レクサス LX、電動化の可能性もあるのか
ところでLXが目指したのは、オフロード走破性とオンロードの快適性の両立だという。そのためサスペンションは、フロントにダブルウイッシュボーン式、リアにトレーリングリンク車軸式を採用している。
高速走行時の操縦安定性もレクサスのフラッグシップを名乗るに相応しいものだった。新東名高速でACC(アダプティブクルーズコントロール)を使い120km/h巡航をしたが、そんな速度域であっても安定感は素晴らしいもの。さらにオフロード試乗のときにも感じたことだが、車両からのインフォメーションが豊富で運転が楽しい。LXは饒舌なクルマだった。
ディスプレイやメーターに表示される情報も多く、頼もしさが感じられる。さらに音声認識率も高く、ハンドルから手を離すことなくさまざまな操作ができるところも、このLXのメリットであると感じられた。
ドライブモードで「SPORTS」を選び、アクセルペダルを踏み込むと、エキサイティングなエンジンサウンドが聞こえてくる。実はこれ、オーディオ用スピーカーを使用したエンジンサウンドエンハンスメントによる演出なのだという。自然と気持も高揚してくる。
LX初採用の4シーター仕様「エグゼクティブ」も注目ポイントのひとつだろうということで、後席にも座ってみた。ここは実に快適な空間だ。シートは最大48度までリクライニング、助手席のシートバックにはオットマンも用意され、さらにリラクゼーション機能(シートマッサージ機能)も装備されている。普段なら真っ先にハンドルを握る私も、エグゼクティブが用意されたとなれば喜んで後席に座ってしまうだろう。ただ、運転席でこの恩恵にあずかれないのは少々残念だ。運転していても楽しいLXだからこそ、マッサージ機能を運転席にも装備してほしいところである。
また、22インチという大きなサイズのタイヤ&ホイール(LX600オフロードは18インチ)が影響してか、路面の状況によっては乗員に振動を伝える場面もあった。それはドライブモードを「COMFORT」にしても同様だったので、レクサスフラッグシップSUVとして、このあたりは改良の余地がまだ残されていると言えるだろう。
ところでLXのインテリアは、NXから採用されている「TAZUNA CONCEPT(タズナ・コンセプト)」のもとでデザインされている。これはクルマとドライバーは直感的に繋がり運転操作に集中できるように表示やスイッチ類を配置したもの。さらにLX独自のものも採用されている。
室内で目新しいのは、レクサス初採用だという12.3インチと7インチのモニターが上下に配置されたデュアルディスプレイだろう。ここにはインフォテインメントやオフロード走行時の状況など実に多彩な情報などが表示される。たとえばとても便利なのは12.3インチディスプレイに表示される「アンダーフロアビュー」や「バックアンダーフロアビュー」で、車両周辺の状況をディスプレイで確認できるということ。なによりも安心感がとても強いのだ。
ちなみに取材時点でのグレード別販売比率は、ざっくりと言えば標準のLX600が60〜70%、4シーター仕様のエグゼクティブが10〜15%、残りがオフロードだという。
さて、試乗を終えてLX開発者にいろいろと聞く機会も得た。聞きたかったのはほかのパワートレーンが追加される可能性だ。「NX450h+を運転した印象がとてもよかったので、LXにもプラグインハイブリッドを追加するのはアリではないでしょうか?」とLXの電動化についても聞いてみたところ、「現在検討中です。こうした道なき道を走破できるクルマの故障は、命にかかわることにもなるので完璧な電動化にならないと製品化できませんから」という答えが返ってきた。
パーフェクトな電動化LX。想像しただけで心が躍る。完成が楽しみである。(写真:永元秀和)
レクサス LX600(7人乗り/5人乗り) 主要諸元
●全長×全幅×全高:5100×1990×1885mm
●ホイールベース:2850mm
●車両重量:2590kg/2550kg ※
●エンジン:V6 DOHCツインターボ
●排気量:3444cc
●最高出力:305kW(415ps)/5200rpm
●最大トルク:650Nm/2000-3600rpm
●トランスミッション:10速AT
●WLTCモード燃費:8.0km/L
●駆動方式:4WD
●タイヤサイズ:265/50R22
●車両価格(税込):1250万円 ※
※:LX600エグゼクティブ(4人乗り)の車両重量は2600kg、車両価格は1800万円