2021年度も、日本でいちばん売れたクルマはホンダ N-BOXだった。その魅力を探るべく、2021年12月に一部改良された最新モデルに試乗してみた。

普通に走るのなら、まったく不満はない

また、ハンドルこそ本革巻きではないものの、運転席&助手席にはシートヒーターが備わり、左側のスライドドアは電動開閉で、スライドドアのウインドーにはサンシェードも備わる。当たり前のように、スマートキーやサイドカーテンエアバッグ、ヒルスタートアシストもすべて標準装備されている。

画像: 直進性と曲がりやすさのバランスも、年次改良が施されて乗るたびに良くなっているようだ。

直進性と曲がりやすさのバランスも、年次改良が施されて乗るたびに良くなっているようだ。

しかも、試乗車の「EX」はミドルグレードで、上位グレードはさらに装備が充実している。約170万円という車両価格はけっして安くはないけれど、装備だけを考えれば200万円以下で欲しいものがすべて揃っている。

ちなみにカーナビはオプションで約10~20万円。それを含めても、200万円以下でおさまる。軽自動車に何を求めるのかは人それぞれだが、約150~200万円という価格帯のN-BOXは、絶対的な安さではなく、装備と価格のバランス、つまりコスパ(コストパフォーマンス)を追求しているのではないだろうか。

では、走り味はどうか。正直に言って、速いとか、運転していて楽しいと感じるものではない。3時間以上も続けて運転するようなシーンでは、お尻が痛くなった。運転姿勢がアップライトで、お尻に体重が集中するのに対してクッションが弱いのだろう。もっとも、そんな長い時間もN-BOXで走り続けることは想定外なのかもしれない。

画像: EXのフロントシートはセパレートで助手席は57cmスライドする。センターアームレストも備わり、運転席/助手席ともヒーターを内蔵。

EXのフロントシートはセパレートで助手席は57cmスライドする。センターアームレストも備わり、運転席/助手席ともヒーターを内蔵。

ただ、最高出力は58psにすぎないNAエンジン車にもかかわらず、高速道路の巡航を苦もなくこなす。きつい勾配のアップダウンでも、少々エンジン音がうるさくなるものの道の流れに乗って楽々と走る。流れをリードしようと考えずに、普通に走ろうというのであれば、まったく不満を感じることはないのだ。

また、直進性と曲がりやすさのバランスも、乗るたびに良くなっている。先代モデルで感じられた、まるで船のような反応の遅さや鈍さも改善されている。走る、曲がる、止まるといったクルマの基本性能も、世代を重ねるほどに進化している。

家族と荷物、ときには自転車も積んで、子育てや買い物、送迎といった日常生活を支えるのが、N-BOXの仕事だ。広さという点では、そもそも文句なし。デビューから11年、2世代にわたって、走りを磨き上げ、便利で快適、そして安全装備などを充実させてきた。日常生活の気軽で便利な足としてN-BOXを見れば、必要なものはすべて揃っている。「国民車」と呼べるほどヒットするのも、納得できるというものだ。(文:鈴木ケンイチ/写真:Webモーターマガジン編集部)

画像: EXの足まわりはスチールホイール+フルホイールキャップだが、360度スーパーUV・IRカットパッケージなどは標準装備。

EXの足まわりはスチールホイール+フルホイールキャップだが、360度スーパーUV・IRカットパッケージなどは標準装備。

■ホンダ N-BOX EX 主要諸元

●全長×全幅×全高:3395×1475×1790mm
●ホイールベース:2520mm
●車両重量:930kg
●エンジン:直3 DOHC
●総排気量:658cc
●最高出力:43kW(58ps)/7300rpm
●最大トルク:65Nm(6.6kgm)/4800rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:レギュラー・27L
●WLTCモード燃費:21.2km/L
●タイヤサイズ:155/65R14
●車両価格(税込):167万8600円

This article is a sponsored article by
''.