アルピーヌA110が復活したのは2016年のこと。日本へは2018年末に導入開始、その類い希な運動性能が認められ、高い評価を獲得している。今回は、3つのグレード体系に再編された最新のA110の、それぞれの個性と特徴を検証してみた。(Motor Magazine 2022年8月号より)

A110GTとA110Sでは乗り心地が違っている

走り出してすぐに頬が緩んだ。低速域から高速までクルマとの一体感がとても強いからだ。右足を踏み込めば、背後から聞こえてくるエキゾーストノートともに瞬時に回転計が跳ね上がる軽快なフットワークを見せる。

画像: 今回の改良ではApple CarPlay、AndroidAutoが全グレードに標準対応することになった。

今回の改良ではApple CarPlay、AndroidAutoが全グレードに標準対応することになった。

ドライブモードをスポーツにするとまた別の一面を見せてくれる。さらにエキサイティングなドライブフィールとなるのである。コーナリング時の姿勢変化も少なくオンザレール感がとても強い。終始安定しているところなど実にスポーティ、否、リアルスポーツカーである。

A110 GTにも試乗した。なるほど、こちらはA110 Sよりも乗り心地がマイルドだ。これは、シャシースポールかアルピーヌシャシーの違いだろう。だからといってA110らしさは、少しもスポイルされていない。

箱根のワインディングロードであれば、これで十分にエキサイティングな走りが楽しめる。つまりA110との違いはサーキットに持ち込みたくなるか、サーキットで楽しめるかに尽きると思う。

実は試乗が終わってもなかなか興奮が収まらなかった。少し気持ちを落ち着けてからクルマから降りたのだが、A110Sから、もっと走ろう、限界まで走ろうと語りかけられているかのように感じられたからだ。アルピーヌが長年にわたり蓄積してきたモータースポーツのDNAがそうした気持ちにさせるのかもしれない。(写真:井上雅行)

アルピーヌ A110S 主要諸元

●全長×全幅×全高:4230×1800×1250mm
●ホイールベース:2420mm
●車両重量:1120kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●総排気量:1798cc
●最高出力:221kW(300ps)/6300rpm
●最大トルク:340Nm/2400rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:MR
●燃料・タンク容量:プレミアム・45L
●WLTCモード燃費:14.1km/L
●タイヤサイズ:前215/40R18、後245/40R18
●車両価格(税込):897万円

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