2022年5月19日〜22日、WRC世界ラリー選手権第4戦ラリー・ポルトガルがポルト近郊で開催され、トヨタのカッレ・ロバンペラが優勝、シーズン3勝目をあげた。チームメイトのエルフィン・エバンスが2位、3位にはヒョンデのダニ・ソルドが入った。勝田貴元は4位でフィニッシュした。

先頭スタートの不利を覆し、ロバンペラが3連勝を飾る

シーズン4戦目にして初のグラベルラリーとなったポルトガル。選手権リーダーとして不利な先頭スタートで挑んだロバンペラが、周囲の予想を覆す見事な勝利を飾った。

ロバンペラにとって幸運だったのは、路面掃除役で大きなタイムロスを覚悟していたラリー序盤の路面コンディションが例年よりもラフで、ライバルにトラブルが相次いだこと。

開幕戦モンテカルロの主役だったセバスチャン・ローブ(Mスポーツ・フォード)とセバスチャン・オジェ(トヨタ)がアクシデントとパンクで優勝争いから脱落し、ヒョンデ勢もティエリー・ヌーヴィルがドライブシャフトトラブル、オィット・タナックがパンクでそれぞれ大きくタイムロス。

そんな荒れた展開のラリー2日目を2番手と絶好の位置で終えたロバンペラは、ラリー3日目に首位のチームメイト、エルフィン・エバンスとの差を瞬く間に削り取り、午後の3連続ベストでついに逆転した。

ラリー最終日もロバンペラは、エバンスとの差をキープしたまま、第2戦スウェーデン、第3戦クロアチアに続く3連勝のフィニッシュに飛び込んだ。

「スタート順を考えると、すごくいいドライビングができた」と喜ぶロバンペラは、最終パワーステージも制してフルポイントの30点を獲得。これでランキング2位のヌーヴィルとのポイント差を46点に広げ、選手権独走態勢に入った。

画像: 今季初のグラベルラリーとなったポルトガル。不利な先頭スタートが心配されたロバンペラだったが、序盤を慎重に走り、ラリー3日目にトップに立つと、そのまま逃げ切った。

今季初のグラベルラリーとなったポルトガル。不利な先頭スタートが心配されたロバンペラだったが、序盤を慎重に走り、ラリー3日目にトップに立つと、そのまま逃げ切った。

画像: 3連勝でチャンピオン争いを独走するカッレ・ロバンペラ(右)とコドライバーのヨンネ・ハルットゥネン。

3連勝でチャンピオン争いを独走するカッレ・ロバンペラ(右)とコドライバーのヨンネ・ハルットゥネン。

大ベテランとの接戦に惜敗、勝田は惜しくも表彰台を逃す

ラリー初日にスピンを喫して出遅れたものの、そこから挽回して4番手で3日目を迎えた勝田貴元は、この日の午後にヒョンデのダニ・ソルドを逆転して3番手の座を奪取。その後差を広げたが、最後のわずか3kmのショートステージで天候の急変に影響されて、ソルドに詰め寄られてしまう。

最終日の両者は僅差の大接戦。勝田が2.2秒のリードで最終ステージを迎えたが、ここで過去ポルトガルで6度の表彰台の実績を持つソルドが地力を発揮し、勝田を4.3秒上回るタイムをマーク、土壇場で3位を奪い取った。

わずか2.1秒差で惜敗した勝田は「ベストは尽くしましたが、届かなかった。まだ足りなかったということです。(1-2-3フィニッシュができなくて)チームに申し訳ない」とコメントし、悔し涙を流した。

画像: 惜しくも表彰台を逃したが、勝田貴元(トヨタ)は総合4位を獲得。ドライバーズランキングで3位に浮上した。

惜しくも表彰台を逃したが、勝田貴元(トヨタ)は総合4位を獲得。ドライバーズランキングで3位に浮上した。

次戦2022年WRC第5戦ラリー・サルディーニャ・イタリアは、6月2日から5日にかけて、サルディーニャ島アルゲーロを起点に開催される。ポルトガルに続く今季2戦目のグラベルイベントとなるこのラリーは、全体的にハイスピードなステージで構成されるが、道幅は狭く、道のすぐ脇まで木々や岩が迫るため小さなミスも許されない。また、例年気温が高くなることも多く、ドライバーやクルマ、そしてタイヤにも厳しいラリーとして知られている。

2022年WRC第4戦ラリー・ポルトガル 結果

1位:K.ロバンペラ(トヨタ GRヤリス ラリー1)3h44m19.2s
2位:E.エバンス(トヨタ GRヤリス ラリー1)+15.2s
3位:D.ソルド(ヒョンデ i20 N ラリー1)+2m17.3s
4位:勝田貴元(トヨタ GRヤリス ラリー1) +2m19.4s
5位:T.ヌーヴィル(ヒョンデ i20 N ラリー1)+2m37.8s
6位:O.タナック(ヒョンデ i20 N ラリー1)+4m45.7s
7位:P.ルーベ(フォード プーマ ラリー1)+5m52.1s
8位:C.ブリーン(フォード プーマ ラリー1)+7m03.4s
9位:A.フルモー (フォード プーマ ラリー1) +8m09.6s
10位:Y.ロッセル(シトロエン C3 ラリー2)+13m48.9s

2022年WRCドライバーズランキング(第4戦終了時)

1位 K.ロバンペラ(トヨタ) 106
2位 T.ヌーヴィル(ヒョンデ)60
3位 勝田貴元(トヨタ)38
4位 O.タナック(ヒョンデ)37
5位 E.エバンス(トヨタ)36
6位 C.ブリーン(Mスポーツ フォード)34

2022年WRCマニュファクチャラーズランキング(第4戦終了時)

1位 トヨタ 175
2位 ヒョンデ 116
3位 Mスポーツ フォード 94

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