A110GTとA110Sでは乗り心地が違っている
走り出してすぐに頬が緩んだ。低速域から高速までクルマとの一体感がとても強いからだ。右足を踏み込めば、背後から聞こえてくるエキゾーストノートともに瞬時に回転計が跳ね上がる軽快なフットワークを見せる。
ドライブモードをスポーツにするとまた別の一面を見せてくれる。さらにエキサイティングなドライブフィールとなるのである。コーナリング時の姿勢変化も少なくオンザレール感がとても強い。終始安定しているところなど実にスポーティ、否、リアルスポーツカーである。
A110 GTにも試乗した。なるほど、こちらはA110 Sよりも乗り心地がマイルドだ。これは、シャシースポールかアルピーヌシャシーの違いだろう。だからといってA110らしさは、少しもスポイルされていない。
箱根のワインディングロードであれば、これで十分にエキサイティングな走りが楽しめる。つまりA110との違いはサーキットに持ち込みたくなるか、サーキットで楽しめるかに尽きると思う。
実は試乗が終わってもなかなか興奮が収まらなかった。少し気持ちを落ち着けてからクルマから降りたのだが、A110Sから、もっと走ろう、限界まで走ろうと語りかけられているかのように感じられたからだ。アルピーヌが長年にわたり蓄積してきたモータースポーツのDNAがそうした気持ちにさせるのかもしれない。(写真:井上雅行)
アルピーヌ A110S 主要諸元
●全長×全幅×全高:4230×1800×1250mm
●ホイールベース:2420mm
●車両重量:1120kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●総排気量:1798cc
●最高出力:221kW(300ps)/6300rpm
●最大トルク:340Nm/2400rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:MR
●燃料・タンク容量:プレミアム・45L
●WLTCモード燃費:14.1km/L
●タイヤサイズ:前215/40R18、後245/40R18
●車両価格(税込):897万円