2022年5月27日、F1第7戦モナコGPがモンテカルロの市街地サーキットで開幕する。今シーズンは全22戦で行われるF1グランプリの中でも「特別なグランプリ」とされる伝統の一戦だ。

ドライバーの腕が問われる「世界一難しいコース」

ヨーロッパに夏の訪れを告げるモナコGPは、ほかのグランプリとは違う特別な雰囲気を持ったレース。舞台となるのは高級リゾート地として名高いモンテカルロの市街地で、通常のサーキットよりもはるかにグリップが小さく、しかも道幅が狭く、少しでもミスをすればコンクリートウォールの餌食になる難しいコースが設定される。

現代F1では考えられないサーキットだが、1950年代のF1世界選手権発足当時とほぼ変わらないコース設定で、毎年この時期に変わることなく開催されている。十分なセーフティゾーンはないが、安全対策にぬかりはなく、650名ものマーシャルと120名の消防士がコース脇に待機し、クラッシュしたマシンを即座に撤去する準備が整えられている。

コーナーはタイトで、長いストレートもないので平均速度は130km/hと低いものの、低速コーナーからのドライバビリディ、メカニカルグリップ、エアロダイナミクス、ミスのないドライビング、的確な判断など、チームとドライバーには総合力が求められる。マシンの性能差が現れにくい、ドライバーズサーキットでもある。

オーバーテイクがきわめて難しいため予選順位が重要となるが、セーフティカー導入の確率が高く、また雨が降ることも多いため、ピットインの判断がレース展開に大きな影響を与えることもある。セーフティカー導入時に全車が一斉にピットになだれ込んで大混乱となる事態も考慮しなければならない。

またレースフォーマットにもモナコGPならではの部分が残されており、2021年までは木曜日にフリー走行を開始、街にグランプリの開幕が告げられると、金曜日は街中でさまざまなイベントが開催され、土曜日に予選、日曜日に決勝が行われていた。

2022年はチャンピオンシップをリードしてモナコGPに乗り込んでくるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に注目が集まるが、フェラーリのマシンは低速コースで速く、またタイヤにも優しいことから優勝候補の筆頭に挙げられている。とくに前戦ポルトガルGPで楽勝ムードから一転リタイアとなったシャルル・ルクレール(フェラーリ)が地元モナコでどんな走りを見せるか興味深い。

このほか、シーズン序盤でつまづいたメルセデスが復調の兆しを見せており、ここでどこまで進化してくるかにも注目される。

画像: 全長3357mのモンテカルロ市街地コース。1コーナー=サン・デボーテ(Sainte Devote)、2コーナー=ボー・リバージュ(Beau Rivage)、3コーナー=マスネ(Massenet)、4コーナー=カジノ・スクエア(Casino Square)、5コーナー=ミラボー(Mirabeau)、6コーナー=グランドホテル・ヘアピン(Grand Hotel Hairpin)、8コーナー=ポルティエ(Portier)、10コーナー=ヌーベル・シケイン(Nouvelle Chicane)、12コーナー=タバコ・コーナー(Tabac)、15コーナー=プールサイド・シケイン(Piscine)、18コーナー=ラスカス・コーナー(Rascasse)などと呼ばれて親しまれている。

全長3357mのモンテカルロ市街地コース。1コーナー=サン・デボーテ(Sainte Devote)、2コーナー=ボー・リバージュ(Beau Rivage)、3コーナー=マスネ(Massenet)、4コーナー=カジノ・スクエア(Casino Square)、5コーナー=ミラボー(Mirabeau)、6コーナー=グランドホテル・ヘアピン(Grand Hotel Hairpin)、8コーナー=ポルティエ(Portier)、10コーナー=ヌーベル・シケイン(Nouvelle Chicane)、12コーナー=タバコ・コーナー(Tabac)、15コーナー=プールサイド・シケイン(Piscine)、18コーナー=ラスカス・コーナー(Rascasse)などと呼ばれて親しまれている。

画像: モンテカルロ市街地コース図。参考として通過速度とギアポジションが入っている。

モンテカルロ市街地コース図。参考として通過速度とギアポジションが入っている。

2021年のモナコGPはフェルスタッペンが優勝

昨年2021年、2年ぶりに開催されたモナコGPでは2番グリッドからスタートしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が優勝を飾っている。ポールポジションを獲得したシャルル・ルクレール(フェラーリ)がギアボックストラブルでグリッドに着けないままリタイアとなり、実質的なポールスタートなったフェルスタッペンが序盤から首位に立つと、タイヤを労わりながらレースをコントロールして逃げ切った。ルイス・ハミルトン(メルセデス)は予選の不振から脱却できずに7位終わり、フェルスタッペンがポイントリーダーに躍り出ている。

画像: 昨年2021年のモナコGP。マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がレースをコントロールして優勝。

昨年2021年のモナコGP。マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がレースをコントロールして優勝。

画像: 昨年2021年のモナコGPの各ドライバーのタイヤ戦略。上位6台はすべて1ストップだった。

昨年2021年のモナコGPの各ドライバーのタイヤ戦略。上位6台はすべて1ストップだった。

【参考】2021年F1第5戦モナコGP決勝 結果

1位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)78周 
2位 55 C.サインツ(フェラーリ)+8.968s
3位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)+19.427s
4位 11 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)+20.490s
5位 5 S.ヴェッテル(アストンマーティン・メルセデス)+52.591s
6位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)+53.896s
7位 44 L.ハミルトン(メルセデス)+68.231s
8位 18 L.ストロール(アストンマーティン・メルセデス)+1周
9位 31 E.オコン(アルピーヌ・ルノー)+1周
10位 99 A.ジョビナッティ(アルファロメオ・フェラーリ)+1周
・・・・・・・・・・・・・・
16位 22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ) +1周

タイヤを供給するピレリは「スペインGPで最も硬いコンパウンドが選ばれてからわずか1週間後、モナコGPでは最も柔らかいコンパウンドが登場します。ソフトタイヤはC5、ミディアムはC4、ハードはC3です。オーバーテイクが極めて難しく、滑りやすく低速のコースは摩耗や劣化が少ないので、タイヤ戦略は1ストップとなります。ただピットストップウィンドウはかなり広く、ピットストップのタイミングがポイントになるでしょう。モナコは伝統的な市街地コースで、どのチームもよく知っていますが、1年で最も予測不可能なレースのひとつと言われるように、戦略は簡単ではありません。それでもここではトラックポジションが重要であるため、予選が特に重要なのは間違いありません」と分析している。

さて2022年のモナコGPはどんなレースとなるのか。第7戦モナコGPは5月27日14時(日本時間21時)から始まるフリー走行で開幕する。

2022年F1第7戦モナコGP タイムスケジュール

フリー走行1回目:5月27日14時〜15時(日本時間21時〜22時)
フリー走行2回目:5月27日17時〜18時(日本時間24時〜25時)
フリー走行3回目:5月28日13時〜14時(日本時間20時〜21時)
予選:5月28日16時〜17時(日本時間23時〜24時)
決勝(78周):5月29日15時〜(日本時間22時〜)

This article is a sponsored article by
''.