2009年、997型ポルシェ911ターボがマイナーチェンジを受けて、水平対向6気筒ターボエンジンを全面刷新すると同時に、トランスミッションを5速ティプトロニックATから7速PDKへと大幅な変更が施された。まるでフルモデルチェンジのような技術的変更によって、997型ポルシェ911ターボはどう変わったのか。日本上陸を前にポルトガル・リスボンで行われた国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年12月号より)

強烈なトルクを路面に伝える驚くべきトラクション能力

一般道に加え、サーキット上でもそのポテンシャルを存分にチェックできた新しい911ターボの走りは、どこをとっても鮮烈そのものだった。

画像: エンジン燃焼効率を飛躍的に向上させ、911ターボ史上最高のパフォーマンスと燃費を実現した。

エンジン燃焼効率を飛躍的に向上させ、911ターボ史上最高のパフォーマンスと燃費を実現した。

排気量と圧縮比の双方をアップさせたことがもたらす、もはや到底ターボ付きエンジンとは思えないフレキシブルさも去ることながら、その真髄が味わえるのはやはりアクセルペダルを深く踏み込んだ時。「RRレイアウトがベースの4WD」がもたらす700Nmの強烈トルクにも音を上げないトラクション能力と、「500psカー」であることによる緊張を忘れさせるハンドリングの自在度の高さのバランスレベルには、もはや感動を禁じ得ない。

スタビリティ・コントロールシステム「PSM」の介入具合も絶妙で、決して過度には介入しないのでサーキット走行でもリスクを承知でシステムをカットしたくなるような誘惑には駆られないのが素晴らしい。

MTが標準扱いの911ターボだが、イージーかつ安定して速く走れるという点では、PDKのアドバンテージにもはや揺るぎはない。嬉しいのは、そんなPDKを「世界標準型」の右アップ、左ダウン式のパドルで操作できるようになったこと。

個人的好みでは、これでパドルが固定式になればさらに高得点を与えたいが、コラム部分の大幅設計変更を余儀なくされるそんなリファインは、さすがに望み薄かも知れない。

ちなみに、オプション設定のそんな新しいステアリングホイールは来年以降、他のPDK搭載車でも選択可能になるという。標準のシフトスイッチのロジックは「どうにもクレイジーだ!」と感じるPDK車の既オーナーも、もう少しの辛抱だ!(文:河村康彦)

ポルシェ 911ターボ クーペ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4450×1852×1300mm
●ホイールベース:2350mm
●車両重量:1570[1595]kg
●エンジン:対6DOHCターボ
●排気量:3800cc
●最高出力:368kW(500ps)/6000rpm
●最大トルク:650Nm/1950-5000rpm
●オーバーブースト時の最大トルク:700Nm/2100-4000rpm
●トランスミッション:6速MT[7速PDK]
●駆動方式:4WD
●EU総合燃費:8.6[8.8]km/L
●タイヤサイズ:前 235/35ZR19、後 305/30ZR19
●最高速:312[312]km/h
●0→100km/h加速:3.7[3.6]秒
※EU準拠

ポルシェ 911ターボ カブリオレ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4450×1852×1300mm
●ホイールベース:2350mm
●車両重量:1645[1670]kg
●エンジン:対6DOHCターボ
●排気量:3800cc
●最高出力:368kW(500ps)/6000rpm
●最大トルク:650Nm/1950-5000rpm
●オーバーブースト時の最大トルク:700Nm/2100-4000rpm
●トランスミッション:6速MT[7速PDK]
●駆動方式:4WD
●EU総合燃費:8.5[8.7]km/L
●タイヤサイズ:前 235/35ZR19、後 305/30ZR19
●最高速:312[312]km/h
●0→100km/h加速:3.7[3.6]秒
※EU準拠

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