが、これらの機能が故障すると発熱して発火する恐れがあります。
また、振動や衝撃に弱い特性がある荷重リチウムイオンバッテリーには衝撃や振動が伝わりにくい設計がされていますが、事故などで何らかの外部要因がかかるとショートして発火する恐れもあります。
充電をすぐに中止して専用機器を備える整備工場で点検
充電中に異常な焦げ臭さを感じるなど、普段と異なる異常を感知したら速やかに充電を中止して、最寄りの整備工場に連絡します。
HEVやBEVは充電中に不具合を発生する可能性は非常に低いですが、事故などを起こした経験があるクルマは特に注意が必要です。
そして、専門業者に修理を依頼する場合も、どのような状況で焦げ臭いニオイが発生したのか詳しく伝えることで、故障の原因を特定しやすくなるでしょう。
充電システム修理費用:20万円程度
充電システムの故障は、通常20万円以上の修理費用を覚悟しなければならないでしょう。また、同時に駆動用バッテリーの交換も余儀なくされることがほとんどです。
しかし、充電システムの異常の中には、充電時に発生する熱を冷却するファンを作動させるシステムに異常が発生することがあります。もし、冷却ファンの異常が原因なら、車種にもよりますが3万円程度の修理費用で済むでしょう。まれに配線の腐食も見られるので、その場合ならもう少し安く修理は完了します。
焦げ臭いニオイが発生したら整備工場に相談を
クルマから焦げ臭いニオイが発生したら、まずは整備工場に相談することがポイントです。自分で焦げ臭い場所を探しても良いですが、思わぬ大きなトラブルが潜んでいる場合が多いのも焦げ臭いニオイが発生する場合です。
修理費用も状況により大きく異なるので、今後修理して乗り続けるのか、それとも買い替えを選択したほうが良いのかも整備工場と相談しましょう。
修理見積が高額になったら買い替えを検討しよう
焦げ臭いニオイが発生した場合に修理費用が高額になることも少なくありません。その場合、クルマの年式や走行距離を考えて、買い替えを選択したほうがお得な場合も多くあります。
例えば、年式も10年以上経過して走行距離も10万kmを超えているような場合、不具合を修理しても今後大きなトラブルが全く起きない保障はありません。むしろ、大きなトラブルが発生する確率のほうが高いと言えるでしょう。
そこで、整備工場に今の状況で修理した場合、あとどれだけ大きな修理が待ち構えているのか、そして今後どれだけ大きな修理をせずに乗り続けられるか相談すると良いでしょう。
クルマから焦げ臭いニオイが発生したら買い替えを検討しましょう。その場合の愛車は一括査定が便利です。多くの業者に査定依頼することで良い条件を引き出せますから、今すぐチェックしましょう。
→ネットで簡単、最大30社の一括査定!【無料】愛車の買取価格を今すぐ調べる!
中古車買取が難しいなら廃車買取に相談
買い替えを検討する場合、今乗っているクルマの処分は中古車買取から査定依頼します。中古車買取は、中古車として商品価値があれば、多少故障していても買取してもらえる可能性があります。
しかし、中古車買取ではどうやっても値段が付かない場合もあるでしょう。その場合、廃車買取に相談します。廃車買取であれば、クルマが動かなくても買取してもらえる可能性があります。また、動かないほど故障していれば廃車処分費用が発生しますが、廃車買取であれはクルマの引き取りから書類変更まで無料で行ってもらえるので、お得にクルマを処分できます。
特に、焦げ臭いニオイで放置すれば車両火災に発展する恐れがあるようなクルマでも、廃車買取なら無料で引き取りしてもらえるでしょう。
買い替えは高額な資金が必要になるので、修理して乗り続けようと考える人も少なくありません。しかし長い目で見れば、中古車買取や廃車買取に早めに相談することで、良い条件で買い替えできる場合もあることを覚えておきましょう。
まとめ
クルマの焦げ臭いニオイは、放置すれば火災の危険性が非常に高いと言えます。そこで、焦げ臭いニオイを感じたら速やかにクルマを停車させ、ニオイがどこから出ているのか確認し、できるだけ早く整備工場に相談します。
最も重要なことは、焦げ臭いニオイがどのような状況で発生したか的確に伝えることです。そうすることで、整備工場ではどこに異常があるのか、そしてこの先もクルマを修理して乗り続けられるのか詳しく点検できます。
もし、修理費用が高額になる場合や修理が難しいと言われた場合は、愛車を廃車買取などに相談し、買い替えを検討することが賢い選択です。