BMWはコンパクトFRスポーツモデルの伝統を守り、FRレイアウトのまま2シリーズクーペをフルモデルチェンジした。8年ぶりに登場した新型も、人とクルマの一体感を大切にした操作感と軽快なハンドリングを持つ。コーナーを駆け抜けるたびに、運転する楽しさを実感させてくれた。(Motor Magazine 2022年6月号より)

先代に比べひと回り大きくなったボディサイズ

「BMW02シリーズ」の系譜を受け継いだプレミアムコンパクトクーペ、2シリーズクーペが8年ぶりにフルモデルチェンジした。新型のモデルバリエーションは「220i」「220i Mスポーツ」「M240i xDrive」の3種類。「220i」は2L直4ターボを搭載するFRモデルで、「M240i」は3L直6ターボを搭載する四輪駆動のハイパフォーマンスモデルとなる。

画像: 斜め後ろから見ると前後フェンダーの膨らみがよくわかる。スリットが入ったリアバンパーやサイドスカート、フェンダーのMバッジはMスポーツの装備品。

斜め後ろから見ると前後フェンダーの膨らみがよくわかる。スリットが入ったリアバンパーやサイドスカート、フェンダーのMバッジはMスポーツの装備品。

新型のボディサイズは、全長4560mm(先代比+90mm)、全幅1825mm(+50mm)、全高1405mm(+5mm)、ホイールベース2740mm(+50mm)と全体的に拡大された。先代よりひと回りも大きくなっているが、それでも兄貴分の4シリーズクーペと比べると全長は115mm短く、全幅は25mm狭いサイズ感となる。

エクステリアでは、まず大型化されたキドニーグリルが目に入る。そして回りが縁取られた2灯式ヘッドライト、三角形のエアインテークにV字シェイプなどフロントマスクは立体的な造形。サイドはショルダーラインがボディ後端へと向かって伸びやかに描かれ、トランクリッドはツンと上がったダックテール風。ボディ端に配置されたテールレンズは形状も凝っており、膨らんだリアフェンダーとの組み合わせでボディサイズ以上の迫力が感じられる。

意のままに操れる操作性に駆け抜ける歓びを実感

今回の試乗車は220i Mスポーツ。ベースとなる220iに対して、専用の内外装パーツをはじめ、バリアブルスポーツステアリング、Mスポーツディファレンシャル、Mスポーツサスペンションなど、他シリーズの「Mスポーツ」と同様、「M」のDNAを受け継いだ、走行性能を高めるためのパーツが装着されている。

エンジンは、1シリーズから5シリーズまで幅広く搭載されている2L直4ターボ「B48」の中でもスタンダードな「B48B20A」。高回転ユニットではないので回して楽しむタイプではないが、実用域で大きなトルクが出ているのでとても扱いやすい。184ps/300Nmという程よいパワー感で、右足に力を込めれば、心地よい低音を響かせてスムーズにエンジン回転を上昇させていく。

画像: 2L直4ツインパワーターボエンジンを搭載。バルクヘッド側に寄って搭載されているのがよくわかる。

2L直4ツインパワーターボエンジンを搭載。バルクヘッド側に寄って搭載されているのがよくわかる。

走り出してすぐに感じたのは、素直な操縦性だ。ハンドルを切れば、少ない操舵力でスッとノーズの向きを変え、狙ったラインを思いどおりにトレースすることができる。これは低速から高速まで実感できることで、舵角や車速に応じてステアリングのギア比を変化させるバリアブルスポーツステアリングの効果もあるのだろう。

フロントミッドに搭載した4気筒エンジンやほぼ50:50の重量バランスなど、人とクルマの一体感を大切にしたBMWの基本設計が生きていることも確か。運転中もコーナーが続くと、思わずうれしくなってしまう。

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