トップ10に入ったドライバーで2ストップだったのはペレスだけだった
レース前は「2ストップ戦略が最速」と予想されていたが、結果はそうはならなかった。
スタートは大部分のドライバーがミディアムタイヤを装着。ミディアムからハードに履き替えて、状況に応じて再びミディアムを履くか、あるいはソフトタイヤを選択するというのが最善と考えられていたのだった。
スタートでハードタイヤを選択したのは、ジョージ・ラッセル(メルセデス)、ニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)、エステバン・オコン(アルピーヌ)、アストンマーティン勢の5台。いずれもグリッド後方のドライバーで、タイヤ交換の時期に余裕を持たせて、雨やアクシデントに乗じて逆転を狙う作戦だ。
タイヤ戦略の上で予想外だったのは、前日ほど気温が上がらなかったことだ。湿度が高く、雨のリスクも予想されていたが、実際には降雨はなかった。
最初のスティントのミディアムタイヤで速かったのは、フェルスタッペンだった。フェラーリ勢は土曜日までは好調だったが、決勝レースでは気温が下がったこともあったのか、ミディアムタイヤでのルクレールのペースは7周目あたりから落ち始め、9周目にはフェルスタッペンにオーバーテイクを許してしまった。その後、ルクレールはフェルスタッペンについていくのがやっとだった。
レース後半、タイヤ交換を行いハードタイヤに履き替えたルクレールはペースを上げてフェルスタペンに迫ったが、オーバーテイクするほどの速さはなかった。
残り17周の終盤、ガスリーとノリスが激しく接触してVSC(バーチャルセーフティカー)が導入され、その後VSCはSC(セーフティカー)に変更される。このタイミングを待っていたのがハードタイヤでスタートしてタイヤ交換を遅らせていたラッセル、ストロール、オコン。作戦はズバリと当たり、ここでタイヤ交換を済ませた3人はいずれもトップ10でフィニッシュしている。