2022年9月30日金曜日、F1第17戦シンガポールGPがシンガポール市街地のマリーナベイ・ストリート・サーキットで開幕、10月2日日曜日にナイトレースとして決勝が行われる。欧州最終ラウンドを終えたF1は、このシンガポールGPでフライアウェイ戦に突入し、11月末の最終戦アブダビGPで迎えるクライマックスへと向かう。

フェルスタッペンのチャンピオン確定という可能性も

7月の第12戦フランスGPを迎えるまでは、レッドブルとフェラーリの2強の力関係は微妙で、グランプリごとに勝利の女神は「行ったり来たり」という状況だった。不運続きだったシャルル・ルクレール(フェラーリ)にもようやく好運が見え始め、まだまだシリーズの行方は混沌としていた。

画像: 夕刻のマリーナベイ・ストリート・サーキット。決勝はナイトレースとして開催される。また、フリー走行や予選も夕刻、あるいは夜間に行われる。

夕刻のマリーナベイ・ストリート・サーキット。決勝はナイトレースとして開催される。また、フリー走行や予選も夕刻、あるいは夜間に行われる。

ところが、そこからマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が5連勝。パワートレーンのトラブルや交換ペナルティで後方スタートとなっても、あっさりと逆転。ライバルたちのミスやアクシデントもあって、いまや堂々とランキングトップをひた走る状況となっている。

シリーズも残り6戦、今回のシンガポールGPでドライバーズチャンピオンが確定する可能性も出てきている。

対抗するはずのフェラーリやメルセデスが優勝を狙いつつも、ランキング2位奪取に動いている面も見られるほどだ。しかもシンガポールGPが行われるマリーナベイ・ストリートサーキットは伝統的にレッドブルが得意とする低速コースで、フェルスタッペンを中心にグランプリが動いて行くのはまず間違いない。

波乱があるとすれば予選。このサーキットはスタート順が大きなポイントとなるので、ライバルたちがフェルスタッペン包囲網を築くことができれば波乱があるかもしれない。

もちろん、天候も勝敗を分ける重要なファクターとなるだろうが、ピット戦略でもここまでレッドブルは優位に立っているので、雨によるアクシデントでさらにその差が広がることもありそうだ。

■2022年 F1ドライバーズランキング(第16戦終了時)

1位 M.フェルスタッペン(レッドブル)335
2位 C.ルクレール(フェラーリ)219
3位 S.ペレス(レッドブル)210
4位 G.ラッセル(メルセデス)203
5位 C.サインツ(フェラーリ)187
6位 L.ハミルトン(メルセデス)168

■2022年 F1コンストラクターズランキング(第16戦終了時)

1位 レッドブル 545
2位 フェラーリ 406
3位 メルセデス 371
4位 アルピーヌ・ルノー125
5位 マクラーレン・メルセデス 107
6位 アルファロメオ・フェラーリ 52 
7位 ハース・フェラーリ 34
8位 アルファタウリ・レッドブル 33

オーバーテイクは難しく予選順位が重要となる

では、シンガポールGPはどんなグランプリなのだろうか。

画像: シンガポールの首都中心部の湾岸地区に特設される市街地コースは、エスケープゾーンが少なくコンクリートウォールが間近に迫る。

シンガポールの首都中心部の湾岸地区に特設される市街地コースは、エスケープゾーンが少なくコンクリートウォールが間近に迫る。

F1史上初めてのナイトレースとして2008年に初開催されたシンガポールGP。欧州のゴールデンタイムにあわせるため、また昼間の暑さを避けるためのアイデアだったが、カクテル光線に包まれた(通常のスタジアムの4倍の明るさと言われる)スペクタルな市街地レースは大成功。年を追うごとにさらに人気が高まっており、多くのナイトレースを誕生させるきっかけとなっている。

シンガポールGPは毎年秋に行われて大観衆を集めているが、2020、2021年と新型コロナウイルス感染拡大のためキャンセルされ、今回は3年ぶりの開催となる。また今年は、9月23〜24日に開催される予定だったロシアGPがウクライナ侵攻を受けて中止となったため、第16戦イタリアGPから3週間あけての開催となるのもポイントとなる。

マリーナベイ・ストリートサーキットはグランプリ開催のためにシンガポールの首都中心部の湾岸地区に特設される市街地コースで、全体的にコース幅が狭く(狭い場所では約8m)、グリップを失えば間近に迫るコンクリートウォールにクラッシュとなる。路面はバンピーで、エスケープゾーンがないことがドライバーにとっては大きなプレッシャーとなる。

また、全長5063mのコースにコーナーは23もありストレートが短いためオーバーテイクは難しく、そのため、スタート順位、しばしば導入されるセーフティカーがレース展開の大きなポイントとなる。

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