10個のスピーカーからなるハイレゾ対応のサウンドシステム
デンソーテンの新世代オーディオシステムが、トヨタの新型「クラウン クロスオーバー」(2022年7月15日発表)に採用されることが決まった。
自動車の静粛性が高まることで、ますます車室内は音楽を楽しむのに適した環境になっていくと予想される。クラウンももちろん、極上のリスニング空間になってくれるはずだ。
「トヨタプレミアムサウンドシステム」と名付けられたこのシステムは、トヨタと共同開発されたもので、10個のスピーカーと独自のデジタル信号処理技術を搭載した8chフルデジタルClass-Dアンプからなる、ハイレゾ対応のサウンドシステムだ。
スピーカー周辺のボディ形状などの最適化や、スピーカー駆動時の不要振動の低減すなどにより、デンソーテンの従来からのコンセプト「原音に対して正確な音の再生＋立体空間再生」を更に進化させ、「雑味の無い上質さ＋車室外まで広がるようなゆとりの音空間」の実現が追求されているという。
順を追って、具体的に説明していこう。まずは「車両ボディ・内装構造の最適化による、不要振動の低減」。新型クラウンの3Dモデルによる振動シミュレーション技術を開発することで、スピーカー駆動によって発生する周辺部品の不要振動を見える化し、車両ボディ／内装形状の最適化が図られている。
3Dモデルによる、スピーカー周辺の振動シミュレーション。
そして「車室内特有の音の乱れを補正し、心地よい響きを付与することで、リスニングルームのような音空間を再現」。そこで活躍するのが高性能DSP（デジタル サウンドプロセッサー）だ。車室内で発生する不要なガラス反射やドア振動などによる音の乱れを信号処理で制御・補正し、元の音源をより正確に再現するとともに、リスニングルームで音楽を聴いた時の反射音を到来方向まで忠実に車室内で再現することで、車室外まで広がるような心地よい音空間を実現してくれるのだ。
理想の音空間を目指した、補正イメージ。
他には、独自形状の振動板・エッジを持つスピーカーの剛性や振幅対称性向上による忠実な原音再生や、ハイレゾの良さを活かす高性能マスタークロック、アンプ筐体の刷新による対ノイズ性能向上・高剛性化による音質の大幅改善などがあげられる。
ちなみに、デンソーテンとクラウンとの縁は深く、1955年登場の初代に同社のオートラジオが採用されている。
