2009年、日本でもクリーンディーゼルが大きな注目を集める中、BMW AGが極限まで燃費を追求した320d エフィシエント・ダイナミクス・エディションを発表した。その燃費は実に24.4km/L。日本に導入されることはなかったが、欧州では大きな話題となった。注目される秘密はどこにあったのか。Motor Magazine誌はドイツ本国でこのモデルの試乗テストを行っている。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年11月号より)

テスト走行では100kmをわずか3.5Lで走りきった

この日はもちろん試乗車も用意されており、およそ100kmのセクションで、果たしてどれだけの好燃費が達成できるかが大いに注目された。

画像: 燃費の良さをさらに追求して登場したBMW 320dエフィシエント・ダイナミクス・エディション。BMWは欧州プレミアムブランドの中で、とくにディーゼル比率が高い。それだけユーザーに評価されているということでもある。

燃費の良さをさらに追求して登場したBMW 320dエフィシエント・ダイナミクス・エディション。BMWは欧州プレミアムブランドの中で、とくにディーゼル比率が高い。それだけユーザーに評価されているということでもある。

最近、ドイツの路上でも頻繁に見かけるようになってきたホワイトのボディ色を纏った320dエフィシエント・ダイナミクス・エディションだが、そのエクステリア、そしてインテリアデザインに大きな変化は見られない。わずかに16インチ5本スポークの軽合金ホイールが個性を主張するだけである。もっともそれも説明がなければ、わからないくらいである。

ふつうに走り出しても、この省エネスペシャルはなかなかスタンダード版との差を暴露したりしない。ところが意識してエコランを始めると、低速でとても粘ることがわかってきた。その結果、シフトインジケーターが点灯するよりも早くシフトアップして、6速で1000rpmを下回ったあたりで走っても、1505kgの4ドア3シリーズはギクシャクとした動きをすることなくスルスルと滑って行く。

またそこからの加速も、緩慢ではあるが不可能なことではない。加えてやや細めのエコタイヤを装着しているにもかかわらず、コーナーでズルズルと外側に脹らむようなこともなかった。

こうして慎重に走った結果、レポーターのオンボード燃費計は100kmのテスト区間を公表データよりも良好な3.5Lの軽油を消費しただけで走り切った。平均速度はおよそ60km/hであった。これにはBMWの開発担当も驚いたらしく、「いったいどのような運転をしたのですか」と聞いてきたほどであった。(文:木村好宏)

BMW 320dエフィシエント・ダイナミクス・エディション 主要諸元

●全長×全幅×全高:4531×1817×1421mm
●ホイールベース:2760mm
●車両重量:1505kg
●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ
●排気量:1995cc
●最高出力:120kW(163ps)/3500-4200rpm
●最大トルク:360Nm/1750-3000rpm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:FR
●EU総合燃費:24.4km/L
●タイヤサイズ:205/50R16
●最高速:225km/h
●0→100km/h加速:8.2秒
※EU準拠

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