「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、シェルビーアジア アジアパシフィックだ。

思ったよりも、ずっと乗りやすいクルマだ

エンジンの始動は一発で決まり、ビートの聞いた独特のサウンドを奏でる。やや重いクラッチペダルを踏んでシフトレバーをローに入れ、ゆっくりとクラッチをミートすると、あり余るトルクによりクルマは軽々と走り出す。パワステは付かない。

田邊氏が試したところ、ないほうが具合が良かったのでAPモデルにはあえて装着せず、ギア比を最適化したとのこと。おかげでコーナーでも走りにくいことはない。やや硬めながら乗り心地も悪くなく、思ったよりもずっと乗りやすいクルマであるのは意外だった。

画像: 試乗車は448psと57.8kgmを発生する「ROUSH 347R」という5.7LのV8エンジンを搭載していた。

試乗車は448psと57.8kgmを発生する「ROUSH 347R」という5.7LのV8エンジンを搭載していた。

最高出力448psと最大トルク57.8kgmを発生する5.7LのV8ユニットを車両重量が1200kgに満たない車体に積んでいるのだから、加速は強烈そのもの。アクセルペダルの操作にまったく遅れなくレスポンスし、踏み込めばキャブレターの吸気音の高まりとともに、リミットの5500rpmまで一気に吹け切る。極太のタイヤとはいえ簡単にグリップを失ってしまうほどだ。

ただし、直線番長かと思いきや、V8エンジンはフロントミッドに搭載され、前後ダブルウイッシュボーン式のサスペンションを採用するなど、ハンドリングマシンの側面も持つ。今回の試乗ではそれほど攻めて走ったわけではないが、コーナリング時の良好なバランス感覚に、その片鱗を垣間見た。

これまで高額が当たり前だったコブラの新車がエアコン付きで680万円という価格で手に入り(編集部註:2011年当時)、しかも非常に乗りやすく、さらにはこうしたクルマとしては珍しく保証まで付いているということは、実に画期的なことだ。コブラに興味はあっても、とても手が出ないし、リプロダクションモデルにはなかなか踏み出せないでいたファンにとって、まさに願ってもない話だといえるだろう。

画像: コクピットの後ろには小ぶりだがロールバーも備わる。マフラーはサイド出しで遮熱板は付いているが、短パンでコブラに乗るのは危険!

コクピットの後ろには小ぶりだがロールバーも備わる。マフラーはサイド出しで遮熱板は付いているが、短パンでコブラに乗るのは危険!

■シェルビーアジア AP 主要諸元

●全長×全幅×全高:3960×1753×1220mm
●ホイールベース:2286mm
●車両重量:1180kg
●エンジン:V8 OHV
●総排気量:5686cc
●最高出力:328kW(448ps)/5500rpm
●最大トルク:567Nm(57.8kgm)/5100rpm
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:プレミアム・80L
●タイヤサイズ:前245/40ZR18、後295/35ZR18
●当時の車両価格(税込):680万円

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