ジープ ラングラーの世界観とは、いったいどこまで広がっていくのだろう。北米ユタ州で開催されたオフローダーたちの祭典に、2022年もさまざまな「ライフスタイル」を提案するコンセプトモデルたちが登場した。変わるべきものと変わるべきではないものを、しっかり取捨選択した先にある独自の進化論は、時代を超えてなおまったく色あせることのない魅力として、輝きを放ち続けている。

イースター ジープ サファリに集った「これからの理想形」たち

アメリカ合衆国西部の内陸部、ユタ州グランド郡にある都市「Moab(モアブ市)」は、乾燥した気候に育まれた雄大な大自然の中にある都市だ。かつては名作「駅馬車」に代表される西部劇の舞台となり、インディ・ジョーンズのようなアドベンチャー巨編あるいはトランスフォーマーのようなSF大作に至るまで、さまざまな映像作品の「舞台」となってきた。

画像: 「いつかどこかで見たような」気がする、ワイルドでウエスタンな風景に、Jeepはやっぱり恐ろしいほど似合う。

「いつかどこかで見たような」気がする、ワイルドでウエスタンな風景に、Jeepはやっぱり恐ろしいほど似合う。

そんなワイルドでウエスタンな雰囲気が漂うエリアで、地元の四輪駆動クラブのひとつ「RedRock 4-Wheelers」は毎年、オフロード愛好家とジープオーナーを集めた特別なイベント「イースター ジープ サファリ」を開催している。

そこで恒例となっているのが、ジープブランドによるコンセプトモデルの展示だ。2022年は計10台が出品され、多くのファンを熱狂させたが、中でも注目したいのがラングラーの「これから」を窺わせるコンセプトモデルたちだった。

Jeep Wrangler Magneto 2.0 Concept ── 第二世代は、最大トルクが3倍以上

2021年、ラングラー ルビコンをベースにフル電動モデルとして登場したのが「Magneto=マグニートー コンセプト」だった。2020年式のボディに換装された電気モーターは最高出力285hp/最大トルク370Nmを発生。3L超級の6気筒モデルと同等のポテンシャルを達成した。

画像: カスタマイズされたバンパーは軽量タイプ、ワイドタイヤをカバーするホイールフレアやBピラーもカーボンファイバー製となっている。ボディにはサーフブルーをアクセントとして配して、環境への優しさをアピールする。

カスタマイズされたバンパーは軽量タイプ、ワイドタイヤをカバーするホイールフレアやBピラーもカーボンファイバー製となっている。ボディにはサーフブルーをアクセントとして配して、環境への優しさをアピールする。

しかし今回、発表された第二世代「マグニートー 2.0」は、第1世代のスペックがまるで玩具のように思えるレベルまで、文字通り「強化」されていた。最高出力は625hpに達し、最大トルクに至っては、10秒ちょっとのブーストモードながら、およそ1150Nmの剛力を絞り出す。

その驚異的なスペックは、サーキットを得意とするロードスポーツを思わせるレベルにある。だがマグニートー2.0が思い切り全力を振り絞るのにふさわしい風景はやはり、ラフな路面と岩場の連なる本格的なオフロードシーンだろう。

6速マニュアルトランスミッションを備えたマグニートー 2.0は、ベースとなるルビコンの1速比を5.13から3.36に変更。ルビコンのロックトラック・トランスファーケースと組み合わせると、電気モーターのオンデマンドなトルク特性と相まって、岩場などをものともしないクロール能力を発生する。その自在なコントロール性能はまさに、真の「ワンペダルドライブ」体験を実現しているという。

圧倒的なパワートルクとリニアリティを生み出しているのは、次世代EVのパワートレーンとして注目を浴びているAxial-Flux Motor(AFM/アキシャル・フラックス・モーター=軸方向磁束モーター)だ。

現在、一般的に使われているラジアル電気モーターに対してAFMは構造が非常にコンパクトで、高出力密度を備えることが可能になるという。一般的に直径が大きく軸方向の厚みが薄いことから、自動車の電動化に用いるには最適な形状をしているのも特徴だ。

画像: 重量バランスを最適化するために、4つのリチウムイオン電池がシャシ全体に分散して配置されている。総合で70kW/hのハイパワーだ。

重量バランスを最適化するために、4つのリチウムイオン電池がシャシ全体に分散して配置されている。総合で70kW/hのハイパワーだ。

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