2009年、コンセプトカー発表から4年、ついにアルファロメオ 8Cコンペティツィオーネのオープンモデル「8Cスパイダー」が登場した。生産台数は8Cコンペティツィオーネ同様、わずか500台。正式発表前から世界各国で争奪戦が繰り広げられたのも記憶に新しい。ここでは生産開始されて間もなく行われた国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年10月号より)

ドライバーを包み込むような、官能的サウンドが味わえる

新色パールホワイトの試乗車にはオプションのカーボンパッケージが奢られていた。今となってはちょっと古めかしいキーをシリンダーに差し込み、捻る。スターターボタンを押すと、迫力のサウンドで目覚める。オープンにしているため、クーペよりいっそう刺激的に聞こえた。

画像: 4.7L V8のエンジンは8Cコンペティツィオーネと共通。

4.7L V8のエンジンは8Cコンペティツィオーネと共通。

走り出す前にスポーツボタンを押す。マフラーのフラップが開き、サウンドがさらに野太さを増す。音に併せて、V8エンジンの鼓動がドライバーに伝わってくるようだ。

Aボタンを押してマニュアルモードに切り替え、右手でカーボンパドルシフト(標準はアルミニウム)を手前に引き、1速に。走り出した瞬間、クーペに比べると路面からの当たりが多少柔らかいかな、と思ったものの、相変わらず硬派な乗り心地である。フェラーリ・カリフォルニアと比べてもハードだ。

数字上、加速タイムはクーペより劣ることになっているが、オープンにして走れば、その差異など誤差の範囲。4500rpmを超えたあたりからの官能的なサウンドは市販車随一と言っていいだろう。

ハンドリングでもクーペゆずりのリアルスポーツぶりを見せつけた。やや扱いやすくは感じるものの、基本的にはビッグパワーのFRリアルスポーツだ。

荷重移動を正確に感じ取りながらノーズをきれいに内向かせ、あせらず騒がずクルマの姿勢が出口を向いた刹那、V8サウンドを全開に轟かせる。そのコーナリングひとつひとつが、ストレスを発散させてくれる。クルマ好きにとって、極上のオーディオルームのようだ。(文:西川 淳)

アルファロメオ 8C スパイダー 主要諸元

●全長×全幅×全高:4381×1894×1370mm
●ホイールベース:2645mm
●車両重量:1675kg
●エンジン:V8DOHC
●排気量:4691cc
●最高出力:331kW(450ps)/7000rpm
●最大トルク:480Nm/4750rpm
●トランスミッション:6速AMT
●駆動方式:FR
●タイヤサイズ:前245/35R20、後285/35R20
●0→100km/h加速:4.5秒
●最高速:292km/h 
※EU準拠

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