ハイエンドブランドのSUVも電動化は進んでいる。PHEVではベントレーのベンテイガが先陣を切っているが、高い効率を実現できるMHEVの採用も増えている。ここでは熟成著しい2モデルの最新仕様を試してみた。(Motor Magazine2022年5月号より)

着実な熟成と進歩を実感。秀逸な直6ディーゼルエンジン

一方のレンジローバースポーツは、全高がレヴァンテGTより120mm高いこともあって、オフロードのために作られたSUVという雰囲気を強く漂わせる。

画像: ランドローバー レンジローバースポーツHSE ダイナミックD300。最新型の直列6気筒エンジンは実に力強くてスムーズ。ディーゼルとガソリンの両タイプを用意するがどちらもMHEV仕様。ただし電動ターボはガソリン仕様のみに採用される。足まわりは電子制御エアサスペンションを標準装備。

ランドローバー レンジローバースポーツHSE ダイナミックD300。最新型の直列6気筒エンジンは実に力強くてスムーズ。ディーゼルとガソリンの両タイプを用意するがどちらもMHEV仕様。ただし電動ターボはガソリン仕様のみに採用される。足まわりは電子制御エアサスペンションを標準装備。

レヴァンテの流れるようなクーペラインとは正反対の無骨な四角いボディ形状もそうだし、オールシーズンタイヤのピレリスコーピオンゼロを履いていることも、このクルマが何のために生まれてきたのかを明確に物語っている。オリジナルのレンジローバーより全長を短縮してレンジローバースポーツを名乗っても、その血筋を隠し通せるわけではないのだ。

レンジローバースポーツのデビューも2013年と、決して新しくはない。ただしジャガー・ランドローバーの新作に乗ると、それが決してフルモデルチェンジでなかったとしてもシャシ、パワートレーン、ユーザーインターフェイスなどが着実な進歩を遂げていて驚かされることが多い。そしてこの最新レンジローバースポーツもまた、その例外ではなかった。 

まず、2021年モデルからレンジローバースポーツにも導入された直6ディーゼルターボエンジンの完成度が凄まじく高い。それもディーゼル特有のノイズやバイブレーションが感じられないというレベルの話ではなく、レスポンスの鋭さや回転が上昇する素早さ、さらにはストレート6ならではの心地いいビート感など「ほかのエンジンじゃなくてこれがいい!」と、積極的に選びたくなる魅力が詰まっているのだ。

とりわけ素晴らしいのがアクセルペダルのレスポンスで、低回転域で右足に力を込めた瞬間、無尽蔵とも言えそうなトルクが溢れ出てくる。この辺は、マイルドハイブリッドの効果もあるのかもしれないが、その後もタコメーターの針はぐんぐんと上昇を続けて4000rpmオーバーのレブリミットまで一気にたどり着いてしまう。その様子は「本当にディーゼルエンジンなのか?」と訝(いぶか)しく思えてしまうほどだ。

ハイブランドでは譲れない高出力が実現する快適性

そんな直6ディーゼルエンジンをあえてマセラティ直4ガソリンエンジンと比較すると、低速域のトルク感は直6ディーゼルの圧勝。ただし、一定のトルクを保ったまま一気にレブリミットに到達する直6ディーゼルに比べると、直4ガソリンは低速トルクがやや細いものの、回転の上昇に伴って徐々にパワーが高まっていくドラマ性が感じられる。

画像: オンロード出身の「ランドローバー レンジローバースポーツHSEダイナミックD300」とオフロード出身の「マセラティ レヴァンテGT」(左)。どちらが自分の肌に合うか?

オンロード出身の「ランドローバー レンジローバースポーツHSEダイナミックD300」とオフロード出身の「マセラティ レヴァンテGT」(左)。どちらが自分の肌に合うか?

このため、直4ガソリンのほうが、より息の長い加速を味わえる。カタログデー0→100km/h加速がレンジローバースポーツD300の7.3秒に対してレヴァンテGTは6.0秒、同様に最高速度は209km/hに対して245km/hと、いずれもレヴァンテGTが大幅に上回っている。

レンジローバースポーツはシャシの進化も目覚ましく、ハンドリングと乗り心地のバランスは最新モデルと比べてもまったく遜色がない。とりわけ、レヴァンテGTに対する明らかな優位性と思われたのが、路面からのゴツゴツ感を見事に遮断していた点。この辺は、当たりの柔らかいオールシーズンタイヤの影響もあるのだろう。

ソフトな乗り心地のわりにピッチングやローリングが巧みに抑えられているのもレンジローバースポーツの特徴だ。ただしこれはスプリング/ダンパーのチューニングというよりも、サスペンションジオメトリーの効果で、要はアンチノーズダイブをしっかり利かせた恩恵のように思えた。

裏を返せば、レンジローバースポーツのハンドリングは、自然な感触のレヴァンテGTとは対照的に、やや人工的な味付けにも思える。クロスカントリー4WD的な成り立ちのSUVに、優れたオンロード性能を与えようと努力して生まれたのがレンジローバースポーツの足まわり、といえる。

いっぽうのレヴァンテGTは、出自がグランツーリスモらしい自然なサスペンションの動きが魅力的。どちらを選ぶかは、「オンロード出身とオフロード出身のどちらが自分の肌に合うか?」という点に帰結するような気がする。(文:大谷達也/写真:永元秀和)

マセラティ レヴァンテ GT 主要諸元

●全長×全幅×全高:5020×1985×1680mm
●ホイールベース:3005mm
●車両重量:2280kg
●エンジン:直4SOHCマルチエアターボ+電動コンプレッサー+モーター
●総排気量:1995cc
●最高出力:243kW(330ps)/5750rpm
●最大トルク:450Nm/2250rpm
●モーター最高出力:-kW
●モーター最大トルク:44Nm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・80L
●WLTCモード燃費:-km/L
●タイヤサイズ:265/50R19*
●車両価格(税込):1149万円
*取材車はオプションの265/45R20を装着

ランドローバー レンジローバースポーツHSEダイナミックD300主要諸元

●全長×全幅×全高:4855×1985×1800mm
●ホイールベース:2920mm
●車両重量:2430kg*
●エンジン:直6DOHCディーゼルターボ+モーター
●総排気量:2993cc
●最高出力:221kW(300ps)/4000rpm
●最大トルク:650Nm/1500-2500rpm
●モーター最高出力:18kW
●モーター最大トルク:55Nm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:軽油・86L
●WLTCモード燃費:10.3km/L
●タイヤサイズ:275/45R21
●車両価格(税込):1143万円
*取材車はオプションのパノラミックルーフ装着(+40kg)、2座式3列目シート装着の7人乗り仕様(+80kg)のため2550kg

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