2020年9月9日、モデナ、ニューヨーク、そして東京での同時ワールドプレミアから約1年半。マセラティ初のバタフライドア採用、20年以上の時を経てエンジンの自社生産を再開したマセラティが100%自社開発で生み出した新型V6ツインターボエンジン「ネットゥーノ」搭載など、新世代のマセラティの到来を告げるスーパーカーが「MC20」なのである。(Motor Magazine 2022年6月号より)

スーパースポーツカーの中で最高の乗り心地を提供

冒頭のタイトルカットを見ているだけでは想像もできないだろうが、取材当日の朝はひどい雨で、場所によってはアクアプレーニング現象が起きてもおかしくないくらいの水膜が高速道路の路面を覆っていた。マセラティMC20にはこれまで何度か試乗したことがあるが、これほどの大雨は初めての体験。センターコンソール上の大型ダイヤルを左にひねりウエットモードを選択、カメラマンとの待ち合わせ場所へと向かった。

MC20はマセラティが久しぶりに放つミッドシップスーパースポーツカーだ。いうまでもなく、エンジンという重量物を車体の後方に搭載するミッドシップカーは、物理の法則からも高速直進性が得意とはいいがたい。

画像: 超軽量なカーボンファイバー製モノコックボディはマセラティ初採用である。優れた捻れ&曲げ剛性を持つ。

超軽量なカーボンファイバー製モノコックボディはマセラティ初採用である。優れた捻れ&曲げ剛性を持つ。

しかし、MC20は叩きつけるような雨をものともせず、それこそ水を得た魚のようにスイスイと高速道路を走り続けた。直進性はいうまでもなく、難しいコンディションのなかで前輪が懸命に路面を捉えようとしている様子もハンドルからしっかりと感じ取れる。だから、恐怖を無理やり抑え込んでハンドルを握っていたのではなく、安心して、いや、むしろそんな状況を楽しみながら、MC20をドライブしていた。

そうしたハイウェイクルージングでの乗り心地がミッドシップスーパースポーツカーとして抜群に優れていることも特筆すべきだろう。MC20には合計で5つのドライビングモードが用意されているが、ノーマルモードに相当するGTもウエットも、ダンパーの減衰力はほとんど変わらないように思えるのに、ウエットでは高速道路のジョイントを乗り越えた時のショックが格段に減って、快適性が一気に向上する。

最近はスーパースポーツカーの乗り心地が全般的に向上しているが、MC20のように比較的たっぷりとしたストローク感を持つスーパーカーは他に例がない。その快適性がトップクラスであることは明らかだ。

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